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第63回 18年07月更新

安全衛生管理体制~その2

労働安全衛生法とは、読んで字のごとく労働者の安全と衛生についての基準を定めた法律です。この中には、会社が労働者の安全や健康を保持するために整備すべき「安全衛生管理体制」が定められています。

「衛生管理者」や「産業医」は前回で説明しましたので、今回は「安全管理者」や「衛生委員会」などその他の体制について見ていきたいと思います。
これらの資格や委員会についてはあまりなじみがないかもしれませんが、労働災害の発生の防止や労働者の健康を守る上でとても重要な仕事です。
管理者の選任や委員会の設置の義務があるかどうかは、業種や規模によって異なります。「選任しなければならない事業所なのに選任していなかった」ということのないように、改めて要件を確認してください。

<安全管理者>

常時50人以上の労働者を使用している事業所では、業種を問わず「衛生管理者」を選任する義務があることは前回説明しました。
一方で、「安全管理者」は、労働者数が常時50人以上の事業所であることは同じですが、業種によって選任する必要があるか否かが定められています
この安全管理者を選任する義務がある事業所では、業種や規模を問わず、1人以上を選任します。

安全管理者を選任する必要がある業種
林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、

熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、

各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、

自動車整備業、機械修理業

 

また、常時使用する労働者数が次の人数以上の事業所にあっては、安全管理者のうち1人を「専任」の安全管理者としなければなりません。

業種 規模
建設業、有機化学鉱業製品製造業、石油製品製造業 300人以上
無機化学工業製品製造業、化学肥料製造業、道路貨物運送業、

港湾運送業

500人以上
紙・パルプ製造業、鉄鋼業、造船業 1,000人以上
上記以外の業種 2,000人以上

 

<安全管理者の職務内容>

安全管理者は、安全衛生業務のうち、安全に関する技術的事項を管理し、主に次の業務を行います。

1)建設物、設備、作業場所または作業方法に危険がある場合における応急措置または適当な防止の措置
2)安全装置、保護具その他危険防止のための設備・器具の定期点検
3)作業の安全についての教育及び訓練
4)発生した災害原因の調査及び対策の検討
5)消防及び避難の訓練
6)作業主任者その他安全に関する補助者の監督
7)安全に関する資料の作成、収集及び重要事項の記録

<資格要件について>

安全管理者は、衛生管理者とは異なり、業種によって選任しなければならない資格要件が変わるということはありません。
次の要件のいずれかに満たす者で、安全管理者選任時研修を受講した者を選任します。

1)大学の理科系の課程を卒業し、その後2年以上産業安全の実務を経験した者
2)高等学校等の理科系の課程を卒業し、その後4年以上産業安全の実務を経験した者
3)その他厚生労働大臣が定める者(理科系統以外の大学を卒業後4年以上、同高等学校を卒業後6年以上産業安全の実務を経験した者、7年以上産業安全の実務を経験した者など)
4)労働安全コンサルタント

<総括安全衛生管理者>

「総括安全衛生管理者」は、常時使用する労働者数が一定数以上の、次の業種に該当する事業所が選任しなければなりません。

業種 規模
林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業 100人以上
製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、

通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、

各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業、

ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業

300人以上
その他の業種 1,000人以上

 

<総括安全衛生管理者の職務内容>

総括安全衛生管理者は、安全管理者と衛生管理者を指揮する者として、主に以下の業務を行います。

1)労働者の危険または健康障害を防止するための措置に関すること
2)労働者の安全または衛生のための教育の実施に関すること
3)健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること
4)労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること
5)その他労働災害を防止するため必要な業務
6)安全衛生に関する方針の表明に関すること
7)危険性又は有害性等に調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること
8)安全衛生計画の作成、実施、評価及び改善に関すること

<総括安全衛生管理者の資格要件>

衛生管理者や安全管理者とは違い、統括安全衛生責任者には、実務経験や試験の合格といった特別な要件は定められていません。
その事業所において、その事業の実施を実質的に統括管理する権限と責任を有していれば、総括安全衛生管理者となることができます。

<衛生委員会・安全委員会について>

安全管理者や衛生管理者を選任しなければならない事業所は、「衛生委員会」や「安全委員会」を定期的に開催しなければなりません。
それぞれ設置する必要のある事業所の規模(常時使用する労働者数)や、それぞれの委員会で審議する内容については、以下のとおりです。

<安全委員会>

業種 規模
林業、鉱業、建設業、道路貨物運送業、港湾運送業、木材・木製品製造業、

化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業、清掃業、自動車整備業、機械修理業、

輸送用機械器具製造業

50人以上
製造業(上記を除く)、運送業、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、

通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、

家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業

100人以上

安全委員会で調査、審議する項目は、以下のとおりです。

1)労働者の危険を防止するための基本となるべき事項
2)労働災害の原因及び再発防止対策で、安全に係るものに関すること。
3)上記以外で労働者の危険の防止に関する重要事項

<衛生委員会>

衛生委員会を設置しなければならない事業所は、業種にかかわらず常時使用する労働者が50人以上の事業所です。
衛生委員会で調査、審議する項目は、以下のとおりです。

1)労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること
2)労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること
3)労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること
4)上記以外で、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項

従業員の方の安全や健康を守るのは、会社の社会的な責任です。事業所の常時使用する労働者数が「50人以上」になると、整備すべき事項が多く出てくることがお分かりいただけたかと思います。
それぞれの業種や従業員数に応じて、労働安全衛生法で定められている項目が守られているか、一度確認してみてはいかがでしょうか。

 

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著者プロフィール(川島孝一氏)

(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサル タント、社会保険労務士、中小企業福祉事業団幹事、日本経営システム学会会員。
1966年、東京都大田区生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、サービス業にて人事 ・管理業務に従事後、現職。クライアント先の人事制度、賃金制度、退職金制度 をはじめとする人事・労務の総合コンサルティングを担当し、複数社の社外人事 部長・労務顧問を兼任する。経営者の視点に立った論理的な手法に定評がある。

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