雇用保険関連の法改正(保険料率の変更と高齢者の適用拡大)
こんにちは。特定社会保険労務士の溝口知実です。労働保険料の年度更新申告の時期が近付いてきました。今年の年度更新においては、昨年度と雇用保険料率が異なりますので、注意が必要です。今回は、雇用保険関連の法改正について、実施済み、施行予定のものについて述べたいと思います。
・雇用保険料率の引き下げ(平成28年4月1日施行)
「雇用保険法等の一部を改正する法律案」の成立により、平成28年4月1日から平成29年3月31日までの雇用保険料率が、以下のとおり引き下がりました。
平成24年度以降は雇用保険料の変更がなかったため、ここ数年は労働保険料の年度更新の申告において確定保険料率と概算保険料は同率で計算できましたが、平成27年度の年度更新の申告においては、確定保険料と概算保険料は違う率になりますので、注意が必要です。また、給与計算上においても、新乗率で計算することはいうまでもありません。
・雇用保険料免除措置の廃止(施行予定日:平成32年4月1日)
現在、毎年4月1日時点で満64歳以上の労働者については、雇用保険料が免除されていますが、施行日以降は免除制度が廃止され、保険料が徴収されることになります。
65歳以上の高齢労働者が多い企業にとっては負担が大きくなりますので、経過措置が設けられ、施行予定日は4年後となります。
・雇用保険の適用対象の拡大(施行予定日:平成29年1月1日)
現在は、満65歳以上に新たに雇い入れられた労働者は雇用保険の被保険者の対象とはなりませんが、高齢者の就業意欲の高まりを背景に、施行日以降は満65歳以上で新たに雇い入れられた労働者については雇用保険の被保険者となります。新たに「高年齢被保険者」という種別が設けられ、従来の「高年齢継続被保険者」は「高年齢被保険者」に統合されることになります。なお、高年齢被保険者が失業した場合は、高年齢求職者給付金(一時金)が支給されます。
我が国における高齢者の就労意識は高く、高齢者の雇用維持の実現を図る必要があるため今回の改正に至ったと思われます。今回の改正により、数年度高齢者の雇用環境はどのように変わるのか、興味深いところです。
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