石田昇吾
第48回  投稿:2024.10.08 / 最終更新:2024.10.09

損害賠償金の会計・税務①

鈴与シンワートが提供する管理部門の業務ソリューション

損害賠償金(損害賠償金には、慰謝料、示談金、見舞金等の名目を問わず、他人に与えた損害を補てんするために支払う一切の金額が含まれます)を支払った場合や受け取った場合には、様々な税務上の取り扱いがあり、これらについて記載いたします。

損害賠償金の会計・税務

1.損害賠償金を支払った場合

①法人の場合

法人が損害賠償金を支払った場合、その損害賠償金の対象となった行為が、

(ア)法人の業務と関連性がある
(イ)故意又は重過失に基づくものではない

の2要件を満たした場合、税務上、損金算入が可能です。

逆に上記2要件を満たさない場合には、役員や使用人に対する債権となります。
その債権を回収しない場合には、給与(又は役員報酬)を支給したことになりますので、注意が必要です。

会計処理:税務上の扱いに関係なく、「損害賠償金」として仕訳処理をして問題ないかと思います。
     ただし、役員・従業員に対して求償する場合には、「短期貸付金」などの科目で処理してください。

②個人の場合

(ア)事業主が加害者の場合

事故が業務に関連のないものは必要経費になりません。
また、業務に関連していたとしても、事故原因に故意または重大な過失があった場合も必要経費になりません。
酒気帯び運転や信号無視などがそれに該当します。

(イ)使用人が加害者の場合

使用人の行為に関し事業主に故意または重大な過失がある場合には、使用人に故意または重大な過失がないときであっても事業主の必要経費になりません。
使用人の行為に関し、事業主に故意または重大な過失がない場合には、使用人に故意または重大な過失があったかどうかを問わず、業務に関連するものは事業主の必要経費になります。
業務に関連しないもので、家族従業員以外の使用人で雇用主の立場上やむを得ず負担したものは事業上の必要経費になります。

損害賠償金の会計・税務

2.損害賠償金を受け取った場合

①法人の場合

法人が他の者から損害賠償金の支払いを受ける場合、その損害賠償金相当額を益金の額に算入します。
益金の額に算入する時期は、原則的に支払いを受けることが確定した日の属する事業年度となります。

会計処理:「雑収入」として仕訳処理をして問題ありません。営業外利益とするか特別利益とするかは金額の大小によって決定いたします。

②個人の場合 

個人が、心身に加えられた損害について支払いを受ける損害賠償金は、非課税となります。
個人事業主が、事業所得の必要経費を補てんするために受け取る損害賠償金については、事業所得の総収入金額に算入することになります。

以上 今回は、損害賠償金の扱いについて取り上げました。
次回は、具体例を取り上げつつ、深堀りしていきたいと思います。


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