S-PAYCIALコラム

S-PAYCIAL-Column

第32回 18年08月更新

夏休みの労務管理上の留意点について

こんにちは。特定社会保険労務士の溝口知実です。今年の夏は記録的な猛暑日が続いていますね。夏休みを楽しみにされている方も多いのではないでしょうか。今回は、夏休みの労務管理上の留意点について述べたいと思います。

1.夏季休暇と夏季休日の違い

企業によって、夏休みを「夏季休日」あるいは「夏季休暇」と規定していることと思いますが、夏季休日と夏季休暇は似て非なるものです。「休日」とは、就業規則や労働契約等により「労働義務がない日」と定められている日のことで、「休暇」とは「労働義務のある日」に労働者の申し出により、労働義務が免除される日です。
この「休日」と「休暇」の意味を混同し誤った運用をしているケースが散見されます。就業規則上、夏休みを「夏季休日」と規定してあれば、「労働義務がない日」として労働者を休ませなければなりません。この日に労働させた場合は休日労働として、割増賃金の支払義務が発生します。一方、「夏季休暇」は就業規則上で定めた場合には労働者の請求があれば会社は取得させなければなりませんが、取得するかの決定権は労働者本人が持っており必ず休ませなければならないというものではなりません。また、休暇は本来労働義務のある日ですので、その日に労働したとしても割増賃金の支払義務はありません。
更に、「夏季休日」は年間の休日に含まれますので、割増賃金の計算にも影響します。割増賃金の計算の元となる時間単価は、月額賃金を1年間における1か月あたりの平均所定労働時間で除して算出しますが、年間の休日日数が多ければ割増賃金の計算の元となる時間単価は高くなり、休日日数が少なければ時間単価が低くなる計算になります。

2.夏季休暇を年次有給休暇の計画的付与を利用して取得させる場合の留意点

年次有給休暇の計画的付与制度とは、年次有給休暇のうち5日を超える分について、労使協定を結べば計画的に休暇取得日を決定することができる制度のことをいい、労働基準法により規定されています。この制度を使えば年次有給休暇を夏季休暇に充てることができますが、計画的付与を行うにはいくつかの留意点があります。
一つ目に、計画的付与導入にあたり、就業規則による規定と労使協定の締結が必要となります(労働基準監督署への届け出は不要)。
二つ目に、計画的付与を利用して夏季休暇を取得すると有給休暇が5日未満になる場合は、計画的付与による有給消化はできません。年次有給休暇の計画的付与は、年次有給休暇の付与日数すべてについて認められているわけではなく、5日は個人が自由に取得できる日数として必ず残しておかなければなりません。例えば年次有給休暇の残日数が10日の労働者には5日、20日の労働者には15日までを計画的付与の対象とすることができます。
そうなると、新入社員や入社間もない労働者で、年次有給休暇が付与されていない者や残日数が5日以下の者に対しては計画的付与できる年次有給休暇が足りない、ということになります。この場合の取扱いについても労使協定に規定しておかなければなりません。事業場全体で一斉に休業とするならば、休業手当を支払うか特別休暇を設けるなどの措置が必要となります。

業務とシステムに精通した専門家集団によるアウトソーシングサービス

全面WEBの統合人事ソリューション(人事・給与・就業・ワークフロー)

著者プロフィール(溝口知実氏)

溝口知実 氏

特定社会保険労務士。溝口労務サポートオフィス代表。千葉県出身。大学卒業後、IT企業の人事労務経理業務、公的年金相談のスーパーバイザー、社会保険労務士事務所勤務等を経て、平成26年溝口労務サポートオフィスを開業。主な業務は中小企業の労務管理全般にわたる相談、コンサルティング、就業規則の作成・改訂等。社会保険労務士10年以上のキャリアを活かし、お客様の発展のために、生き生きと元気なヒトと会社、社会づくりに貢献することを目指し奮闘中。
http://www.mizoguchi-sr-office.jp/

バックナンバー

S-PAYCIALコラムTOPへ戻る

PAGE TOP