石田昇吾
第49回  投稿:2024.10.30 / 最終更新:2024.10.28

損害賠償金の会計・税務② ~取り扱い(具体例)と消費税の取り扱いについて~

鈴与シンワートが提供する管理部門の業務ソリューション

 今回は、損害賠償金の会計・税務上の取り扱いを具体例を挙げて説明するとともに、消費税の取り扱いについて解説いたします。

前回のコラム「損害賠償金の会計・税務①」はこちら

1.損害賠償金の具体例

(例1)

 個人事業主Aは、自身の事業用の店舗に車が飛び込んできたことにより、店舗に多大な損害を受け、自身も軽傷を負った。相手方は全面的に過失を認めており。損害賠償金¥3,000,000を受け取った。損害賠償金の内訳は以下の通りである。

①事業主Aの怪我の慰謝料 ¥500,000
②事業主Aの車両の修理費用 ¥900,000
③商品に加えられた損害に対する賠償金 ¥1,600,000

⇒①については、個人が心身に加えられた損害であるため、非課税所得となります。
 ただし、医療費控除を受ける場合には、支払った医療費の額から差し引くことになります。

 ②については、個人が資産に加えられた損害であるため、非課税所得となります。

 ③については、同じ資産に加えられた損害であっても、棚卸資産の損害に対する損害賠償金であるため非課税にならず、事業所得の収入金額となります。

(例2)

 B株式会社の従業員Cは、取引先の接待の際に、顧客と口論になり手拳で顔面を殴って怪我を負わせた。B株式会社は、損害賠償金として、取引先に対して損害賠償金¥2,000,000を支払った。

⇒本件は、接待中の出来事であるため、「業務関連性」はあるものの、一連の行為には「故意又は重過失がある」と思われるので、B株式会社が支払った損害賠償金は、従業員Cに対する貸付金として処理するのが原則です。

損害賠償金の具体例

2.消費税法上の取り扱い

消費税法では、損害賠償金については、「対価性がない」という考え方が原則であるため、通常は資産の譲渡等の対価に当たりません。つまり、消費税は不課税となります。ただし、その損害賠償金が以下の3つに該当する場合には、その実質からみて資産の譲渡または貸付けの対価に当たり、課税の対象とされます。

損害賠償金の消費税法上の取り扱い

①損害を受けた棚卸資産等が加害者に対して引き渡される場合において、その資産がそのまままたは軽微な修理を加えることによって使用することができるときにその資産の所有者が収受する損害賠償金

⇒損害賠償金という名目であっても、実質的に販売の対価として受け取っていると考えられるため。

②特許権や商標権などの無体財産権の侵害を受けた場合に権利者が収受する損害賠償金

⇒損害賠償金という名目であっても、実質的に、特許権等の使用料と同様の性質と考えられるため。

③事務所の明渡しが遅れた場合に賃貸人が収受する損害賠償金

⇒損害賠償金という名目であっても、実質的に、家賃と同様の性質と考えられるため。

以上 損害賠償金について取り上げました。なお、上記の取り扱いは、賠償金・示談金などの名称によって判定するのではなく、その実質によって判定いたしますので、ご留意ください。


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