石田昇吾
第24回  投稿:2020.07.15 / 最終更新:2020.07.15

補助金・助成金・給付金に関する法人税および消費税の取扱に関する処理について

今回は、補助金・助成金・給付金に関する法人税および消費税の取扱に関する経理処理について解説いたします。

1、法人税法上の扱い

まず、法人税法上は「課税対象」となっております。法人税法では、補助金に関する別段の定めがないうえに、補助金は「増資」などの資本取引ではないため、収益と考えられ課税対象となります。

2、消費税法上の扱い

次に、消費税法上は「課税対象外」となっております。消費税法では、事業者が国、または地方公共団体から受け取る助成金や補助金は、資産の譲渡等の対価に該当しないためです。
また、受け取った補助金を使って経費を支出した場合、原則として消費税の仕入税額控除を適用することができます。つまり、補助金を受け取ったときが「消費税課税対象外」、補助金で経費などを支払った場合が消費税の係る取引であれば「消費税課税対象」となります。

仕訳例
弊社は、国に持続化給付金を申請し、本日入金が2,000,000円あった。

普通預金        2,000,000 雑収入(消費税対象外)   2,000,000

 

3、圧縮記帳

圧縮記帳とは税法の規定で、1、の例外的な取扱いになります。有形固定資産を取得した際の補助金・保険金などの収益を固定資産の取得額から減額し、減額額を圧縮損として計上して、収益金と相殺する方法です。その事業年度の税負担を減らす効果があります。
補助金などの収益に課税されることにより税金が発生し、補助金を受けた目的資産を取得できない状況に陥ることのないように、租税政策と産業政策の点から設けられた制度です。特定資産の不動産の譲渡益や土地の交換差益なども収益として圧縮記帳の対象となります。
ただし、固定資産の簿価が圧縮されることで、毎年の減価償却費が少なくなるため、圧縮記帳は課税関係を将来に繰り延べる制度となります

※圧縮記帳の対象となる補助金は、一定の要件があります。

仕訳例
<直接減額方式による仕訳>
①土地取得のための補助金を150万円受け取った。

現金預金      1,500,000 雑収入        1,500,000

 

①の補助金を使って、土地を取得した。

土地          2,000,000

 

現金預金             2,000,000

 

 

土地圧縮損の計上

土地圧縮損         1,500,000 土地            1,500,000

※上記の様に、①の補助金取得時の雑収入(収益)と同額の土地圧縮損(費用)を計上することにより、補助金に対して法人税が課税されないようにすることができます。

※後に、上記の土地を仮に200万円で売却した際の仕訳は以下の通りです。

売却時

現金預金               2,000,000

0

土地          500,000

土地売却益          1,500,000

 

 

このように、取得時に土地の取得価額を圧縮し、補助金に対する税金を繰り延べた結果、土地売却時には、150万円の売却益が計上されます。(土地取得時に繰り延べられた補助金に対する収益は、売却時に計上されることになります。)

以上 補助金・助成金・給付金に関する法人税および消費税の取扱に関する経理処理について取り上げました。

タグ:
著者のコラム一覧
あさレポ
ここレポ
S-port
物流コンサルティング
あさレポ
ここレポ
S-port
物流コンサルティング
800社以上の導入実績

3,700社以上の導入実績

弊社コンサルタントによる説明・お見積り依頼など、お気軽にご連絡ください。

PDF資料ダウンロード

詳しい資料のダウンロードはこちらから

3,700社以上の導入実績

3,700社以上の導入実績

弊社コンサルタントによる説明・お見積り依頼などお気軽にご連絡ください。

PDF資料ダウンロード

詳しい資料のダウンロードはこちらから