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第41回 20年02月更新

同一労働同一賃金の基本的考え方

こんにちは。特定社会保険労務士の溝口知実です。
同一労働同一賃金の施行日2020年4月1日がいよいよ近づいてきました(中小企業は2021年4月1日施行)。施行に向け準備されている企業も多いことと思います。
同一労働同一賃金とは、正規労働者と非正規労働者(パートタイム労働者や有期雇用労働者、派遣労働者)との間の不合理な待遇差の解消を目指すものですが、基本給や各種手当、賞与、休暇取得等、何を対象に、またどの程度解消すればよいのかと質問を多くお受けします。今回は、同一労働同一賃金の基本的な考え方について解説します。

1.均衡待遇と均等待遇

パートタイム労働法・有期雇用労働法の改正により、同一企業内において、正規雇用労働者と非正規雇用労働者(パートタイム労働者・有期雇用労働者)の間で、基本給や賞与などあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止となり、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との均衡待遇、及び均等待遇が定められました。

・均衡待遇規定<法第8条> (不合理な待遇差の禁止)
①職務内容、②職務内容・配置の変更の範囲、③その他の事情 の内容を考慮して不合理な待遇差を禁止
これは、正規雇用労働者と非正規雇用労働者を比較して①から③の要素に相違があるならば、バランスのとれた待遇(均衡待遇)を求めるものです。

・均等待遇規定<法第9条> (差別的取扱いの禁止)
①職務内容、②職務内容・配置の変更の範囲 が同じ場合は、差別的取扱いを禁止
これは、正規雇用労働者と非正規雇用労働者を比較して①②の要素が同じであれば、同じ待遇(均等待遇)を求めるものです。

なお、同一労働同一賃金の目的は非正規雇用労働者の待遇改善なので、均等・均衡を基準として、それぞれの待遇を見直した結果、労働者の待遇を下げるようなことがあってはならないとされています。

※派遣労働者の待遇差に関しては、派遣先の労働者との「均等・均衡待遇方式」とするか、「労使協定方式」(派遣元会社が、労使協定を締結し待遇を決定)のどちらかを選択することとなります。

厚生労働省は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間に待遇差が存在する場合に、いかなる待遇差が不合理なものであり、いかなる待遇差が不合理なものでないのか、原則となる考え方及び具体例を「同一労働同一賃金ガイドライン」に示しています。基本給、昇給、賞与、各種手当のほか、教育訓練や福利厚生等についても記載されています。
厚生労働省HP「同一労働同一賃金ガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000469932.pdf

2.企業に求められる対応

同一労働同一賃金に関し企業に求められる対策として、まずはパートタイム労働者、有期雇用労働者の区分ごとに、正規雇用労働者との待遇の状況(賃金、賞与、福利厚生等)の違いを確認してみてください。
待遇の相違があれば、なぜ待遇の違いを設けているのかを整理します。正規雇用労働者と非正規雇用労働者では、働き方や役割が異なるため、それに応じて待遇が異なることは当然あり得ますが、それが不合理な待遇差でないと言えるか確認します。
労働者から正規雇用労働者と非正規雇用労働者との待遇差の内容や理由について説明が求められた際には、事業主は説明義務を負います。単にパートだから、将来の役割が異なるため、といった主観的・抽象的な理由では待遇の違いについての説明にはなりません。
待遇差が「不合理ではない」とは言えない場合には、早急に待遇の改善を検討しましょう。

同一労働同一賃金については、待遇差につき事細かな検討が必要になり、また待遇差の解消に伴い就業規則及び諸規程の改定は必須となるため、実行にあたりハードルが高いと感じる経営者も多いと思います。非正規雇用労働者を多く抱えている企業にとっては、厳しい局面に向き合うこともあるでしょう。しかしこれが生産性の向上と労働者の待遇改善につなげる絶好の機会ととらえることもでき、労働者のモチベーションアップや人材の定着、組織の活性化にもつながります。しっかりと検討し、実行していきましょう。

著者プロフィール(溝口知実氏)

溝口知実 氏

特定社会保険労務士。溝口労務サポートオフィス代表。千葉県出身。大学卒業後、IT企業の人事労務経理業務、公的年金相談のスーパーバイザー、社会保険労務士事務所勤務等を経て、平成26年溝口労務サポートオフィスを開業。主な業務は中小企業の労務管理全般にわたる相談、コンサルティング、就業規則の作成・改訂等。社会保険労務士10年以上のキャリアを活かし、お客様の発展のために、生き生きと元気なヒトと会社、社会づくりに貢献することを目指し奮闘中。
http://www.mizoguchi-sr-office.jp/

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