減価償却に関する経理処理について①
目次
今回は、減価償却に関する経理処理について解説いたします。
1.【建物の減価償却】
当社は、3月決算である。平成30年5月に取得価格15,000,000円の建物を取得し、同月中に使用を開始したが、期末に耐用年数50年で減価償却を行った。(定額法を用いる。)
<仕訳> | 減価償却費 275,000 減価償却累計額 275,000 |
<計算方法> | 15,000,000円(取得価格)×0.02(1÷耐用年数=償却率)×11ヶ月(使用した分の月数)÷12ヶ月=275,000円 |
※税法上、建物の償却方法は定額法のみですが、平成10年3月31日以前に取得した建物については定率法の選択も認められています。
また、平成19年4月1日以降に取得する建物については、「新定額法」が採用されます。
※「新定額法」とは
法定耐用年数経過時点における残存価額が0円となる償却率により、法定耐用年数にわたって均等に償却する方法。
2.【200%定率法】
当社は、3月決算である。平成30年6月に取得価格500,000円(耐用年数5年、定額法の償却率を2倍した償却率0.4)の業務用冷蔵庫を取得し、同月中に使用を開始したが、200%定率法により期末に減価償却を行った。
なお、保証率は0.10800で、改定償却率は0.5である。
第1期 | 減価償却費 166,666 減価償却累計額 166,666 |
<計算方法> | ① 500,000円(取得価格)×0.4×10ヶ月÷12ヶ月=166,666円 ② 500,000円×0.108(保証率)=54,000円 ①の方が②よりも大きいので①の金額を使用。 |
第2期 | 減価償却費 133,333 減価償却累計額 133,333 |
<計算方法> | ① (取得価格-166,666【第1期減価償却額】)×0.4=133,333円 ② 500,000円×0.108=54,000円 ①の方が②よりも大きいので①の金額を使用。 |
第3期 | 減価償却費 80,000 減価償却累計額 80,000 |
<計算方法> | ① (取得価格―第1期減価償却額―第2期減価償却額×0.4=80,000円 ② 500,000円×0.108=54,000円 ①の方が②よりも大きいので①の金額を使用。 |
第4期 | 減価償却費 60,000 減価償却累計額 60,000 |
<計算方法> | ① (取得価格―第1期分減価償却―第2期分減価償却―第3期分減価償却)×0.4=48,000円 ② 500,000円×保証率=54,000円 ③ ①よりも②が大きいので、改定償却率を用いて、減価償却を行う。 ④ (500,000-379,999【改定前減価償却の総額】)×0.5=60,000円 |
第5期~ | 減価償却費 60,000 減価償却累計額 60,000 |
<計算方法> | ① 500,000-379,999―60,000―1=60,000 |
平成24年4月1日以降に終了する事業年度の法人税から適用されます。そのため、4月1日以降に取得する減価償却資産の定率法は、「定額法の償却率」を「2倍」にしたものが「200%定率法」となります。
また、この方法は、耐用年数から経過期間を控除した期間内に帳簿価額を定額法で全額償却することを仮定して計算した償却費を下回るとき(上記の仕訳ですと第4期から)に「定率法」から「定額法」に切り替え、備忘価額まで償却する方法です。
残りは、次回に記載いたします。
-
第49回損害賠償金の会計・税務② ~取り扱い(具体例)と消費税の取り扱いについて~
-
第48回損害賠償金の会計・税務①
-
第47回永年勤続表彰に関する経理処理について
-
第46回一括売買した土地・建物の内訳が不明な場合の按分について
-
第45回ストックオプション制度について②
-
第44回ストックオプション制度について①
-
第43回インボイス制度の実務③インボイス制度における税額計算
-
第42回インボイス制度の実務②インボイス制度における税額計算
-
第41回インボイス制度の実務①インボイスの記載事項 その3
-
第40回インボイス制度の実務①インボイスの記載事項 その2
-
第39回インボイス制度の実務①インボイスの記載事項 その1
-
第38回暗号資産(仮想通貨)に関する経理処理について④
-
第37回リース資産の減損会計について
-
第36回減損会計について
-
第35回事業譲渡に伴う資産除去債務の処理方法について 考え方①
-
第34回貸倒引当金についての会計税務
-
第33回ポイント引当金について
-
第32回特別損失に関する会計処理
-
第31回のれんに関する会計処理
-
第30回税効果会計①について
-
第29回自己株式に関する経理処理について②
-
第28回会計と税務の相違点について①
-
第27回生命保険に関する経理処理について(その4)
-
第26回生命保険に関する経理処理について(その3)
-
第25回役員賞与に関する法人税および消費税の取扱に関する処理①について
-
第24回補助金・助成金・給付金に関する法人税および消費税の取扱に関する処理について
-
第23回地代家賃に関する法人税および消費税の取扱に関する処理について
-
第22回切手代等に関する会計処理ならびに法人税および消費税の取扱に関する処理について
-
第21回仮想通貨に関する経理処理について③
-
第20回不動産取引に関する経理処理①について
-
第19回合併に関する経理処理①について
-
第18回リース取引に関する経理処理について①
-
第17回本店・支店取引に関する経理処理(決算)について②
-
第16回本店・支店取引に関する経理処理について①
-
第15回減価償却に関する経理処理について②
-
第14回減価償却に関する経理処理について①
-
第13回現金・小口現金に関する経理処理について
-
第12回自己株式に関する経理処理について
-
第11回手形に関する経理処理について①
-
第10回研究開発費に関する経理処理について
-
第09回仮想通貨に関する経理処理について②
-
第08回仮想通貨に関する経理処理について①
-
第07回有価証券に関する経理処理について(売買目的有価証券 編)
-
第06回資産除去債務に関する経理処理について
-
第05回生命保険に関する経理処理について(その2)
-
第04回生命保険に関する経理処理について(その1)
-
第03回繰延資産についての経理処理
-
第02回税込経理と税抜経理の処理の注意点~消費税の経理処理について~
-
第01回確定給付年金と確定拠出年金の会計処理について