石田昇吾
第40回  投稿:2023.02.10 / 最終更新:2023.02.07

インボイス制度の実務①インボイスの記載事項 その2

今回は前回に続いて、最も基本的なインボイスの記載事項について解説いたします。

消費税の納税額に直接影響のある、記載金額の計算方法が今回のテーマです。

 

インボイス(適格請求書)の記載事項

① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号

② 課税資産の譲渡等を行った年月日

③ 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)

④ 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに区分して合計した金額及び適用税率

⑤ 税率ごとに区分した消費税額等
(消費税額及び地方消費税額に相当する金額の合計額をいいます。以下同じです。)

⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

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④ 課税資産の譲渡等の税抜価額又は税込価額を税率ごとに
  区分して合計した金額及び適用税率

⑤ 税率ごとに区分した消費税額等

1.消費税額の計算方法

インボイス作成の上で最も重要なのは、消費税の計算は請求書の中で1回しか行わないという点です。

これまでであれば、複数の商品が請求書に記載されているような場合、それぞれの商品ごとに消費税の計算を行って最終的に合算する、ということが可能でした。

インボイス制度においては、このような計算は認められず、複数の商品があった場合でも税率ごとに全ての金額を合計し、その後で消費税の計算を行うこととなります。

 

例えば次のような商品の請求書を作成する場合、

 

商品A  10,000円(内税)

商品B  12,000円(内税)

商品C  15,000円(内税)

 

商品ごとに消費税の計算をしてしまうと、消費税額は

 

10,000円×10/110≒909円

12,000円×10/110≒1,090円

15,000円×10/110≒1,363円    合計で3,362円となります。

 

これらを合算してから計算した場合は、

 

(10,000円+12,000円+15,000円)×10/110≒3,363円 となり、1円の差額が生じます。

 

これは、1円未満の端数処理を行う回数が異なるためで、仮に何千、何万の商品について同様に処理を行うと、差額はさらに大きくなります。

端数の切り捨てを恣意的に複数回行うことで消費税額だけを計算上少なくすることが可能になってしまうため、今回、合計金額に対して一回だけ消費税の計算を行う(端数処理を行う)ことと決められました。

仮に消費税額を少なくする意図がなかったとしても、記載要件を満たさないこととなってしまうため、現在商品ごとに消費税の計算を行っている方は注意が必要です。

 

2.金額の記載方法

金額の記載方法については、税抜価額と税込価額のどちらで記載してもよいこととなっております。

ただし、一つの請求書内に税抜価額の商品と税込価額の商品が混在するような場合には、まずどちらかに統一してから合計金額を計算する必要がございます。

なお、税込価額を税抜価額に直す場合(もしくはその逆の場合)においては、個々の商品ごとに計算を行い、端数処理を行っても構いません。これはあくまでも消費税額の計算ではなく、商品本体の価格の決定であるため、事業者が任意で端数処理を行うことが認められています。

 

次回は、⑥について、解説いたします。

(参考:国税庁インボイス制度Q&A問48 令和4年12月27日現在)

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