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第49回 21年06月更新

夫婦共働きの場合の健康保険被扶養者認定基準の改定について

こんにちは。特定社会保険労務士の溝口知実です。夫婦共働き家庭の場合、子どもなどの扶養者を夫婦どちらの健康保険の被扶養者とするかについて、本年4月30日に厚生労働省より通達「夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について」(令和3年4月30日 保国発0430第2号 保保発0430第1号)が発出されました。
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T210512S0010.pdf

夫婦共働きの場合の被扶養者の認定については、令和元年に成立した健康保険法等の一部改正に対する附帯決議として、「年収がほぼ同じ夫婦の子について、保険者間でいずれの被扶養者とするかを調整する間、その子が無保険状態となって償還払いを強いられることのないよう、被扶養認定の具体的かつ明確な基準を策定すること」が付されていました。
これにより、新たな取扱基準が定められました。令和3年8月1日から適用となります。下記、通達の内容です。※一部表記を変更しています。

1.夫婦とも被用者保険(会社員や公務員が加入する健康保険)の被保険者の場合

(1) 被扶養者の数にかかわらず、被保険者の年間収入(過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後1年間の収入を見込んだもの。以下同じ)が多い方の被扶養者とする。

(2) 夫婦双方の年間収入の差額が収入の多い方の1割以内である場合は、届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とする。

(3) 夫婦の双方又はいずれか一方が共済組合の組合員で、被扶養者とすべき者に係る扶養手当等の支給が認定されている場合には、その認定を受けている者の被扶養者として差し支えない。なお、扶養手当等の支給が認定されていないことのみを理由に被扶養者として認定しないことはできない。

(4) 被扶養者として認定しない保険者等(協会けんぽ、健康保険組合等)は、認定しない決定の通知を発出する。通知には、認定しなかった理由(年間収入の見込み額等)、加入者の標準報酬月額、届出日及び決定日を記載することが望ましい。

被保険者は不認定の通知を添えてもう一方の保険者等に届出する。

(5) (4)により、前の保険者等が発出した不認定通知とともに届出を受けたもう一方の保険者等は、当該通知に基づいて届出を審査し、前の保険者等の決定につき疑義がある場合には、届出を受理した日より5日以内に、不認定に係る通知を発出した前の保険者等と、夫婦どちらの被扶養者とすべきか年間収入の算出根拠を明らかにした上で協議する。

この協議が整わない場合には、前の保険者等に届出が提出された日の属する月の標準報酬月額が高い方の被扶養者とする。標準報酬月額が同額の場合は、被保険者の届出により、主として生計を維持する者の被扶養者とする。なお、標準報酬月額に遡及訂正があった結果、上記決定が覆る場合は、遡及が判明した時点から将来に向かって決定を改める。

(6) 夫婦の年間収入比較に係る添付書類は、保険者判断として差し支えない。

2.夫婦の一方が国民健康保険の被保険者の場合

(1) 被用者保険の被保険者については年間収入を、国民健康保険の被保険者については直近の年間所得で見込んだ年間収入を比較し、いずれか多い方を主として生計を維持する者とする。

(2) 被扶養者として認定しない保険者等(協会けんぽ、健康保険組合等)は、認定しない決定の通知を発出する。通知には、認定しなかった理由(年間収入の見込み額等)、届出日及び決定日を記別紙載することが望ましい。
被保険者は不認定の通知を添えて国民健康保険の保険者に届出する。

(3) 被扶養者として認定されないことにつき国民健康保険の保険者に疑義がある場合には、届出を受理した日より5日以内に、不認定の通知を発出した被用者保険の保険者等と協議する。この協議が整わない場合には、直近の課税(非課税)証明書の所得金額が多い方を主として生計を維持する者とする。

3.主として生計を維持する者が健康保険法に定める育児休業等を取得した場合、当該休業期間中は、被扶養者の地位安定の観点から特例的に被扶養者を異動しないこととする。

ただし、新たに誕生した子については、改めて上記1又は2の認定手続きを行うこととする。

4.年間収入の逆転に伴い被扶養者認定を削除する場合は、年間収入が多くなった被保険者の方の保険者等が認定することを確認してから削除することとする。

5 被扶養者の認定後、その結果に異議がある場合には、被保険者又は関係保険者の申立てにより、被保険者の勤務する事業所の所在地の地方厚生(支)局保険主管課長が関係保険者の意見を聞き、斡旋を行うものとする。

 

この取扱基準は令和3年8月1日から適用されます。被扶養者異動届の提出の際の収入確認書類の添付については保険者判断となるようですので、令和3年8月以降は留意が必要です。

著者プロフィール(溝口知実氏)

溝口知実 氏

特定社会保険労務士。溝口労務サポートオフィス代表。千葉県出身。大学卒業後、IT企業の人事労務経理業務、公的年金相談のスーパーバイザー、社会保険労務士事務所勤務等を経て、平成26年溝口労務サポートオフィスを開業。主な業務は中小企業の労務管理全般にわたる相談、コンサルティング、就業規則の作成・改訂等。社会保険労務士10年以上のキャリアを活かし、お客様の発展のために、生き生きと元気なヒトと会社、社会づくりに貢献することを目指し奮闘中。
http://www.mizoguchi-sr-office.jp/

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