リース取引に関する経理処理について①
今回は、リース取引に関する経理処理について解説いたします。
【所有権移転ファイナンスリース取引を行った】
リース会社との間で以下の条件で機械のリース取引を行った。
1.リース期間終了時に借手がリース資産を割安価額20,000,000円で購入できる選択権が付与されている。借手はこの有利な購入選択権の行使を予定している。
2.解約不能のリース期間:5年
3.借手の見積現金購入価額:960,000,000円
4.リース料:月20,000,000円、リース総額:1,200,000,000円
5.リース資産の経済的耐用年数:8年
6.借手側の減価償却方法:定額法、残存価額0円
7.借手の追加借入利子率:年8%(ただし、貸手の計算利子率は借手にとって知り得ない)
8.リース取引開始日;2019年4月1日
9.決算日3月31日
【仕訳例】
2019年4月1日(リース取引開始日)
リース資産 960,000,000 / リース債務 960,000,000
4月30日(第1回支払日)
リース債務 20,000,000 / 普通預金 24,000,000
支払利息 4,000,000
6月30日(第3回支払日、第1四半期決算日)
リース債務 20,000,000 / 普通預金 20,000,000
減価償却費 30,000,000 減価償却累計額 30,000,000
【計算式】
2024年3月31日(最終支払いと割安購入選択権の行使)
リース債務 20,000,000 普通預金 20,000,000
【解説】
リース取引を行った場合、ファイナンスリース取引に該当するか否かを判定する必要があり、以下の条件を満たすものをいいます。
1.中途解約ができないこと(事実上の解約不能を含む)
2.借手がリース物件(資産)からもたされる経済的利益を実質的に享受でき、リース物件使用に伴って生じるコスト(取得価額、維持管理等の費用、陳腐化リスク等の全て)を実質的に負担すること。
また、具体的な判定は、以下のいずれかに該当するか否かによります。
1.現在価値基準
解約不能リース期間中のリース総額の現在価値が、リース物件を現金購入した場合の合理的見積り金額の概ね90%以上であること。
【計算方法】
2.経済的耐用年数基準
解約不能リース期間が、リース物件の経済耐用年数の概ね75%以上であること。
【計算方法】
【ポイント】
所有権移転ファイナンスリース取引の会計処理におけるポイントとして
1.利息相当額の各期間の配分額は利息法によること。
2.リース資産の減価償却方法は、自己所有の固定資産に適用される方法と同一とし、経済的使用可能予測期間を耐用年数とすること。
3.購入時に重要性が乏しいことにより費用処理できる減価償却資産をリースした場合やリース期間が1年以内の短期リース取引は、賃貸借処理が認められていること。
4.貸手の購入価額等が借手側にとって明らかな場合には、貸手の購入価額等によりリース資産とリース債務を計上すること。
なお、税法では所有権移転ファイナンスリース取引で取得したリース資産の減価償却方法は、法人の選定している償却方法に拠ります。
以上 今月はリース取引の処理について取り上げました。仕訳処理のタイミングは会社ごとに異なると思いますので、その都度確認するようにしてください。
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