溝口知実
第31回  投稿:2018.06.26 / 最終更新:2018.06.26

改正労働契約法と改正労働者派遣法による2018年問題とは

 

こんにちは。特定社会保険労務士の溝口知実です。2013年の労働契約法改正および2015年の労働派遣法改正により、今年はいわゆる2018年問題として企業が対応に迫られる重要な年となっています。今回は、2018年問題について具体的に見ていきたいと思います。

 

労働契約法の改正による影響

労働契約法の改正により、2013年4月1日以降に有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できることになりました。これにより、無期転換申込み権が2018年4月から本格的に発生しています。無期転換制度の導入(就業規則や社内制度の検討・整備等)が進んでいない企業は早急な対応が迫られています。

厚生労働省の「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト」では、無期転換制度導入のポイントや導入までのステップが段階的にまとめられています。対応に際しての参考にしてみてはいかがでしょうか。http://muki.mhlw.go.jp/

 

労働者派遣法の改正による影響

労働者派遣法の改正により、2015年9月30日以降に締結・更新された労働者派遣契約に基づく派遣契約について、すべての業務で、「事業所単位」、「個人単位」の2つの期間制限(3年を上限)が適用となります。改正法の施行から3年を迎える今年2018年10月から本格的に運用が開始されます。

「事業所単位」の期間制限とは、派遣先に課される期間制限で、派遣先が同一の事業所に対し派遣できる期間(派遣可能期間)は、原則3年が限度というものです。ただし、派遣先の過半数労働組合等からの意見聴取を行なえば期間の延長が可能ですので、施行日以降派遣可能期間が3年を超える見込みのある派遣先は、この手続きを行っておく必要があります。

「個人単位」の期間制限は、事業所単位の期間制限に比べ、重要度は高くなります。これは同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位(いわゆる課など)に対し派遣できる期間は、3年が限度というものです(ただし派遣元に無期雇用されている場合、期限の適用はなし)。

派遣先の企業としては、業務に精通した派遣社員をとどめておくことが難しくなり、3年以内で人材を入れ替え、新たに仕事を教えなくてはならないという雇用管理や人材育成の問題も生じます。一方、派遣労働者としては、最長3年で職場を変えなければならないため、次の就業先が見つかるかといった不安も当然生じます。このため、派遣元は、期間が満了した派遣社員が希望すれば、(1)派遣先に派遣労働者の直接雇用を依頼する、(2)派遣労働者に新しい派遣先を提供する、(3)派遣元が無期雇用する、(4)その他雇用の安定を図るために必要な措置、のいずれかを講じる義務があります。

 

労働契約法、労働者派遣法ともに雇用の安定を図ることを目的に改正されました。2018年は、雇用形態の在り方を見直し、労働者・企業双方にとりよりよい仕組みを構築していくことが期待される重要な年となります。

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