溝口知実
第23回  投稿:2017.03.13 / 最終更新:2017.06.13

離職票作成をめぐるトラブルと留意点

こんにちは。特定社会保険労務士の溝口知実です。
3月に入り、年度末で多忙な日々を過ごされている人事担当者様も多いことと思います。年度末は、特に退職者が多い時期でもあり、離職票の交付を希望する労働者も多いことでしょう。しかし、離職票作成にあたっては、労働者と事業主間で度々トラブルが発生しているため、留意が必要です。今回は、離職票作成をめぐるトラブルと留意点について解説いたします。

1.離職票の発行時期をめぐるトラブル

離職票の発行が遅れると、離職者が受給する基本手当の受給開始時期が遅れることになります。そのため、再就職先が決まらないまま離職した者にとっては、再就職活動にむけた生活設計に支障をきたします。雇用保険法では、事業主は、離職日の翌日から10日以内に、雇用保険被保険者資格喪失届の届出を行わなければならないと定めています。また、離職者が離職票の交付を希望するときは、資格喪失届に離職票を添えなければなりません。無用なトラブルを避けるためにも、離職票の作成は余裕をもって準備し、期限内に提出しましょう。

2.離職理由をめぐるトラブル

事業主と労働者間に離職理由に認識の相違がある場合もトラブルが多く発生します。離職理由は、基本手当の受給に大きく影響するからです。
雇用保険では、離職者を一般の離職者、特定受給資格者、特定理由離職者に分類しています。
「特定受給資格者」は、離職理由が倒産・解雇等により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた者で、「特定理由離職者」は、特定受給資格者以外の者で期間の定めのある労働契約が更新されなかったことその他やむを得ない理由により離職した者です。特定受給資格者と特定理由離職者は、一般の離職者より基本手当の受給において有利に扱われ、給付制限期間がなく、離職前の被保険者期間が6カ月以上あれば受給可能です(一般の被保険者は3か月の給付制限があり、被保険者期間が12カ月以上必要)。さらに、特定受給資格者は一般の被保険者に比べ給付日数が多く、手厚く保護されています(特定理由離職者の給付日数は離職理由により異なる)。

特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_range.html
基本手当の所定給付日数
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html

離職票を作成する際に注意したいのは、離職理由が特定受給資格者あるいは特定理由離職者に該当する項目があるかどうかを確認することです。例えば、配偶者の転勤に伴い通勤できないため離職せざるを得ない場合、特定理由離職者の離職理由2-(5)-(G) 「配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避」に該当します(「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」)。これを単純に従業員から退職の申し出があるからといって「自己都合」と記載してしまうと、一般の被保険者扱いとなり基本手当の受給が不利になってしまいますので、注意が必要です。
なお、離職者が、交付された離職票の離職理由に異議がありその旨をハローワークに申し出た場合、ハローワークが事実関係を調査し、離職理由を判定することになります。

3.助成金の受給をめぐるトラブル

離職者が受給する基本手当とは別に、会社がハローワークから受給する助成金についても、離職理由が影響を及ぼす場合があります。解雇や会社都合による離職者がいると助成金が受給できなくなるもので、主に従業員の雇い入れや従業員の教育に対する助成金(キャリアアップ助成金、トライアル雇用奨励金等)が対象になります。通常は対象労働者の雇入れ日の前後6カ月に事業主都合による解雇、退職勧奨があると、助成金は不支給となります。また、「特定受給資格者」に該当する離職者が、雇用保険加入従業員総数の6%を超え、かつ4人以上発生する場合も助成金は受給できません。助成金の申請を計画している会社は、助成金ごとの不支給要件を確認しておきましょう。

以上のことから、離職票をめぐるトラブルについては、離職者の基本手当の受給のみならず、会社の助成金受給においても発生することが想定されますので、離職票の作成は留意が必要です。不明な点があれば、ハローワークに確認することをお勧めします。

 

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