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第68回 18年12月更新

働き方改革~産業医の活用と機能強化

平成30年7月6日に公布された「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」には、産業医・産業保健機能の強化も盛り込まれました。過重な長時間労働や健康相談等が確実に実施されるようにし、企業における労働者の健康管理を強化することがその目的です。

今回の法改正では、労働安全衛生法で定める「産業医」の機能が強化されています。以前に、労働安全衛生法の安全管理体制について紹介をしていますが、おさらいの意味を込めて、ベーシックな部分についても記載しながら法改正部分を紹介していきます。

 

労働安全衛生法とは

労働安全衛生法とは、読んで字のごとく労働者の安全と衛生について基準を定めた法律です。後で説明をしますが、50人以上の労働者がいる事業所は産業医選任の義務があります。

労働基準監督署の調査等には労働安全衛生法も含まれるので、もし、法違反等が判明すれば是正指導の対象となります。

 

産業医について

それでは、産業医についてみていきましょう。労働安全衛生法第13条では、一定の規模以上の事業場について、一定の医師の中から「産業医」を選任し、事業者の直接の指揮監督のもとで専門家として労働者の健康管理などに当てることになっています。

この産業医は、常時50人以上の労働者を使用するすべての事業場で選任しなければなりません。また、常時3,000人を超える労働者を使用する事業場では、2人以上の産業医を選任する必要があります。

なお、次のいずれかに該当する事業場にあっては、その事業場専属の産業医を選任しなければなりません。

  • 常時1,000人以上の労働者を使用する事業場
  • 一定の有害な業務に常時500人以上の労働者を従事させる事業場

 

産業医の職務

産業医は、主に次の事項を行います。

  • 健康診断や面接指導などの実施、これらの結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること
  • 作業環境の維持管理に関すること
  • 作業の管理に関すること
  • 労働者の健康管理に関すること
  • 健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること
  • 衛生教育に関すること
  • 労働者の健康障害の原因の調査や再発防止のための措置に関すること

 

産業医は、労働者の健康を確保するために必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理などについて必要な勧告をすることができます。事業主は、産業医から勧告を受けた場合は、その勧告を尊重する義務があります。

また、少なくとも毎月1回作業場を巡視し、作業方法や衛生状態に有害のおそれがあるときは、ただちに労働者の健康障害を防止するために必要な措置を講じなければなりません。

 

法改正について

今回の法改正では、産業医の職務に関する部分のうち、長時間労働の防止に産業医を関与させるために、次の2点について産業医の権限を強化しています。

① 産業医は、労働者の健康を確保するために必要があると認めるときは、事業者に対して勧告することができる。

② 事業者は産業医から勧告を受けた場合は、その勧告を尊重する義務がある。

 

①については、事業者から産業医への情報提供を充実・強化するために、「事業者は、長時間労働者の状況や労働者の業務の状況など、産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報を提供しなければならない」というルールが追加されます。

 

②については、産業医の活動と衛生委員会との関係を強化するために、「事業者は、産業医から受けた勧告の内容を事業場の労使や産業医で構成する衛生委員会に報告しなければならない」というルールも追加され、衛生委員会で実効性のある健康確保措置の検討ができる体制が作られました。

 

さらに、労働者に対する健康相談の体制整備や労働者の健康情報の適正な取り扱いを推進するために、「産業医等による健康相談ができる体制整備に努めること」「事業者による労働者の健康情報の収集、保管、使用及び適正な管理について、指針を定め、労働者が安心して事業場における健康相談や健康診断を受けられるようにすること」というルールも追加されることになりました。

 

労働局のパンフレットに「長時間労働者に対する医師による面接指導の流れ」が紹介されていますので参照ください。

大切な従業員が長時間労働等で健康を害して退職せざるを得なくなったり、労務トラブルに発展することのないように、経営者や人事担当者はしっかりと時間管理を行っていく必要があります。

 

長時間労働者に対する医師による面接指導の流れ

 

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著者プロフィール(川島孝一氏)

(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサル タント、社会保険労務士、中小企業福祉事業団幹事、日本経営システム学会会員。
1966年、東京都大田区生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、サービス業にて人事 ・管理業務に従事後、現職。クライアント先の人事制度、賃金制度、退職金制度 をはじめとする人事・労務の総合コンサルティングを担当し、複数社の社外人事 部長・労務顧問を兼任する。経営者の視点に立った論理的な手法に定評がある。

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