石田昇吾
第17回  投稿:2019.06.20 / 最終更新:2019.06.20

本店・支店取引に関する経理処理(決算)について②

今回は、本店・支店取引に関する経理処理について解説いたします。

1.未達取引を整理した

①本店より期末日に発送した事務用品費40,000円が、期末日では沖縄支店では未着であった。
②沖縄支店で期末日に立替払いした北海道支店負担の商品600,000円が北海道支店では未達であった。
③北海道支店から送られたパソコン150,000円が、期末日には本店では未着であった。

~支店分散計算制度の場合~

【本店】

① 記帳済み
③ 未達備品 150,000 / 北海道支店 150,000

 

【沖縄支店】

① 未達事務用品費 40,000 / 本店 40,000
② 記帳済み

 

【北海道支店】

② 未達商品 600,000  /  沖縄支店 600,000
③ 記帳済み

 

~本店集中計算制度の場合~

【本店】

① 記帳済み
② 記帳済み
③ 未達備品 150,000 / 北海道支店 150,000

 

【沖縄支店】

① 未達事務用品費 40,000 / 本店 40,000
② 記帳済み

 

【北海道支店】

② 未達商品 600,000  /  本店 600,000
③ 記帳済み

 

~解説~
決算日近くの取引の場合、相手に到着しない場合があり、このような取引を「未達取引」といいます。決算にあたって本店勘定と支店勘定の不一致を修正するために行う仕訳です。

2.内部利益の償却を行う

会社決算にあたり、千葉支店で期末在庫商品のうち300,000円と柏支店の未着商品600,000円に含まれる内部利益を消去する。いずれも本店からの仕入分であり、本店では原価に20%の利益を加算している。

本店損益 150,000 / 商品 50,000

未達商品 100,000

(300,000+600,000)×20/120=150,000

 

~解説~
本支店間の売買であっても、取得原価に利益を加算して取引されることがありますが、これは内部取引であり、企業外部に販売されて初めて実現利益になります。
そこで、内部利益が残っている場合、本店の損益勘定は、未実現な利益を含まれたままになってしまい企業の損益計算上、正確ではないため内部利益を消去します。
この結果、在庫商品も企業全体として取得原価に修正されます。

3.支店の会計帳簿を締切った

 各視点の損益が以下のようなものであったが、帳簿締切に必要な仕訳を行う。

金沢支店 6,000,000円の利益
津支店    400,000円の損失

 

【本店】

金沢支店 6,000,000 / 金沢支店当期純利益 6,000,000
津支店当期純損失 400,000 / 津支店 400,000

 

【金沢支店】

支店純利益 6,000,000 / 本店 6,000,000

 

【津支店】

本店 400,000 / 支店純損失 400,000

 

~解説~
支店の会計帳簿を締め切るためには、支店の損益勘定を本店に振替処理をします。
支店の損益勘定の貸借差額が支店の純損益で、これを本店の損益勘定に振替処理をすることによって、支店損益勘定の締切が完了し、本店損益勘定で一企業の純損益が計算できるようになります。

~注意~
貸借対照表科目は独立企業と同様に次期に繰り越します。

以上 今月は本店・支店取引の決算時の処理について取り上げました。

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