S-PAYCIALコラム

S-PAYCIAL-Column

第20回 16年09月更新

長時間労働の抑制を目指す「勤務間インターバル規制」とは

こんにちは。特定社会保険労務士の溝口知実です。
厚生労働省は今年8月、安倍内閣が最重要課題に掲げる「働き方改革」実現のための一環として、来年度から「勤務間インターバル規制」を導入した中小企業に、助成金を支給する方針を固めたとの報道がありました(読売新聞他)。今回は、「勤務間インターバル規制」について解説します。

我が国では労働基準法により労働時間は1週間40時間、1日8時間と定められており、この時間を超えて労働させるには、労使間での協定(いわゆる36協定)の締結および労働基準監督署への届出が必要です。時間外労働の限度時間は厚生労働省による基準が定められていますが、特別条項付きの36協定を締結すれば、この基準を超えて働かせることもできます。そのため、わが国における時間外労働についての法規制は緩やかになっており、このことが長時間労働を改善できない一因であるとも指摘されています。

「勤務間インターバル規制」とは、終業時刻から次の始業時刻までの休息時間(勤務間インターバル)をしっかり確保しようという取組みのことで、長時間労働の抑制、労働者の健康維持や、ワーク・ライフ・バランスの向上を目的としています。

この「勤務間インターバル規制」を先駆的に導入したのが、欧州連合(EU)です。EU加盟国では、「EU労働時間指令」により、「24時間につき最低連続11時間の休息を確保すること」が企業に義務付けられています。例えば、午前9時から午後5時までが勤務時間である労働者が、午後11時まで残業した場合、その11時間後である翌日午前10時までは、始業時刻の午前9時を過ぎても就業させてはならないという規制で、その結果、1日の拘束時間は必然的に13時間未満になります。勤務間インターバル規制は、連続した休息時間を先に確保し、他の時間を労働時間に充てるという考え方です。

EUでは法律により義務付けられていますが、日本では企業レベルで自主的に導入されているにとどまり、法律により義務付けられてはいません。厚生労働省は、今のところ、勤務間インターバル規制を法制化するのではなく制度を導入した企業に助成金を支給することで、長時間労働の抑制を目指していく方針です。

勤務間インターバル規制の助成金は、来年度から既存の中小企業向け「職場意識改善助成金」を拡充し、コースを新設する予定で、就業規則の変更、出退勤時刻の管理システムの導入など、制度を導入するためにかかった費用の4分の3、上限額50万円程度とする方向です。助成金の対象となるインターバル規制を何時間から認めるかについては今後の協議により決定されます。

厚生労働省は9月から、36協定の見直しに向けた「働き方改革実現会議」を立ち上げ、残業時間上限規制の導入を検討する本格的な議論を開始しました。今後の動向が注目されます。

 

業務とシステムに精通した専門家集団によるアウトソーシングサービス

全面WEBの統合人事ソリューション(人事・給与・就業・ワークフロー)

著者プロフィール(溝口知実氏)

溝口知実 氏

特定社会保険労務士。溝口労務サポートオフィス代表。千葉県出身。大学卒業後、IT企業の人事労務経理業務、公的年金相談のスーパーバイザー、社会保険労務士事務所勤務等を経て、平成26年溝口労務サポートオフィスを開業。主な業務は中小企業の労務管理全般にわたる相談、コンサルティング、就業規則の作成・改訂等。社会保険労務士10年以上のキャリアを活かし、お客様の発展のために、生き生きと元気なヒトと会社、社会づくりに貢献することを目指し奮闘中。
http://www.mizoguchi-sr-office.jp/

バックナンバー

S-PAYCIALコラムTOPへ戻る

PAGE TOP