2017年の労働関連・社会保険関連の主な動きについて
こんにちは。特定社会保険労務士の溝口知実です。
1月に入り、改正育児介護休業法が施行され、その対応に追われている人事担当者様も多いのではないでしょうか。また、今年は「働き方改革」の政府立案が本格化する見通しのため、働き方の見直しが企業の大きな課題となってくるかと思います。
今回のコラムは、2017年に予定される労働関連、社会保険関連の主な動きについてです。
1.労働関連
労働関連では、1月には育児介護休業法が改正され、介護休業の分割取得や介護のための所定外労働の免除などが盛り込まれました。また、育児や介護等を行う労働者の周りの労働者がマタハラ等を行わないよう、雇用管理上必要な防止措置を事業主に義務付けました。
また、高年齢者の雇用を推進するため、1月から65歳以上の労働者も「⾼年齢被保険者」として雇用保険の適用の対象となります。これにより、65歳以上でも要件を満たせば高年齢者求職者給付金(一時金)、育児休業給付金、介護休業給付金、教育訓練給付金が支給されます。
2017年のメインとなる大きな動きは「働き方改革」でしょう。政府は今年3月までに働き方改革の実行計画を取りまとめる予定です。厚生労働省はこれを受け、4月以降は同一労働同一賃金の実現や長時間労働の見直しを進めるため組織を改編し、働き方改革関連の業務を中心的に担う「雇用環境・均等局」の設置や少子化対策を担当する「子ども家庭局」も新設される予定です。
非正規労働者の正規雇用化を支援するため、就職氷河期(1990年代後半から2000年代前半)に大学等を卒業した非正規労働者等を正社員として雇い入れた企業に助成金を支給する制度が新設されます。就職氷河期世代は現在40歳前後ですが、働き盛り世代でありながら他の世代と比べ、雇用が不安定な傾向にあります。この世代の正社員化を進め働き盛り世代を支援することで、雇用と生活の安定を図ります。
2.社会保険関連
社会保険の分野では、8月に大きな改正があります。改正年金機能強化法が施行され、老齢年金を受け取るための要件である納付期間がこれまでの25年から10年に短縮されます。対象者には、今年2月末から7月までの間に日本年金機構から「年金請求書」が順次発送される予定です。
また、厚生年金保険料の引き上げが9月に上限に達します。保険料率は、2004年の改正以降毎年9月に引き上げられていましたが、今年9月からは上限に達し固定されます。
医療では、70歳以上の高額療養費の負担増が予定されています。今年8月から、70歳以上の「現役並み所得者」(年収370万円以上)および「一般所得者」の高額療養費の自己負担限度額が引き上げられます。
今年も様々な動きがあります。特に働き方改革については、各企業の取り組みが求められてくるでしょう。今後の動向に注視が必要です。
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