石田昇吾
第46回  投稿:2024.05.21 / 最終更新:2024.05.17

一括売買した土地・建物の内訳が不明な場合の按分について

実務では、土地・建物を一括で購入した場合に、その売買契約書に土地と建物の価額が区分して明記されていない場合があります。

今回は、土地・建物の価額の按分方法について解説いたします。

価額按分の方法

①それぞれの時価によって按分する方法

土地と建物のそれぞれの時価を求めて、その割合で按分して計算します。
土地と建物の時価の算出方法にもよりますが、比較的妥当な方法ではあると思います。

 

②固定資産税評価額によって按分する方法

土地と建物の固定資産税評価額の割合で按分して計算します。
実務上、最も採用されやすい方法であり、計算方法は次の通りになります。

(建物の場合)

建物の固定資産税評価額÷(建物の固定資産税評価額+土地の固定資産税評価額)

(土地の場合)

土地の固定資産税評価額÷(建物の固定資産税評価額+土地の固定資産税評価額)

単純に上記の算式を土地と建物の売買金額に乗じて計算する方法もあれば、建物が消費税の課税取引の対象であることを考え、建物分の按分比率に消費税率を加味した割合を用いることもあります。

このような固定資産税評価額による按分は一般的な方法ですが、土地と建物の収益性などの個別性が直接的に反映されない点で、取引価格と剥離するという問題点もあります。

 

③相続税評価額を用いて按分する方法

土地と建物の相続税評価額の割合で按分して計算します。
この方法も実務的な按分方法で、計算方法は次の通りになります。

(建物の場合)

建物の相続税評価額÷(建物の相続税評価額+土地の相続税評価額)

(土地の場合)

土地の相続税評価額÷(建物の相続税評価額+土地の相続税評価額)

また、先に土地の相続税評価額を財産評価基本通達に準じて評価した土地の公示価額並みの時価を求めて、その金額を売買金額から差し引いたものを建物の価額とする方法もあります。しかし、土地の相続税評価額と市場の価格が離れていると、土地の取得価額が低く算出されてしまい、建物の取得価額が大きく算出されることになる点に注意が必要です。

 

④鑑定評価額によって按分する方法

不動産鑑定士から不動産鑑定評価を受け、その鑑定評価額によって按分する方法です。
この方法は、合理性が高いが鑑定費用が掛かるため、実務では敬遠されがちです。

 

紹介した按分方法は一般的な実務の方法です。建物部分には消費税がかかり減価償却費も計上できるため、売主側ではなるべく少ない金額に、買い主側ではなるべく大きな金額にしたいと思いがちですが、恣意的に金額を設定せずに、最も合理的な方法を選択するようにしましょう。

 

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