溝口知実
第25回 17年05月更新

就業規則に休職制度を規定する際の留意点

こんにちは。特定社会保険労務士の溝口知実です。最近は、精神疾患に罹患し休職する従業員に対する労務管理上の実務的な対応の相談を多く受けるようになりました。休職に関する事項は、就業規則にあらかじめ詳細に規定することが、会社、従業員間のトラブルを避けるために重要となります。今回は、就業規則に休職制度を規定する際の留意点を取り上げたいと思います。

1.休職とは

休職とは、従業員が病気やけがで仕事ができない事由が生じた場合に、事業主と従業員との労働契約を維持したまま、一定の期間労働の提供を免除する制度です。本来、従業員が労働の提供ができない場合、契約上は債務不履行として解雇事由になりえますが、休職制度はこれを一定期間猶予するものです。そして、一定の休職期間が満了しても復職できず、労務の提供ができないときは、自然退職扱いとなります。

2.就業規則に休職規定を設けるのは、事業主の義務ではない

休職に関する相談を受けた際、「御社の就業規則では休職者の範囲や休職期間等についてどのように規定されていますか」とお聞きすると、「休職の制度は法律により規定され、会社に義務付けられているのではないか」という事業主の方も多くいらっしゃいます。しかし、私傷病による休職は、法律により規定されたものではありません。休職規定を設けるかは、会社の判断となり、また、休職の期間や時期なども、会社の規模や業務内容等により会社ごとに定めるものです。
しかし、ひとたび就業規則に休職規定を設ければ、それが労働契約の一部になるとともに、会社は休職規定に拘束されることになります。そのため、休職制度を設ける際は、休職者の範囲や休職期間、休職期間の賃金の支払いや復職等について、会社の規模等に応じて慎重に検討する必要があります。

3.休職規定を設ける場合に定める事項

休職規定を設ける場合に定める事項は、以下のとおりです。
・適用対象者:正社員に限定するか、パート従業員、試用期間中の従業員や勤続期間が短い従業員にも適用するか等
・休職事由:傷病により連続欠勤した場合のほか、出勤しても精神疾患等により不完全な労務の提供がある場合等
・休職期間:勤続年数により休職期間に差を設けるのが一般的
・休職に入る手続き:診断書の提出、主治医や産業医の意見の聴取等
・休職期間中の取扱い:賃金を有給とするか無給とするか。通常はノーワークノーペイの原則に基づき無給が一般的
(健康保険の傷病手当金制度を利用できる場合が多い)
・休職期間中の従業員の義務:治療に専念する義務、報告義務等。
・復職:復職の判断基準、治癒の定義、復職後の業務、復職後病気が再発した場合の対応等

4.休職規定がない、または就業規則がない会社の場合

就業規則に休職規定がない会社や、従業員が10人未満で就業規則の作成義務のない会社で、従業員が私傷病により仕事ができなくなった場合、従業員を直ちに解雇できるのかが問題となります。前述の通り、本来、従業員が労働の提供ができない場合、契約上は債務不履行として解雇事由になりえます。しかし、従業員を解雇する際は、企業規模や業種、雇用形態等を考慮した上で、その解雇が社会的に相当であることが求められます。例えば、少人数規模の会社で従業員が休職すると業務が成り立たなくなる、著しい支障をきたすことが想定される場合と、一定規模以上の会社で休職者の業務を代行できる代替要員を確保できる場合とでは、おのずと解雇の相当性は異なってきます。したがって、一定規模以上の会社であれば、休職規定がなくても休職に準ずる措置をとることが望ましいでしょう。

5.休職の判断、復職の判断は会社主導で行う。

休職や復職の判断は、従業員まかせにするのではなく、会社主導で行うべきです。主治医からの診断書のみで休職、復職の判断をするのではなく、あらかじめ就業規則に判断基準を設けておき、その基準に従い会社が休職、復職命令を下すべきです。
特に、復職の判断については、会社と従業員間でトラブルになりやすいところです。復職には、主治医の診断書、従業員の意欲、産業医の意見等を勘案し、最終的には会社が復職可否の判断をする旨、就業規則に記載しておくべきでしょう。

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