リース資産の減損会計について
目次
今回は、ファイナンス・リース取引を行っているリース資産の減損会計について解説いたします。
1.通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行っている場合
通常の売買取引によって固定資産を取得した場合と同様にリース資産が計上されているため、通常通りの減損会計(第36回参照)を行います。
2.通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行っている場合
以下の場合などは、所有権移転外ファイナンス・リース取引について、売買取引に係る方法ではなく、賃貸借取引に係る方法を採用していることがあります。
・少額なリース取引であった場合
・中小企業である場合
(・2008年3月31日以前の取引)
これらの場合でも、対象となるリース資産について減損の兆候が認められる場合は減損会計を適用することとなります。
ただし、貸借対照表上にはリース資産として計上されていないため、減損損失の計算には、当該リース資産の未経過リース料の現在価値を帳簿価額とみなして使用します。また計算された減損損失は、「リース資産減損勘定」等として負債に計上した上で、リース契約の残存期間にわたって定額法による取り崩しを行い、当該取崩額は各事業年度の支払リース料と相殺することとなります。
3.具体的な仕訳方法
・リース期間:5年 (前期首に契約、当期末までに2年が経過)
・リース料:総額5,000,000円 (年額1,000,000円を毎期末に後払い)
当期末において減損会計を適用する。当該リース資産の回収可能額は500,000円とする。
なお、未経過リース料の割引現在価値の計算に当たっては、以下の数字を使用する。
・年利率:5%
・年利率5%で3年の年金原価係数:2.723
・契約時の仕訳
仕訳なし |
・前期末及び当期末のリース料支払い時の仕訳
支払リース料 1,000,000 | / | 現金預金 1,000,000 |
・減損会計適用による仕訳
減損損失 2,223,000 | / | リース資産減損勘定 2,223,000 |
※未経過リース料:1,000,000円×3年
>未経過リース料の割引現在価値:1,000,000円×2.723=2,723,000円
>減損損失:2,723,000円-500,000円=2,223,000円
・翌期以降のリース料支払い時の仕訳
支払リース料 259,000 | / | 現金預金 1,000,000 |
リース資産減損勘定 741,000 |
※リース資産減損勘定 2,223,000円を残存契約期間3年で取り崩しするため、
>1年につき741,000円が支払リース料と相殺される。
以上のようになります。
なお、オペレーティング・リース取引の場合には減損会計は適用されません。
今回の処理は、所有権移転外ファイナンス・リース取引につき、賃貸借取引に係る方法に準じて会計を行っている場合の処理方法となります。
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