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第24回 19年10月更新

就労証明書、まだ手書きで作成していますか?

認可保育所等の入所を申し込む場合、働いていることを証明するために「就労証明書」を添付する必要があります。就労の事実を証明するものですから、当然ながら会社側で記入する必要があります。
人事担当者などで作成したことがある方はお分かりかと思いますが、これがなかなか大変な書類で、勤務形態や時間帯、直近数か月の給与支払額など多くの内容を記載しなければなりません。しかも、就労証明書の様式は各市区町村でそれぞれ決められており、その従業員が住んでいる市区町村の様式で作成する必要があります。
大企業などは、就労証明書の作成依頼も当然多くなりますが、毎回手書きで作成では多くの工数が取られます。また、様式についても、本人が市区町村の役所に出向いて入手するとなると面倒です。

マイナポータルに作られた企業向けサービス

前述のような課題に対応するため、マイナポータルの「ぴったりサービス」というメニューの中に「就労証明書作成コーナー」が設けられ、平成30年10月にサービスがスタートしました。
そもそもマイナポータルの「ぴったりサービス」とは、市町村の子育てや介護をはじめとする行政サービス検索・オンライン申請や届出ができるサービスです。主に個人が自分の住む市区町村の情報を得たり、マイナンバーカードを使って電子申請をしたりするものですが、「就労証明書作成コーナー」は企業の人事部門が利用することを想定したサービスです。

出典:内閣府ホームページ(https://www.cao.go.jp/bangouseido/pdf/shuroushoumei_merit.pdf

就労証明書作成コーナーの機能とは

就労証明書作成コーナーでは何かできるのでしょうか。
まず、市区町村を指定すれば、その市区町村の様式でWeb画面から入力を行うことができます。人事システム等のデータを利用しながら入力すれば、手書きに比べて非常に楽に作成することが可能となります。また、手書きしたい場合には様式のダウンロードも可能です。本人から記入用紙を提出してもらわなくても、依頼があればこのサイトから用紙を印刷して作成できます。
ここまでは平成30年10月からサービスが提供されていますが、令和元年8月からさらに機能が強化され、企業にとってより便利に利用できる方法が広がりました。1点目は、CSV形式でのダウンロード、アップロード機能です。複数の従業員の就労証明書を作成する場合には、ダウンロードしたデータをExcel等で編集することで対応できるため、作成する機会が多い企業にとってはより便利に利用できます。
2点目は、APIが利用できるようになる点です。これにより、自社の人事給与システムから直接「就労証明書作成コーナー」を扱うことが可能となります。つまり、人事給与システムで管理しているマスターデータをそのまま利用することができるため、入力の手間も軽減できるということになります。自社利用のためだけにAPI連携の開発をするというのは大袈裟なものになりますが、もし民間のパッケージソフトが標準機能として対応してくれば、是非とも活用したい機能になるでしょう。e-GovのAPI申請については、令和2年度からの義務化に向けて各パッケージソフトが対応を進めています。政府のシステムに企業側がAPIで直接つながることで、手続きの手間を減らし生産性の向上が実現できることは素晴らしいことです。

今後の行政手続簡素化の流れにも期待

就労証明書の作成は少し地味な業務かもしれませんが、大企業の担当者としてはそれなりに工数がかかる業務です。市区町村毎に様式が違うなどの事情がネックとなっていましたが、それを上手くシステム化し、企業の作成業務から個人の電子申請までを実現している点は、政府が進めている「行政手続簡素化」の原則に沿ったものとして評価できます。今後も各種の行政手続が電子化、様式統一化など、各種の簡素化の施策が進められますが、自社の業務効率化につなげられるよう、情報収集を常にしておきたいところです。

著者プロフィール(野田宏明氏)

ITS社会保険労務士法人 代表
社会保険労務士。情報処理技術者(ITストラテジスト、プロジェクトマネージャ、アプリケー ションエンジニア)。
メーカー系IT企業にて人事業務のシステムコンサルタントに従事。大規模から中小規模まで多くの企業に対し、人事業務における業務コンサルティングからシステムの導入・運用保守まで一貫した対応を多数実施する。
その後、社会保険労務士として現職に至る。労務相談や教育講師の他、電子申請、給与計算などの領域にてITを活用した効率化をご提案する社会保険労務士として活躍中。
このコラムでは、社労士とシステムコンサルの視点にて、労務管理の様々なテーマを取り上げていきたいと思います。
http://www.it-sharoushi.jp/

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