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第46回 20年12月更新

新型コロナウイルスに感染した場合は労災保険の対象となるか

こんにちは。特定社会保険労務士の溝口知実です。
新型コロナウイルス感染症の拡大が止まらない状況となっています。職場で新型コロナウイルスに感染した場合、労災保険から給付があるのか、との問い合わせを多くいただいており、感染者の増加を実感しています。労働者が業務によって新型コロナウイルス感染症に感染した場合、要件を満たせば、労災保険給付の対象となります。今回は、職場で新型コロナウイルスに感染した場合の労災保険の対象となる要件について述べたいと思います。

労災保険とは、労働者の業務上の傷病、ケガ、障害又は死亡という業務災害が生じた場合に必要な労災保険給付を行うものです。労災保険の給付の対象とされるには、業務と傷病等の間に一定の因果関係があることが必要です。
新型コロナウイルスに感染した理由が、業務に起因したと認められる場合は、労災保険給付の対象となります。

労災給付の対象となる場合

・感染経路が業務によることが明らかな場合
・感染経路が不明の場合でも、感染リスクが高い業務※に従事し、それにより感染した蓋然性が強い場合
※感染リスクが高い業務とは
(例1)複数の感染者が確認された労働環境下での業務
(例2)顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下の業務
・医師・看護師や介護の業務に従事される方々については、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として対象

上記の通り、医療従事者等(医師や看護師、介護従事者等)は業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として対象となります。判断に困るのが医療従事者等以外の業務に従事する労働者が感染した場合です。医療従事者等以外の労働者の労災認定の考え方は下記の通りです。

・感染経路が特定された場合:感染源が業務に内在していることが明らかな場合は、労災保険給付の対象となる。
・感染経路が特定されない場合:感染経路が特定されない場合であっても、感染リスクが相対的に高いと考えられる業務(複数の感染者が確認された労働環境下での業務や顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務など)に従事し、業務により感染した蓋然性が高いものと認められる場合は、労災保険給付の対象となる。

認定にあたっては、新型コロナウイルスの潜伏期間内の業務従事状況、一般生活状況等を調査した上で、医学専門家の意見も踏まえて個々の事案に即して判断されます。

詳細は、厚生労働省HPのQ&A(項目「5労災補償」)でご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html#Q5-3

著者プロフィール(溝口知実氏)

溝口知実 氏

特定社会保険労務士。溝口労務サポートオフィス代表。千葉県出身。大学卒業後、IT企業の人事労務経理業務、公的年金相談のスーパーバイザー、社会保険労務士事務所勤務等を経て、平成26年溝口労務サポートオフィスを開業。主な業務は中小企業の労務管理全般にわたる相談、コンサルティング、就業規則の作成・改訂等。社会保険労務士10年以上のキャリアを活かし、お客様の発展のために、生き生きと元気なヒトと会社、社会づくりに貢献することを目指し奮闘中。
http://www.mizoguchi-sr-office.jp/

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