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第57回 18年01月更新

改正労働者派遣法の2018年問題

平成27年9月に施行された「改正・労働者派遣法」から今年で丸3年を迎えます。平成27年の法改正は、派遣事業を行っている会社も、派遣労働者を受け入れている会社にも影響が出る大きな改正がありました。
その中でも派遣労働者を受け入れている会社に影響がある「事業所単位の期間制限」と「派遣労働者単位の期間制限」に抵触する可能性のある派遣労働者が、今年から現れることになります。
労働者派遣法が改正された際にも紹介しましたが、「労働者派遣の期間制限の見直し」は「労働契約の無期転換の申込権」と並び、2018年問題とも言えるくらいの問題です。
今回は、改正労働者派遣法のポイントを改めて見ていきたいと思います。

労働者派遣の期間制限の見直しについて

労働者派遣法の改正前は、いわゆる「26業務」への労働者派遣は期間制限がありませんでした。法改正ではそれが見直され、施行日以後に締結された労働者派遣契約に基づく労働者派遣には、すべての業務で次の2つの期間制限が適用されます。

<派遣先事業所単位の期間制限>
「同一の事業所」が派遣労働者を受け入れられる期間は、原則「3年」が限度です。仮に、派遣先が3年を超えて派遣労働者を受け入れようとする場合は、抵触日の1ヶ月以上前までに派遣先の事業所の過半数労働組合等からの意見を聴く必要があります。

厚生労働省 都道府県労働局 平成27年労働者派遣法改正法の概要より

施行日以後、最初に新たな派遣労働者を受け入れた日が、3年の派遣可能期間の起算日となります。それ以降、3年が経過するまでの間に派遣労働者が交替していたり、他の労働者派遣契約に基づく労働者派遣に変更している場合(派遣元の会社を変えた場合など)でも、事業所単位で派遣労働者を受け入れることが可能な期間の起算日は変わらない点に注意が必要です。

<派遣労働者個人単位の期間制限>
同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における「同一の組織単位(課やグループ)」に対して派遣できる期間も同じく「3年」が限度です。

厚生労働省 都道府県労働局 平成27年労働者派遣法改正法の概要より

組織単位を変えれば、同一の事業所で引き続き同じ派遣労働者を受け入れることができます。ただし、事業所単位の期間制限による受け入れ可能期間に引っかかりますので、事業所単位の期間制限が延長されていることが前提になります。
これらの前提を満たし、仮に同じ派遣労働者を受け入れる場合でも、派遣先事業所はその派遣労働者を指名するなどの特定目的行為を行わないようにする必要があります。
なお、派遣労働者の従事する業務が途中で変わっていたとしても、同一の組織単位内で受け入れている場合には派遣期間は通算されます。

事業所と組織単位の定義について

改正派遣法における労働者派遣の期間制限に出てくる「事業所」と「組織単位」の定義は、以下の通りです。

1)事業所の定義
・工場、事務所、店舗等、場所的に独立していること
・経営の単位として人事・経理・指導監督ができること
・働き方などがある程度 独立していること
・施設として一定期間継続するものであること
などの観点から、実態に即して同一の事業所か否かが判断されます。

2)組織単位の定義
いわゆる「課」や「グループ」など、
・業務としての類似性、関連性があり、
・組織の長が業務配分、労務管理上の指揮監督権限を有するもの
などにより、実態に即して同一の組織単位か否かが判断されます。

2つの期間制限がかからない適用除外

2つの期間制限について見てきましたが、改正派遣法では例外として以下のいずれかに該当する場合は、期間制限がありません。
1)派遣元事業主に無期雇用される派遣労働者を派遣する場合
2)60歳以上の派遣労働者を派遣する場合
3)終期が明確な有期プロジェクト業務に派遣労働者を派遣する場合
4)日数限定業務(1ヶ月の勤務日数が通常の労働者の半分以下かつ10日以下であるもの)に派遣労働者を派遣する場合
5)産前産後休暇、育児休業、介護休業等を取得する労働者の業務に派遣労働者を派遣する場合

これらの適用除外にあたる労働者は、「派遣先事業所単位の期間制限」「派遣労働者個人単位の期間制限」のいずれも制限を受けません。つまり、同じ派遣労働者が、同じ職場の同じ業務をいつまでも行うことができるのです。

クーリング期間について

事業所単位の期間制限、個人単位の期間制限の両方に、期間をリセットする「クーリング期間」の考え方が設けられています。

<事業所単位の期間制限>
派遣先の事業所ごとの業務について、労働者派遣の終了後に再び派遣する場合、派遣終了と次の派遣開始の間の期間が3ヶ月を超えないときは、労働者派遣が継続しているものとみなされます。

<個人単位の期間制限>
派遣先の事業所における同一の組織単位ごとの業務について、労働者派遣の終了後に同一の派遣労働者を再び派遣する場合、派遣終了と次の派遣開始の間の期間が3ヶ月を超えないときは、労働者派遣は継続しているものとみなされます。

また、派遣先事業所が3年間派遣労働者を受け入れた後、派遣先事業所の派遣受け入れ可能期間の延長手続きを回避することを目的として、「クーリング期間」をあけて派遣の受け入れを再開するような行為等は、実質的に派遣の受け入れを継続しているとみなされます。これらは、法の趣旨に反するものとして指導等の対象となりますので、十分注意してください。

 

派遣先事業所が「派遣先事業所単位の期間制限」と「派遣労働者個人単位の期間制限」のいずれかに違反して労働者派遣を受け入れた場合は、違法派遣として「労働契約申込みなし制度」が適用されることになります。
また、派遣先事業所の派遣受け入れ期間の延長のための意見聴取をした過半数労働組合等が適正でない場合や必要な項目すべての記録がない場合も、同様に「労働契約申込みみなし制度」の対象になります。特に過半数労働組合がなく、労働者の過半数代表者に意見聴取をせざるを得ない事業所は注意が必要です。
平成27年9月以降派遣労働者を受け入れている事業所では、知らぬ間に違法派遣を受け入れていたといったことがないように、それぞれの抵触日等を今から確認しておきましょう。

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著者プロフィール(川島孝一氏)

(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサル タント、社会保険労務士、中小企業福祉事業団幹事、日本経営システム学会会員。
1966年、東京都大田区生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、サービス業にて人事 ・管理業務に従事後、現職。クライアント先の人事制度、賃金制度、退職金制度 をはじめとする人事・労務の総合コンサルティングを担当し、複数社の社外人事 部長・労務顧問を兼任する。経営者の視点に立った論理的な手法に定評がある。

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