石田昇吾
第31回  投稿:2021.08.18 / 最終更新:2021.08.18

のれんに関する会計処理

今回は、合併や買収に伴って生じる「のれん」の会計処理について解説いたします。

1.のれんの処理及び考え方

(例1)
A社の営業の全てを9,900,000円(税込み)で譲り受けた。

A社より引き継いだ資産は以下の通りである。(税抜き金額)
商品      1,000,000円
建物付属設備  2,500,000円
器具備品    2,000,000円
敷金      1,000,000円

(借方)                         (貸方)
商品                1,000,000        普通預金  9,900,000
建物付属設備    2,500,000
器具備品        2,000,000
敷金              1,000,000
仮払消費税等     900,000
のれん       2,500,000

のれんとは、企業経営の中で培われた超過収益力のことを指します。具体的には、商品のネームバリュー、従業員の質、政治的恩典など、貸借対照表に載らない資産の事です。上記の例では、引き継ぐ資産の総額が、6,500,000円なのに対し、9,000,000円の対価を支払っています。この2,500,000円分が「のれん」として貸借対照表の無形固定遺産に計上されます。

なお、会計上、のれんは、決算時に20年以内のその効力がおよぶ期間にわたって償却しますが、税務上は5年償却とされています。

※決算時の処理
(借方)                     (貸方)
のれん償却       500,000          のれん   500,000

2.負ののれんの場合

(例2)
A社の営業の全てを5,500,000円(税込み)で譲り受けた。

A社より引き継いだ資産は以下の通りである。(税抜き金額)
商品     1,000,000円
建物付属設備   2,500,000円
器具備品     2,000,000円
敷金       1,000,000円

(借方)               (貸方)
商品                1,000,000     普通預金     5,500,000
建物付属設備    2,500,000               負ののれん発生益 1,500,000
器具備品        2,000,000     (特別利益)
敷金              1,000,000
仮払消費税等   500,000

(例2)のケースでは、のれんが貸方に発生するケースです。引き継ぐ資産の価格以下で譲り受ける形となるため、通常は想定しにくいケースと言えますが、例えば訴訟リスクを抱えているような場合に起こります。

貸方側に発生するのれんを「負ののれん」と呼び、通常ののれんと違って、会計上は、一時で収益処理します。ただし、税務会計上の負ののれんは、「差額負債調整勘定」という負債の項目に計上し、ここから5年にわたって益金に計上して行きます。つまり、負ののれんで得た利益に対する課税は、5年かけて行なわれるという事です。

3.自己創設のれんについて

1.で解説した通り、のれんとは、超過収益力の対価を指しますが、長年企業の内部において培われてきた超過収益力「自己創設のれん」も現実には存在します。この「自己創設のれん」は、M&Aにより獲得されたのれんと異なり、自らこれを評価して貸借対照表に計上することは認められていません。

以上 のれんについて取り上げました。

なお、IFRSを適用している法人は、上記と異なる処理になりますので、ご注意ください。

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