溝口知実
第54回  投稿:2022.05.09 / 最終更新:2022.05.06

令和4年10月 社会保険適用拡大に向けての企業の対応について

鈴与シンワートが提供する管理部門の業務ソリューション

 

こんにちは。特定社会保険労務士の溝口知実です。

平成28年10月から、一定の要件を満たした短時間労働者は、社会保険に加入することとなりました。現状では勤務先の従業員数が500人を超える企業に勤める短時間労働者が対象となっていますが、本年10月には「100人超え」、さらに令和6年10月からは「50人超え」まで適用が拡大されます。今回は、本年10月からの社会保険の適用拡大に向けての企業の対応について説明します。

 

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本年10月から適用される社会保険の加入要件は、下記の通りです。下記すべてに該当すると、社会保険への加入義務が発生します。

1.被保険者の総数が常時100人を超える事業所(特定適用事業所)に勤務
※現在は、常時500人を超える事業所

2.継続して2ヶ月を超えて雇用される見込みがある
※現在は、1年以上の雇用見込み

3.週の所定労働時間が20時間以上

4.月額賃金が8.8万円以上

5.学生ではないこと

 

1.「被保険者の総数が常時100人を超える事業所」とは

「被保険者の総数が常時100人を超える事業所」における「被保険者」とは、現在の厚生年金保険の適用対象者(フルタイムの従業員数と週労働時間及び月労働日数がフルタイムの3/4以上の従業員数の合計)をいい、今回の適用拡大の対象となる短時間労働者や70歳以上の健康保険のみ加入している従業員は含みません。

また、常時100人を超えるか否かの判断は、法人は法人番号が同一の全企業を合計して、個人事業所は個々の事業所ごとにカウントし、12か月のうち6か月以上 100 人を超えると見込まれるかにより判断します。特定適用事業所に該当した場合は、事務センター等へ「特定適用事業所該当届」を届け出ます。

 

令和3年 10 月から令和4年7月までの各月のうち、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が6か月以上 100 人を超えたことが確認できる場合は、日本年金機構から本年8月頃に対象の適用事業所に対して「特定適用事業所該当事前のお知らせ」が送付され、10 月頃には「特定適用事業所該当通知書」が送付されます。この場合、「特定適用事業所該当届」の届出をする必要はありませんが、適用拡大の実施に伴い新たに被保険者資格を取得する短時間労働者がいる場合は、被保険者資格取得届を届け出る必要があります。

 

2.継続して2ヶ月を超えて雇用される見込みがある

現状では、勤務期間の要件が「継続して1年以上使用される見込み」だったものが、本年10月以降は「継続して2カ月を超えて使用される見込み」となり、短期雇用の短時間労働者でも社会保険加入の対象となります。雇い入れ時に2か月を超える見込みであった場合、結果として雇用期間が2か月未満になったとしても、被保険者の資格取得の取り消しはできません。

 

3.週の所定労働時間が20時間以上

契約上の所定労働時間であり、臨時に生じた残業時間は含みません。契約上20時間に満たない場合でも、実労働時間が2か月連続で週20時間以上となり、なお引き続くと見込まれる場合には、3か月目から加入となります。

 

4.月額賃金が8.8万円以上

月額賃金 8.8 万円の算定対象は、基本給及び諸手当で判断し、以下の①から④までの賃金は算入されません。

① 臨時に支払われる賃金(結婚手当等)

② 1月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)

③ 時間外労働に対して支払われる賃金、休日労働及び深夜労働に対して支払われる賃金(割増賃金等)

④ 最低賃金において算入しないことを定める賃金(精皆勤手当、通勤手当及び家族手当)

ただし、適用拡大の実施に伴い、新たに被保険者資格を取得する短時間労働者の被保険者資格取得時の報酬月額の算出方法は、従来からの被保険者資格取得時の報酬月額の算出方法と同一です。

 

5.学生ではないこと

学生であっても、休学中や夜間学生は対象となります。

 

令和4年10月 社会保険適用拡大

 

企業の対応としては、上記1から5すべてに該当する短時間労働者を把握し、企業負担の社会保険料を算出するなど、準備をすすめていきます。厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」の「社会保険料かんたんシミュレーター」では、会社が負担する社会保険料のおおよその試算ができます。

対象となる従業員には、新たな加入対象者であること、社会保険に加入するメリットを説明します。従業員にとって社会保険に加入するメリットは、社会保険料は労使折半であること、傷病手当金や出産手当金が受けられること、出産育児による休業中の社会保険料が免除となること、将来受給する年金額の増額等が挙げられます。

ただし、社会保険に加入することで給料の手取り額が減ってしまうことを懸念する従業員もいるでしょう。また、配偶者の扶養の範囲内で勤務を希望する従業員にとっては、社会保険に加入しないよう勤務日数を減らしたいと申し出があることも想定され、雇用計画の見直しが必要となることもあるでしょう。適用拡大への対応方針の検討や従業員への説明のサポート、手続きに関するアドバイスなどが必要な場合は、専門家活用支援事業など、無料で利用できる制度もあります。早めに準備を進めていきましょう。

 

厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/jigyonushi/

 

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