減価償却に関する経理処理について②
目次
今回も引き続き、減価償却に関する経理処理について解説いたします。
1.【取得価格200,000円未満の減価償却方法】
150,000円のパソコンを購入し、その日より使用したが、期末に一括して3年間で償却することにした。
<購入時> | 器具備品 150,000 現金 150,000 |
<期末時> | 減価償却費 50,000 器具備品 50,000 |
<計算方法> | 150,000(取得価格)×12(当該年度の月数)÷36=50,000円 |
※税法上、「10万円以上20万円未満」の資産については、事業年度ごとに一括して「3年間」で償却する方法が選択できます。
なお、中小企業者等が、取得価額が30万円未満である減価償却資産を平成18年4月1日から平成32年(2020年)3月31日までの間に取得などして事業の用に供した場合には、一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができます。
2、【中古自動車の減価償却方法(定額法)】
3月決算の東京商店では、平成30年10月1日に中古トラック(3年経過、耐用年数6年の定額法償却率0.334)を2,000,000円で、購入し、期末に減価償却を行った。
なお、償却方法は定額法を採用する。
<仕訳> | 減価償却費 334,000 減価償却累計額 334,000 |
<計算方法> | (6年―3年)+(3年×20%)=3.6年→1年未満切り捨て→3年
2.000.000×0.334×6ヶ月÷12ヶ月=334,000 |
※耐用年数の見積もりが困難な場合は簡便法があります。
1、法定耐用年数の期間が全て経過したもの
法廷耐用年数×20%=残存耐用年数
2、法定耐用年数のうち一部の期間が経過したもの
(法定耐用年数―経過年数)+(経過年数×20%)
なお、残存年数が1年未満切り捨て、2年未満の場合2年となります。
3.【中古資産購入後に多額の改良を加えた減価償却方法】
3月決算の当社では、平成30年9月1日に中古トラック(耐用年数6年、3年経過、残存耐用年数3年の定率法償却0.667)を2,000,000円で購入し、直ちに改良費500,000円をかけて10月より使用したが、期末に定率法で減価償却を行った。
なお、再取得価額は、4.000,000円と見積もられた。
<仕訳> | 減価償却費 833,750 減価償却累計額 833,750 |
<計算方法> | (取得価額+改良費)÷(取得価額÷残存耐用年数+改良費÷耐用数)=3.333…年→端数切捨て→3年
2,500,000円(購入額と改良費を足したもの)×0.667(償却率)×6ヶ月(使用した月数)÷12ヶ月=833,750円(本年度分減価償却費) 4,000,000円(再取得額)÷2>改良費500,000円 改良費は再取得価額の50%以下なのが判明。記帳する。 |
※改良のための支出が取得価額の50%を超えた場合、中古資産の残存耐用年数の簡便法は採用できませんが、以下の計算方法によって残存耐用年数が計算できます。
(中古資産取得価額+改良費)÷(中古資産取得価額÷簡便法で計算した残存耐用年数+改良費の価額÷中古資産に係る法定耐用年数) |
※改良費が再取得価額の50%を超えるときは、法定耐用年数を採用されます。
また、再取得価額とは、購入(取得)した「中古資産」を「新品」として取得する場合の価額です。
以上 今月は減価償却の処理について取り上げました。多くの場合、減価償却費は税法の制約を受けて処理をすることが多いので、税法も含めて検討するようにお願いいたします。
-
第49回損害賠償金の会計・税務② ~取り扱い(具体例)と消費税の取り扱いについて~
-
第48回損害賠償金の会計・税務①
-
第47回永年勤続表彰に関する経理処理について
-
第46回一括売買した土地・建物の内訳が不明な場合の按分について
-
第45回ストックオプション制度について②
-
第44回ストックオプション制度について①
-
第43回インボイス制度の実務③インボイス制度における税額計算
-
第42回インボイス制度の実務②インボイス制度における税額計算
-
第41回インボイス制度の実務①インボイスの記載事項 その3
-
第40回インボイス制度の実務①インボイスの記載事項 その2
-
第39回インボイス制度の実務①インボイスの記載事項 その1
-
第38回暗号資産(仮想通貨)に関する経理処理について④
-
第37回リース資産の減損会計について
-
第36回減損会計について
-
第35回事業譲渡に伴う資産除去債務の処理方法について 考え方①
-
第34回貸倒引当金についての会計税務
-
第33回ポイント引当金について
-
第32回特別損失に関する会計処理
-
第31回のれんに関する会計処理
-
第30回税効果会計①について
-
第29回自己株式に関する経理処理について②
-
第28回会計と税務の相違点について①
-
第27回生命保険に関する経理処理について(その4)
-
第26回生命保険に関する経理処理について(その3)
-
第25回役員賞与に関する法人税および消費税の取扱に関する処理①について
-
第24回補助金・助成金・給付金に関する法人税および消費税の取扱に関する処理について
-
第23回地代家賃に関する法人税および消費税の取扱に関する処理について
-
第22回切手代等に関する会計処理ならびに法人税および消費税の取扱に関する処理について
-
第21回仮想通貨に関する経理処理について③
-
第20回不動産取引に関する経理処理①について
-
第19回合併に関する経理処理①について
-
第18回リース取引に関する経理処理について①
-
第17回本店・支店取引に関する経理処理(決算)について②
-
第16回本店・支店取引に関する経理処理について①
-
第15回減価償却に関する経理処理について②
-
第14回減価償却に関する経理処理について①
-
第13回現金・小口現金に関する経理処理について
-
第12回自己株式に関する経理処理について
-
第11回手形に関する経理処理について①
-
第10回研究開発費に関する経理処理について
-
第09回仮想通貨に関する経理処理について②
-
第08回仮想通貨に関する経理処理について①
-
第07回有価証券に関する経理処理について(売買目的有価証券 編)
-
第06回資産除去債務に関する経理処理について
-
第05回生命保険に関する経理処理について(その2)
-
第04回生命保険に関する経理処理について(その1)
-
第03回繰延資産についての経理処理
-
第02回税込経理と税抜経理の処理の注意点~消費税の経理処理について~
-
第01回確定給付年金と確定拠出年金の会計処理について