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第44回 16年12月更新

育児・介護休業法改正と会社の対応 ~その5 子の看護休暇等の改正ポイント~

前回に続き、今回も平成29年1月1日施行の「育児介護休業法」と「男女雇用機会均等法」の法改正に対応した規程の改定例を紹介していきたいと思います。
前回は、育児休業と介護休業の改定例を紹介しましたので、今回は残りの子の看護休暇等の改正例を紹介します。改正点については、条文にアンダーラインを引いています。
法改正の具体的な解説については、前々回までの「育児・介護休業法改正と会社の対応」その1~その3のコラムを参照ください。

<子の看護休暇の取得単位の変更>

(子の看護休暇)
「改正前」
1.小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日雇従業員を除く)は、負傷し、または疾病にかかった当該子の世話をするために、または当該子に予防接種や健康診断を受けさせるために、就業規則第◯条に規定する年次有給休暇とは別に、当該子が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として、子の看護休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31日までの期間とする。
2.子の看護休暇は、1日単位で取得することができる。
3.子の看護休暇を取得しようとする者は、原則として、事前に人事部に申し出るものとする。
4.賞与、定期昇給及び退職金の算定に当たっては、取得期間は通常の勤務をしたものとみなす。

「改正後」
1.小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日雇従業員を除く)は、負傷し、または疾病にかかった当該子の世話をするために、または当該子に予防接種や健康診断を受けさせるために、就業規則第◯条に規定する年次有給休暇とは別に、当該子が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として、子の看護休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31日までの期間とする。
2.子の看護休暇は、1日または半日単位で取得することができる。
3.子の看護休暇を取得しようとする者は、原則として、事前に人事部に申し出るものとする。
4.賞与、定期昇給及び退職金の算定に当たっては、取得期間は通常の勤務をしたものとみなす。

<介護休暇の取得単位の変更>

(介護休暇)
「改正前」
1.要介護状態にある家族の介護その他の世話をする従業員(日雇従業員を除く)は、就業規則第◯条に規定する年次有給休暇とは別に、当該家族が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として、介護休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31日までの期間とする。
2.介護休暇は、1日単位で取得することができる。
3.介護休暇を取得しようとする者は、原則として、事前に人事部に申し出るものとする。
4.賞与、定期昇給及び退職金の算定に当たっては、取得期間は通常の勤務をしたものとみなす。

「改正後」
1.要介護状態にある家族の介護その他の世話をする従業員(日雇従業員を除く)は、就業規則第◯条に規定する年次有給休暇とは別に、当該家族が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として、介護休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31日までの期間とする。
2.介護休暇は、1日単位または半日単位で取得することができる。
3.介護休暇を取得しようとする者は、原則として、事前に人事部に申し出るものとする。
4.賞与、定期昇給及び退職金の算定に当たっては、取得期間は通常の勤務をしたものとみなす。

<介護のための所定外労働の制限の新設>
 「介護のための時間外労働の制限」については、法改正によって新設されたため、改正前の規定は存在しません。
今回は、以前より制度化されていた「育児のための所定外労働の制限」に介護のための所定外労働の制限を追記する場合の例を示します。

「改正前」
(育児のための所定外労働の制限)
1.3歳に満たない子を養育する従業員(日雇従業員を除く)が当該子を養育するために申し出た場合には、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、所定労働時間を超えて労働をさせることはない。
2.申出をしようとする者は、1回につき、1か月以上1年以内の期間について、制限を開始しようとする日及び制限を終了しようとする日を明らかにして、原則として、制限開始予定日の1か月前までに、育児のための所定外労働制限申出書を人事部に提出するものとする。

「改正後」
(育児または介護のための所定外労働の制限)
1.3歳に満たない子を養育する従業員(日雇従業員を除く)が当該子を養育するため、または要介護状態にある家族を介護する従業員が当該家族を介護するために申し出た場合には、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、所定労働時間を超えて労働をさせることはない。
2.申出をしようとする者は、1回につき、1か月以上1年以内の期間について、制限を開始しようとする日及び制限を終了しようとする日を明らかにして、原則として、制限開始予定日の1か月前までに、育児のための所定外労働制限申出書を人事部に提出するものとする。

