生命保険に関する経理処理について(その2)
目次
第5回は、前回に引き続き、法人が支出した生命保険の会計処理について、具体例を挙げながら説明したいと思います。
会社が個人年金の保険料を支払ったとき
①保険金受取人が法人、被保険者が役員及び使用人の場合
個人年金の保険料は、死亡保険金及び年金の受取人が法人の場合には、費用にはならないことになっています。
保険料積立金 3,000 現金預金 3,000
②保険金受取人が被保険者又はその遺族、被保険者が役員及び使用人の場合
死亡保険金及び年金の受取人が被保険者又はその遺族の場合には、支払った時点で法人の資産ではなくなるため、費用となりますが、被保険者である役員または使用人に対する給与として処理されるため、源泉徴収が必要になります。
給与手当 3,000 現金預金 3,000
③死亡保険金受取人が被保険者の遺族、年金の受取人が法人、被保険者が役員及び使用人の場合
この場合は、個人年金の保険料のうち、僅かな保障の部分を1割程度とみなされ、10%を経費処理し、残りの9割を法人の資産として処理します。
保険料積立金 2,700 現金預金 3,000
支払保険料 300
終身保険を支払ったとき
①保険金受取人を法人、役員を被保険者とする終身保険を支払った場合
終身保険は、保険期間が一生続くため、死亡もしくは解約という形で必ず保険金又は解約返戻金を受け取れる貯蓄性の高い保険商品ですので、当然、資産として処理されます。
保険料積立金 30,000 現金預金 30,000
②終身保険の支払いを停止し、払い済み保険とした。
払い済み保険とは、今までの解約返戻金を一時払いすることで、今後の保険料の支払いを停止し、保障額を減額されることで保険契約を維持させる方法を言います。この場合、払い済み時点での解約返戻金の額が貸借対照表に計上されるべき保険料積立金の金額となりますので、現在資産計上されている保険料積立金の額との差額を雑損失又は雑収入として処理します。(現在、貸借対照表に計上されている保険料積立金の金額が200,000で解約返戻金の金額が180,000の場合、以下の処理となります。)
雑損失 20,000 保険料積立金 20,000
③終身保険を解約した場合
終身保険を解約した場合、保険料積立金を取り崩し、解約返戻金との差額を雑損失又は雑収入として処理します。(現在、貸借対照表に計上されている保険料積立金の金額が200,000で解約返戻金の金額が180,000の場合、以下の処理となります。)
現金預金 180,000 保険料積立金 200,000
雑損失 20,000
以上 2か月間にわたり、生命保険の会計処理について記載してまいりましたが、あくまでも一般論ですので、保険証券等をよく確認の上、経理処理するようにしてください。
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