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第59回 18年03月更新

就業規則のいろはのイ

平成25年に施行された「無期転換ルール」から5年が経ち、いよいよ平成30年4月からは、有期契約で働いている方の「労働契約の無期転換の申込権」が発生する可能性が出てきます。無期転換権を行使する従業員が出てくると、これまで会社が想定をしていなかった区分の従業員が生まれてきます。
この「無期転換した従業員」に対応するためや、働き方改革の一環として現在検討されている労働基準法の改正に対応するために、会社はこれまで以上に「就業規則」の作成や変更を行う機会が増えてきます。
今回は、基本に立ち返って、就業規則にまつわる基本的な項目についてみていきたいと思います。

<就業規則の作成と届出>

常時10人以上の労働者を使用している事業場では、労働基準法によって就業規則の作成が義務づけられています。また、作成をした就業規則は労働者代表の意見を聴き、その意見書を添付して所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。
就業規則を新たに作成するときだけでなく、これまでの就業規則を変更した場合も同様の手順を踏んで、労働基準監督署長に届け出る必要があります。

事業場単位でみていきますので、本社以外に支店や店舗がある会社では、それぞれの支店や店舗で働く労働者が常時10人以上であれば、各支店や店舗で労働者代表の意見を聴き、その支店や店舗を管轄する所轄労働基準監督署長にも届け出なければなりません。
なお、就業規則一括届出制度(本社の就業規則と本社以外の就業規則が同じ内容であるなど、一定の要件を満たした場合、本社で一括して届出ができる制度のこと)もありますので、支店や店舗の数が多い場合は検討してもよいと思います。

<就業規則の記載事項について>

就業規則には、絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項の2種類があります。「絶対的必要記載事項」とは、就業規則には必ず記載しなければならない事項です。
「相対的必要記載事項」とは、その項目を会社が定めるか否かは自由ですが、定めるのであれば就業規則に必ず記載しなければならない事項ということになります。

それぞれの内容は、以下の通りです。絶対的必要記載事項が就業規則にすべて記載されているか、あるいは相対的必要記載事項を定めているにもかかわらず就業規則から漏れていることはないかを確認してみてください。

1.絶対的必要記載事項
1)始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上に分けて交替で就業させる場合においては就業時転換に関する事項(育児・介護休業法に基づく育児休業、介護休業等も含まれます。)
2)賃金(臨時の賃金等は除きます。)の決定、計算及び支払の方法、締切り及び支払時期、昇給に関する事項
3)退職(解雇の事由を含みます。)に関する事項

2.相対的必要記載事項
1)退職手当の定めをする場合には、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法、退職手当の支払の時期に関する事項
2)臨時の賃金等(退職手当を除きます。)及び最低賃金額の定めをする場合には、これに関する事項
3)労働者に食費、作業用品、その他の負担をさせる定めをする場合には、これに関する事項
4)安全及び衛生に関する定めをする場合には、これに関する事項
5)職業訓練に関する定めをする場合には、これに関する事項
6)災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合には、これに関する事項
7)表彰及び制裁の定めをする場合には、その種類及び程度に関する事項
8)以上のほか、当該事業場の労働者のすべてに適用をされる定めをする場合には、これに関する事項

就業規則は、労働基準法等の法令や労働協約に反してはなりません。また、就業規則で定める基準に達しない労働契約はその部分については無効とされ、就業規則の定めが優先されます。
特に嘱託社員やパートタイム労働者等について、正社員と異なる労働条件を定めている場合には、別個に就業規則を作成するなど、労働契約が就業規則を下回らないようにする工夫が必要です。

<労働者代表の意見聴取>

就業規則の作成・変更を行う際は、労働者代表の意見を聴き、その意見書を添付して所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。
意見を聴く「労働者代表」とは、事業場の過半数で組織する労働組合があればその労働組合、そのような労働組合がなければ事業場のパートタイム労働者やアルバイト等を含む全労働者の過半数を代表する者のことです。

事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がない場合の「労働者の過半数を代表する者」の選出の条件は、以下の2つを満たした者です。特に2)の要件を満たしていないケースがときどき見受けられるので、適切に労働者代表が選出されているかを改めて確認してみてください。
1)労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者でない者
2)労使協定等の労働者の過半数代表者の選出である旨を明らかにして行われる投票・挙手などで選出された者

<就業規則の周知について>

就業規則は労働基準監督署へ届け出て終わりではありません。作成した就業規則は、次のいずれかの方法により従業員全員に周知しなければなりません。
1)常時各作業場の見やすい場所に掲示し、または備え付ける
2)書面で交付する
3)磁気テープ、磁気ディスクなどに記録し、労働者が常時閲覧できるようにする(社内LANなどでの閲覧等)

今回は、就業規則の基本的な項目についてみてきました。当たり前の項目ばかりのようですが、内容だけでなく、届出・周知までを含めて適切であると言えるかどうかを確認していただければと思います。

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著者プロフィール(川島孝一氏)

(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサル タント、社会保険労務士、中小企業福祉事業団幹事、日本経営システム学会会員。
1966年、東京都大田区生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、サービス業にて人事 ・管理業務に従事後、現職。クライアント先の人事制度、賃金制度、退職金制度 をはじめとする人事・労務の総合コンサルティングを担当し、複数社の社外人事 部長・労務顧問を兼任する。経営者の視点に立った論理的な手法に定評がある。

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