<介護短時間勤務の日数の変更>

(介護短時間勤務)
「改正前」

1.要介護状態にある家族を介護する従業員は、申し出ることにより、対象家族1人当たり通算93日間の範囲内を原則として、就業規則第◯条の所定労働時間について午前9時から午後4時まで(うち休憩時間は、午前12時から午後1時までの1時間とする。)の6時間に変更することができる。ただし、同一家族について既に介護休業をした場合または異なる要介護状態について介護短時間勤務の適用を受けた場合は、その日数も通算して93日間までを原則とする。
2.前項にかかわらず、日雇従業員からの介護短時間勤務の申出は拒むことができる。
3.申出をしようとする者は、1回につき、93日(介護休業をした場合または異なる要介護状態について介護短時間勤務の適用を受けた場合は、93日からその日数を控除した日数)以内の期間について、短縮を開始しようとする日及び短縮を終了しようとする日を明らかにして、原則として、短縮開始予定日の2週間前までに、介護短時間勤務申出書により人事部に申し出なければならない。申出書が提出されたときは、会社は速やかに申出者に対し、介護短時間勤務取扱通知書を交付する。その他適用のための手続等については、第○条から第○条までの規定を準用する。
4.本制度の適用を受ける間の給与については、別途定める給与規程に基づく労務提供のなかった時間分に相当する額を控除した基本給と諸手当の全額を支給する。
5.賞与については、その算定対象期間に本制度の適用を受ける期間がある場合においては、短縮した時間に対応する賞与は支給しない。
6.定期昇給及び退職金の算定に当たっては、本制度の適用を受ける期間は通常の勤務をしているものとみなす。

「改正後」
1.要介護状態にある家族を介護する従業員は、申し出ることにより、対象家族1人当たり通算93日間の範囲内を原則として、就業規則第◯条の所定労働時間について午前9時から午後4時まで(うち休憩時間は、午前12時から午後1時までの1時間とする。)の6時間に変更することができる。
2.前項にかかわらず、日雇従業員からの介護短時間勤務の申出は拒むことができる。
3.介護のための短時間勤務をしようとする者は、利用開始の日から3年の間で2回までの範囲内で、短縮を開始しようとする日及び短縮を終了しようとする日を明らかにして、原則として、短縮を開始しようとする日の2週間前までに、介護短時間勤務申出書により人事部に申し出なければならない。
4.本制度の適用を受ける間の給与については、別途定める給与規程に基づく労務提供のなかった時間分に相当する額を控除した基本給と諸手当の全額を支給する。
5.賞与については、その算定対象期間に本制度の適用を受ける期間がある場合においては、短縮した時間に対応する賞与は支給しない。
6.定期昇給及び退職金の算定に当たっては、本制度の適用を受ける期間は通常の勤務をしているものとみなす。

<育児休業等に関するハラスメントの防止>
 前々回「育児・介護休業法改正と会社の対応~その3~」で紹介をしたように、育児休業等に関するハラスメントを防止するため、雇用管理上の措置を講じる必要があります。
この条文も新設になりますので、改正前の規定はありません。なお、就業規則の服務規律や懲戒の項目も必要に応じて変更してください。

「新設」
(育児休業等に関するハラスメントの防止)
1.すべての従業員は第○条~第○条の制度の申出・利用に関して、当該申出または利用する従業員の就業環境を害する言動を行ってはならない。
2.前項の言動を行ったと認められる従業員に対しては、就業規則第○条に基づき、厳正に対処する。
前回と今回の2回に分けて、「育児介護休業法」と「男女雇用機会均等法」の法改正に対応した規程の改定例を紹介してきました。現行の各社の規程の内容にあわせて、改正点を上手に取り入れてください。

いよいよ平成29年1月1日より改正法が施行されます。経営者や実務担当者は、法改正に向けて規程を変更し、従業員への周知等を図っていただければと思います。

 

kawashima-profile

著者プロフィール(川島孝一氏)

(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサル タント、社会保険労務士、中小企業福祉事業団幹事、日本経営システム学会会員。
1966年、東京都大田区生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、サービス業にて人事 ・管理業務に従事後、現職。クライアント先の人事制度、賃金制度、退職金制度 をはじめとする人事・労務の総合コンサルティングを担当し、複数社の社外人事 部長・労務顧問を兼任する。経営者の視点に立った論理的な手法に定評がある。

バックナンバー 第1~40回はこちら

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