溝口知実
第43回  投稿:2020.07.01 / 最終更新:2020.07.01

雇用調整助成金その2 雇用調整助成金の拡充(助成額上限の引上げ等)について

こんにちは。特定社会保険労務士の溝口知実です。前回のコラム「新型コロナウイルス感染拡大防止のための雇用調整助成金の特例措置について」では、4月時点での雇用調整助成金の特例措置の概要をお伝えしましたが、その後制度や運用の見直しが複数回行われ、6月12日に1日1人あたり8330円の助成額上限を15,000円とする拡充案を盛り込んだ「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律」が成立しました。今回は、雇用調整助成金の拡充の概要についてお伝えします。

1.緊急対応期間の延長

新型コロナウイルス感染症の感染の拡大防止のため、令和2年4月1日から6月30日までを雇用調整助成金の緊急対応期間とされていましたが、9月30日まで延長されることとなりました。

2.1人1日あたりの上限額の引き上げ

雇用調整助成金の1人1日あたりの助成額の上限額は従来8,330円でしたが、令和2年4月1日から9月30日までの期間の休業については、企業規模を問わず15,000円に引き上げられました。雇用調整助成金だけでなく、緊急雇用安定助成金(雇用保険未加入者対象)も対象です。
上限額の引き上げは4月1日にさかのぼって適用されます。既に支給決定済みの場合、差額(追加支給分)は後日(令和2年7月以降順次)支給され、申請済みの場合は差額(追加支給分)を含めて支給決定されます。会社は追加支給の手続きをする必要はありません。
さらに、支給申請が済んでいるが、過去の休業手当を見直し(増額し)、追加で休業手当の増額分を支給した場合にも、上限額の引き上げが適用されます。その場合は追加支給の手続きが必要となります。

なお、上限額の引き上げは4月1日にさかのぼって適用されますが、判定基礎期間に4月1日以降の日が1日でも含まれる場合には、3月31日以前の休業の上限額も15,000円の上限額が適用されます。判定基礎期間とは、休業実施した期間を区切った1か月のことをいいます。例えば賃金締切日が21日から翌月20日の会社で休業を3月21日から開始し4月1日以降も行った場合、判定基礎期間は3月21日から4月20日までとなりますが、3月21日の休業にさかのぼって15,000円の上限額が適用されます。

3.中小企業の助成率の引き上げ

解雇等をせず雇用の維持に努めた中小企業への助成率が10/10(100%)に拡充されました。
従来の中小企業における助成率は、下記の通りでした。

・解雇等があるとき・・・4/5
・解雇等がないとき・・・9/10
・休業要請を受け休業する等、一定の要件を満たす場合 10/10
・休業手当支払率が60%超の場合は超えている部分は10/10

見直し後は、4月1日以降以下の通りとなりました。

・解雇等があるとき・・・4/5(変更なし)
・解雇等がないとき・・・10/10(100%)

休業要請を受け休業する等の要件に関わらず、解雇等をしていない中小企業の助成率は100%となります。大企業の助成率は従来通り3/4のまま変更はありません。

上限額の引き上げや助成率の拡充により、会社の負担額が大幅に軽減されることとなりました。申請書類や添付書類も当初に比べると簡略化されわかりやすくなってきています。事業継続や従業員の雇用維持のため、適正に活用していきましょう。

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