石田昇吾
第50回  投稿:2024.11.26 / 最終更新:2024.11.25

支度金に関する会計処理と税務

鈴与シンワートが提供する管理部門の業務ソリューション

企業は、社員の入社や転居などの際に、「支度金」を支給する場合があります。今回は、その支度金の経理処理・税法上の取り扱いについて解説いたします。

1.会計上の取り扱い

①入社支度金の会計処理

新入社員に対して期待を込めて企業が経済的な支援を提供する場合があります。入社支度金は引越し費用などに利用されることが多いので、「旅費交通費」として会計処理される場合もありますが、「福利厚生費」も一般的に使用されます。

なお、雇用契約が成立する前に支出する場合には、契約金としての性格が強いため、「採用教育費」等の科目が考えられます。

②転勤支度金の会計処理

 既存の社員が転居する際にも支度金を支払う場合があります。この場合は、使途が事実上引越しに限定されますので、勘定科目は、「旅費交通費」とするのが妥当と考えられます。

2.所得税の取り扱い

①入社支度金の場合

 支度金は、雇用関係に基づいて支給されることを考えると、所得区分は給与所得となりますが、例外的に、「転居費用として通常必要と認められる金額」については非課税とされます。また、入社に際して、一律に支払われるような支度金は、転居等を伴うとは限らないため、課税対象の所得となります。また、所得区分は、契約金としての性格が強いと考えられるものは、「雑所得」として区分されます。

支度金に関する所得税の取り扱い

②転勤支度金の場合

 既存の社員が転居する際に支払われる支度金は、給与所得として課税されるのが原則です。ただし、支度金は、本来、転居するための引越代などの費用を弁償する性格であり、社員に利益があったとは考えらないため、「転居費用として通常必要と認められる金額」については非課税とされています。

3.消費税の取り扱い

社員に支給した支度金のうち、通常必要であると認められる部分の金額は、課税仕入れに係る支払対価に該当するものとして仕入税額控除の対象となります。「転居について通常必要と認められる部分の金額」の範囲については、上記所得税の取り扱いにより判定することになっておりますので、所得税で非課税の取り扱いがなされる支度金は、消費税では課税仕入れとなります。

 また、他社から従業員を引き抜くための「引抜料」については、上記に関わらず、課税仕入れに該当します。

4.法人税の取り扱い

支度金については、所得税の取り扱いに関わらず、損金算入が可能です。ただし、所得税で給与として取り扱われるものについては、支払時に源泉徴収をする必要があります。

以上 支度金について取り上げました。 「通常必要と認められる金額」が具体的にいくらなのかは、個々の事例ごとに判断することになりますので、その都度、顧問税理士へお問い合わせください。

支度金に関する法人税の取り扱い


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