溝口知実
第53回  投稿:2022.03.04 / 最終更新:2022.03.17

令和4年4月 人事労務関連の法改正情報

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こんにちは。社会保険労務士の溝口知実です。4月は人事労務関連の法改正の施行時期が集中する時期です。今回は、4月施行の法改正について確認します。今から法改正の対策に向けて準備しておきましょう。

 

1.中小企業へのパワハラ防止措置義務の適用

令和2年6月1日に「改正 労働施策総合推進法」が施行され、大企業には既に職場のパワーハラスメント防止措置が義務化されていますが、令和4年4月1日からは中小企業の事業主にも義務化されます(令和4年3月31日までは努力義務)。

パワーハラスメントとは、優越的な関係を背景とし、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動であり、労働者の就業環境が害されるものをいいます。事業主は必ず以下の防止措置を講じなければなりません。

(1)事業主のパワハラ防止の社内方針の明確化及びその周知・啓発

(2)相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備

(3)職場におけるパワーハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応

(4)そのほか併せて講ずべき措置(被害者・行為者等のプライバシー保護、相談したこと等を理由とした不利益取り扱いをされない定め、周知等)

 

2.在職老齢年金の支給停止基準額の引上げ

在職老齢年金とは、在職中で厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受給する間、勤務先から受ける報酬と年金の合計額が基準額以上になると、年金額の一部ないし全額が支給停止となる仕組みです。

現状では、在職老齢年金は65歳未満と65歳以上で年金の支給が停止される基準が異なります。65歳未満では報酬月額(直近1年に受けた賞与も含んだ年収の1か月分)と老齢厚生年金の月額ベースの合算額が28万円を超えると、超えた額に応じて年金額が一部ないしは全額支給停止となります。65歳以上になると停止の基準が28万円から47万円に緩和されます。

 

令和4年4月からは、65歳未満の年金の支給停止基準額が現行の28万円から65歳以上の基準額と同じ47万円と同額になります。この制度改正により支給調整される対象者が減り、また受給できる年金額が増えることとなります。ただしこの制度改正の恩恵を受けるのは64歳までに支給される老齢厚生年金を受給できる昭和36年4月1日以前生まれの男性、昭和41年4月1日以前生まれの女性に限られますので、この改正による影響は限定的となります。

 

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3.老齢厚生年金の在職時改定の開始

現状では、在職中の老齢厚生年金受給者は、厚生年金保険料を納めていても、退職あるいは70歳時の厚生年金被保険者の資格を喪失するまでは、年金額の再計算(退職時改定)を行われない仕組みとなっています。令和4年4月に導入される在職定時改定では、65歳以上の老齢厚生年金受給者について、在職中であっても、毎年10月に年金額を改定し、納付した保険料に応じて年金額が増額されることとなります。退職を待たずに早期に年金額の改定が行われるため、年金を受給しながら働く高齢者にとっては朗報となります。

 

4.一般事業主行動計画の策定・届出義務が「101人以上」の事業主に拡大(女性活躍推進法)

一般事業主行動計画の策定等の義務の対象となる事業主の範囲が拡大され、策定・届出と情報公表義務の対象となる事業主の規模が、常用雇用労働者数「301人以上」から「101人以上」に拡大されます。

一般事業主行動計画とは、企業が自社の女性活躍に関する状況把握と課題分析を行い、それを踏まえた行動計画を策定するものです。行動計画には、計画期間、数値目標、取組内容、取組の実施時期を盛り込まなければならず、一定の準備期間が必要となりますので、早めに取り組んでおきましょう。

 

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5.育児介護休業法改正(周知等に関する見直し及び有期労働者の取得要件緩和)

令和3年6月に育児・介護休業法が改正され、令和4年4月より段階的に施行されていきます。令和4年4月に施行される内容は下記の2つです。

(1)育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け

今回の改正により事業主に、労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境を整備することや、妊娠・出産の申出をした労働者に対し、育児休業制度等に関することを個別に周知し、育児休業取得の意向を確認することが義務付けられます。

(2)有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和

有期雇用労働者の育児休業及び介護休業の取得要件のうち「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」という要件が廃止されます。ただし、労使協定を締結した場合には、対象から除外することは可能です。

詳細は厚生労働省HPをご確認ください。

育児・介護休業法について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

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