石田昇吾
第51回  投稿:2025.01.16 / 最終更新:2025.01.16

不動産取得時の会計処理の注意点①

鈴与シンワートが提供する管理部門の業務ソリューション

今回は、不動産を購入する際に注意すべき会計処理について解説いたします。

1.未経過固定資産税の取り扱い

 不動産の売買時には、未経過固定資産税分の金額を精算する慣習があります。
ですが、固定資産税は1月1日の所有者が納税義務者となりますので、あくまでも上記精算金は、「租税公課」などの科目は使わず、売買の対価の一部として処理するのが妥当と考えられます。
当然、建物部分には消費税が課税されます。

不動産の売買時の手続き

2.仲介手数料の取り扱い

 不動産を購入した際に支払う仲介手数料は、資産取得の際に支払う付随費用という扱いとなるため、不動産の取得原価に算入します。
なお、建物と同時に土地を購入した場合は、「建物にかかる費用」と「土地にかかる費用」に区別して固定資産計上しなければなりません。請求書の内訳で区分されていない場合の按分方法は、本体同様に固定資産税評価額などの土地建物評価比率を参考に合理的な基準で行ないます。

なお、建物に振り分けられた仲介手数料は減価償却費として費用計上が可能です。
土地に振り分けられた仲介手数料は減価償却できませんが、仲介手数料自体は消費税法上は課税仕入に該当する点に注意してください。

3.不動産取得税・登録免許税

 不動産を購入する際に必然的に生じる不動産取得税及び登録免許税は、税法上、一時の損金(費用)として処理することが認められています。
性質的には不動産取得の際に付随的に生じる費用なので、取得価額に算入する処理が会計上の原則と考えられますが、税法の取り扱いに引っ張られる形で、租税公課として処理するケースが多いと思われます。

4.建物と建物付属設備の区分について

 建物付属設備とは、建物の躯体以外の設備(電気設備や給排水設備、冷暖房設備)で、税法上の耐用年数は15年のものが多いため、建物本体の耐用年数よりもかなり短い期間での減価償却費計算が可能です。

新築物件の場合は、工事明細から建物と建物付属設備に分けて計上することができます。
ただし、中古物件の場合、建物と建物付属設備の区分が困難な場合が多いです。
全額建物とする処理は、実態とかけ離れていますし、減価償却費が少なめに計上されてしまうという問題点がありますので、合理的に建物本体と建物付属設備に区分する必要があります。

建物の減価償却について

国税不服審判所の平成13年2月19日の裁決要旨によると、「固定資産税評価額の再建築費評点数表を用いて構造別の再建築費評点数の割合により区分する。」という方法が例示されております。
これは1例ですが、合理的な方法により按分する必要があるという点だけご留意下さい。

以上 不動産取得時の会計処理の注意点①について取り上げました。


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