溝口知実
第66回  投稿:2024.05.14 / 最終更新:2024.05.02

本年10月からの社会保険の適用拡大について

鈴与シンワートの人事給与統合システム×人事給与アウトソーシング

こんにちは。特定社会保険労務士の溝口知実です。
いよいよ本年10月から社会保険の適用範囲が拡大され、対象となる企業も大幅に拡大される見込みです。

今回は、社会保険の適用拡大について確認していきたいと思います。

 

1.社会保険の適用拡大

現在、従業員数が101人以上の企業で働く短時間労働者が、厚生年金保険・健康保険(社会保険)の加入対象となっています。

この短時間労働者の加入要件がさらに拡大され、令和610月から従業員数が51人以上の企業で働く短時間労働者も、要件を満たせば社会保険への加入が義務づけられることなります。

ここでの従業員数のカウント方法は、以下A+Bの合計をいいます。

A:フルタイムで働く従業員数

B:1週間の所定労働時間及び1月の所定労働日数がフルタイムの3/4以上の従業員数

原則として、従業員数の基準を常時(1年のうち6月間以上)上回る場合は対象となります。

法人は、法人番号が同一の全事業所の従業員数を合計して、個人事業所は個々の事業所ごとにカウントします。

社会保険の適用拡大

2.加入対象(短時間労働者)の要件

以下の条件にすべて該当する方が短時間労働者として加入対象となります。

①週の所定労働時間が20時間以上

②所定内賃金が月額8.8万円以上

③2カ月を超える雇用の見込みがある

④学生ではない

 

以上について、順次確認します。

①週の所定労働時間が20時間以上

契約上の所定労働時間であり、臨時に生じた残業時間は含みません。

契約上20時間に満たない場合でも、実労働時間が2カ月連続で週20時間以上となり、それ以降も続く見込みのときは、3カ月目から加入対象となります。

 

②所定内賃金が月額8.8万円以上

基本給と手当の合計額です。残業代、賞与、通勤手当、臨時的な賃金等は含みません。

 

2カ月を超える雇用の見込みがある

最初の雇用契約の期間が2カ月以内であっても、次に該当する場合は2カ月以内の雇用契約が更新されることが見込まれる場合に該当するものとして、最初の雇用契約に基づき使用され始めた時に被保険者資格を取得することになります。

ア.就業規則や雇用契約書その他の書面において、その雇用契約が「更新される旨」又は「更新される場合がある旨」が明示されていること。

イ.同一の事業所において、同様の雇用契約に基づき使用されている者が、契約更新等により最初の雇用契約の期間を超えて使用された実績があること。

 

④学生ではない

ただし休学中、定時制、通信制の方は、加入対象となります。

社会保険加入対象(短時間労働者)の要件

3.適用拡大に向けての準備

適用拡大の対象となる企業では、10月までに適用拡大に向けての準備が必須となります。

日本年金機構からは対象となる事業所に、本年9月上旬以降、通知が送付される予定ですので、届いた際は必ず内容を確認しておきましょう。

事前準備としては、新たに加入対象となる従業員を把握し、従業員への周知や対象者への説明、社会保険料の見込額の算出等を行います。

従業員へは、社会保険の加入のメリットや制度等を十分説明する必要があります。

厚生労働省の「社会保険適用拡大特設サイト」では、社会保険適用拡大に関する実践的な広報コンテンツが公開されていますので、活用し早めに取り組んでおきましょう。

社会保険適用拡大 特設サイト|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/index.html

 

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