石田昇吾
第04回  投稿:2017.09.27 / 最終更新:2019.07.03

生命保険に関する経理処理について(その1)

第4回は、法人が支出した生命保険の会計処理について、具体例を挙げながら説明したいと思います。

会社が養老保険の保険料を支払ったとき

①死亡保険金受取人が法人、満期保険金受取人が法人、被保険者が役員の場合

養老保険とは、「老後を養う保険」のことで、貯蓄性の高い保険になります。
貯蓄性が高いため、支払った保険料は、全額、保険料積立金(投資等の部)として処理します。

保険料積立金 30,000円       現金預金 30,000円

②死亡保険金受取人が役員従業員の遺族、満期保険金受取人が法人、被保険者が役員・従業員全員の場合

この場合は、貯蓄と保障(福利厚生)の両方の意味合いがあるため、保険料のうち半額は、保険料積立金(投資等の部)として処理し、残りの半分を支払保険料として費用処理します。

保険料積立金 15,000円       現金預金 30,000円
支払保険料  15,000円

③上記①の保険料に付帯する損害特約の保険料を支払った。

特約保険料は、期間の経過に応じて費用処理されます。

支払保険料 1,000         現金預金 1,000

定期保険を支払ったとき

①定期保険を支払った

定期保険は、保障に特化した低額な保険商品で、掛け捨てが基本となりますので、支払った保険料は、全額、支払保険料として費用処理します。

支払保険料 3,000         現金預金 3,000

②長期平準定期保険(いわゆる100歳定期)を支払った

死亡保険金受取人が法人、満期保険金受取人が法人、被保険者が従業員又は役員の長期平準定期保険に加入する場合があります。節税が主な目的となります。長期平準定期保険は、保険満了期間が70歳を超えるまで支払うため、定期保険でありながら長期にわたって支払われ、解約返戻金の金額も多額となることから、貯蓄性も兼ねそろえた保険商品といえます。そのため、保険料のうち半額は、保険料積立金(投資等の部)として処理し、残りの半分を支払保険料として費用処理します。

保険料積立金 15,000       現金預金 30,000
支払保険料  15,000

③逓増定期保険を支払った

逓増定期保険は、ある程度高齢の役員の退職金を積み立てるために利用されることの多い定期保険です。期間の経過とともに保障金額が最大で5倍まで増加する特徴を持っています。経理処理は、保険料のうち半額は、保険料積立金(投資等の部)として処理し、残りの半分を支払保険料として費用処理するのが原則ですが、保険商品によっては、全額、支払保険料として費用処理するものも存在しますので、保険証券等をよく確認の上、処理するようにしてください。

保険料積立金 50,000       現金預金 100,000
支払保険料  50,000

又は

支払保険料 100,000         現金預金 100,000

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