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第62回 18年06月更新

安全衛生管理体制~その1

労働安全衛生法とは、読んで字のごとく労働者の「安全」と「衛生」についての基準を定めた法律です。前回までに紹介をした健康診断の実施や、労働者に危険・有害な物質の取り扱いをさせる場合のルール等についても規定されています。
あまりなじみのない法律ですが、労働基準法とセットになって労働者を守る目的で作られた法律です。たとえば、50人以上の労働者がいる事業所が選任しなければならない「衛生管理者」や「産業医」も、この労働安全衛生法により義務づけられています。

労働基準監督署の調査などでは、労働安全衛生法に定められている項目がしっかりと守られていなかった場合は、是正指導の対象になります。
今回は、労働安全衛生法の「安全衛生管理体制」のうち、「衛生管理者」と「産業医」についてみていきたいと思います。

<衛生管理者>

労働安全衛生法第12条では、常時50人以上の労働者がいる事業場では、「衛生管理者」を選任しなければならないことになっています。選任された衛生管理者は、事業所の衛生に関する技術的事項を管理します。

選任しなければならない「事業場の規模」と必要になる「衛生管理者の人数」は、以下のとおりです。

事業場の規模 衛生管理者の人数
50人~ 200人 1人
201人~ 500人 2人
501人~1,000人 3人
1,001人~2,000人 4人
2,001人~3,000人 5人
3,001人以上 6人

 

また、次に該当する事業場にあっては、衛生管理者のうち少なくとも1人を「専任」の衛生管理者とすることとなっています。

1)業種にかかわらず常時1,000人を超える労働者を使用する事業場
2)常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働または一定の有害業務に常時30人以上の労働者を従事させるもの

なお、2)の場合で業務の内容がエックス線等の有害放射線にさらされる業務や鉛などの有害物を発散する場所における業務などの場合は、専任した衛生管理者のうち1人を「衛生工学衛生管理者免許」を受けた者の中から専任しなければなりません。

<衛生管理者の職務内容>

衛生管理者は、主に以下の業務を行います。

1)健康に異常のある者の発見および処置
2)作業環境の衛生上の調査
3)作業条件、施設などの衛生上の改善
4)労働衛生保護具、救急用具などの点検および整備
5)衛生教育、健康相談その他労働者の健康保持に必要な事項
6)労働者の負傷および疾病、それによる死亡、欠勤および異動に関する統計の作成
7)衛生日誌の記載など職務上の記録の整備

また、衛生管理者は、少なくとも「毎週1回」は作業場などを巡視して、設備、作業方法、衛生状態に有害のおそれがある場合は、ただちに労働者の健康障害を防止するために必要な措置を講じなければなりません。

<資格要件について>

事業場の業種ごとに、選任しなければならない衛生管理者の資格が変わってきます。以下にまとめましたので、それぞれの業種に対応した資格等保有者を選任しましょう。

業種 資格等保有者
農林水産業、鉱業、建設業(物の加工業を含む。)電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業及び清掃業 第一種衛生管理者免許、衛生工学衛生管理者免許を有する者または医師、歯科医師、労働衛生コンサルタントなど
 

その他の業種

 

第一種衛生管理者免許、第二種衛生管理者免許もしくは衛生工学衛生管理者免許を有する者または医師、歯科医師、労働衛生コンサルタントなど

 

<産業医>

次に「産業医」についてみていきます。労働安全衛生法第13条で、衛生管理者と同様に常時50人以上の労働者を使用するすべての事業場で、一定の医師のうちから「産業医」を選任し、事業者の直接の指揮監督のもとで専門家として労働者の健康管理などにあてるように規定しています。
ただし、常時3,000人を超える労働者を使用する事業場では、2人以上の産業医を選任する必要があります。

なお、次に該当する事業場にあっては、「専属」の産業医を選任しなければなりません。

1)常時1,000人以上の労働者を使用する事業場
2)一定の有害な業務に常時500人以上の労働者を従事させるもの

<産業医の職務>

産業医は、主に次の事項を行います。

1)健康診断および面接指導などの実施並びにこれらの結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること
2)作業環境の維持管理に関すること
3)作業の管理に関すること
4)労働者の健康管理に関すること
5)健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること
6)衛生教育に関すること
7)労働者の健康障害の原因の調査および再発防止のための措置に関すること

産業医は、労働者の健康を確保するために必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理などについて必要な勧告をすることができます。
また、少なくとも「毎月1回」は作業場を巡視し、作業方法または衛生状態に有害のおそれがあるときは、ただちに労働者の健康障害を防止するために必要な措置を講じなければなりません。

衛生管理者と産業医は、事業所の労働者数が常時50人以上であれば選任をしなければならないルールになっています。実務上よくあるのが、はじめて従業員数が50人以上になり衛生管理者を選任しなければならないのに、候補の従業員が衛生管理者の試験に合格しないといったケースです。また、衛生管理者だった従業員が退職をしたために、新たに選任しなければならないのにほかに衛生管理者の有資格者がいないといったケースもあります。

衛生管理者の試験は、ただ講義を受ければ良いだけのものではないので、有資格者が1人しかいない事業所や、これから従業員数が50人以上になることが見込まれる事業所では、事前に衛生管理者の有資格者を準備しておくようにしましょう。

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著者プロフィール(川島孝一氏)

(有)アチーブコンサルティング代表取締役、(有)人事・労務チーフコンサル タント、社会保険労務士、中小企業福祉事業団幹事、日本経営システム学会会員。
1966年、東京都大田区生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、サービス業にて人事 ・管理業務に従事後、現職。クライアント先の人事制度、賃金制度、退職金制度 をはじめとする人事・労務の総合コンサルティングを担当し、複数社の社外人事 部長・労務顧問を兼任する。経営者の視点に立った論理的な手法に定評がある。

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