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第60回 18年05月更新

会社が行う健康診断~その1

平成30年4月から、労働安全衛生法による「定期健康診断」等の診断項目の取り扱いが一部変更になりました。働き方改革が叫ばれていますが、従業員が一所懸命に仕事をし、その結果として体を壊してしまっては、本人も、そして会社にとっても不幸なことです。
一般的にはあまり重要視されていないようですが、健康診断は経営を行っていくうえで大切なものといえます。
労働安全衛生法では、定期健康診断のほかにもさまざまな健康診断を定めています。今回は、会社が実施すべき健康診断について説明していきたいと思います。

<健康診断の種類>

会社は、労働安全衛生法に基づき、従業員に対して、医師による健康診断を実施する義務があります。また、従業員も会社が行う健康診断を受診しなければなりません。
会社に実施することを義務付けている健康診断には、以下のものがあります。

健康診断の種類 対象となる労働者

実施時期

1.雇入時の健康診断 常時使用する労働者

雇入れの際

2.定期健康診断 常時使用する労働者
(次項の特定業務従事者を除く)
1年以内ごとに1回
3.特定業務従事者の
健康診断
労働安全衛生規則第13条第1項2項に常時従事する労働者 左記業務への配置換えの際、6ヶ月以内ごとに1回
4.海外派遣労働者の
健康診断
海外に6ヶ月以上派遣する労働者 海外に6ヶ月以上派遣する際、帰国後国内業務に就かせる際
5.給食従業員の検便 事業に付属する食堂、または炊事場における給食の業務に従事する労働者 雇入れの際
配置換えの際

 

雇入れ時の健康診断、定期健康診断、特定業務従事者の健康診断の対象となるのは常時使用する労働者です。「常時使用する労働者」ですので、正社員以外の労働者でも次の2つの要件を満たす従業員の方は、健康診断の対象になります。

1)労働契約が期間の定めのない者(期間の定めがある労働契約により使用される者のうち、1年(特定業務従事者の場合については6ヶ月)以上使用されることが予定されている者を含む。)
2)その者の1週間の労働時間数が、その事業場の同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3以上である者。なお、4分の3未満であっても概ね2分の1以上である者については健康診断を行うことが望ましい。

<1.雇入れ時の健康診断>

事業者は、常時使用する従業員を雇い入れる際は、その従業員に対して、医師による健康診断を行わなければなりません。
検査する項目は次の11項目です。これまでと項目は変わりませんが、平成30年4月から8)9)10)の3つの項目の取り扱いが変更になりました。
内容が医療に関することであり、健康診断を実施する医師が注意すれば良い内容なので、ここでは詳しくは触れませんが、簡単にいうとそれぞれの検査方法が一部変更になりました。

1)既往歴及び業務歴の調査
2)自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3)身長、体重、腹囲、視力、聴力の検査
4)胸部エックス線検査及び喀痰検査
5)血圧の測定
6)貧血検査(血色素量及び赤血球数)
7)肝機能検査(GOT、GPT、γ‐GTP)
8)血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
9)血糖検査
10)尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
11)心電図検査

雇入れ時の健康診断については、原則として検査項目の省略は認められていません。ただし、新たに雇い入れた従業員の方が、医師による健康診断を受けた後、3ヶ月を経過していない場合で、健康診断の結果を証明する書類を事業主に提出した場合は、その項目については健康診断を行わなくても良いとされています。

<2.定期健康診断>

事業者は、常時使用する労働者に対して、1年以内ごとに1回定期的に医師による健康診断を行わなければなりません。検査項目については、雇入れ時の健康診断と同様の内容です。
ただし、医師が必要でないと認めた血液検査等の一部検査については省略することができます。今回の留意事項として、この「検査項目の省略」の判断を会社全体で一律に判断していたケースなどがあったことから、「医師」が「個々の労働者ごと」に「その検査項目を省略できると判断した」場合に限り、省略して良いことが改めて通知されました。
間違っても会社から全員の検査の省略をお願いすることのないようにしたいものです。

<健康診断時の給与の負担>

経営者や人事担当者から、「定期健康診断をしている時間も給与を支払わなければならないのか?」といった質問を受けることがあります。
これらの内容については、昭和47年9月18日に通達が出されています。内容は以下のとおりです。

「一般健康診断の受診に要した時間についての賃金の支払いについては、一般健康診断は一般的な健康の確保を図ることを目的として事業者にその実施義務を課したものであり業務遂行との関連において行われるべきものではないので、その受診のために要した時間については、当然には事業者の負担すべきものではなく労使協議して定めるべきものであるが、労働者の健康の確保は、事業の円滑な運営に必要不可欠な条件であることを考えると、その受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましい」

この通達を簡単に説明すると、定期健康診断の時間に対しては、必ず賃金を支払わなければならないのではなく、「労使で協議をして」決定をすれば良いということになります。

 

今回は、「雇入れ時の健康診断」と「定期健康診断」についてみてきました。次回は、「特定業務従事者の健康診断」と「海外派遣労働者の健康診断」について説明したいと思います。

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著者プロフィール(川島孝一氏)

(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサル タント、社会保険労務士、中小企業福祉事業団幹事、日本経営システム学会会員。
1966年、東京都大田区生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、サービス業にて人事 ・管理業務に従事後、現職。クライアント先の人事制度、賃金制度、退職金制度 をはじめとする人事・労務の総合コンサルティングを担当し、複数社の社外人事 部長・労務顧問を兼任する。経営者の視点に立った論理的な手法に定評がある。

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