溝口知実
第44回  投稿:2020.08.14 / 最終更新:2020.08.13

雇用保険の被保険者期間算定方法の変更、基本手当の給付制限期間の短縮について

こんにちは。特定社会保険労務士の溝口知実です。
雇用保険における失業等給付の受給資格を得るために必要な被保険者期間の算定方法が本年8月1日より変更となりました。また、本年10月1日より、自己都合による退職者の基本手当の給付制限期間が3か月から2か月に短縮となる予定です。今回は、上記2点について解説いたします。

1.被保険者期間の算定方法の変更について

雇用保険の基本手当を受けるためには、離職をした⽇以前の2年間に、雇用保険の「被保険者期間」が通算して12か月以上(特定受給資格者または特定理由離職者は、離職の⽇以前の1年間に、被保険者期間が通算して6か⽉以上)あることが必要です。
これまでは、賃⾦⽀払の基礎となる日数が11日以上ある月を1か月として計算していました。しかし、この計算方法によると、雇用保険の被保険者となる要件(週所定労働時間が20時間以上)を満たしているにもかかわらず被保険者期間にカウントされない月が出てくる場合があります(例えば週2日と週3日の労働を定期的に継続し、雇用保険被保険者の資格を満たしながら労働日数が月11日に満たず被保険者期間に算入されない場合等)。
これを踏まえ、日数だけでなく労働時間による基準も補完的に設定するよう⾒直しがされ、8月1日からは、「賃⾦⽀払の基礎となる日数が11日以上ある月」、または、「賃⾦⽀払の基礎となった労働時間数が80時間以上ある月」を1か月として計算することとなりました。
実務的には、離職日が令和2年8月1日以降の労働者の離職証明書を作成する際は、「⑨欄」と「⑪欄」に記載する賃金支払基礎日数が10日以下の期間については、労働時間数(所定労働時間ではなく時間外労働も含めた総労働時間)を「⑬欄」に記載します。
また、この変更は離職票のほか、育児休業給付、介護休業給付、高年齢雇用継続給付に係る賃金証明書の作成においても同様の取扱いとなります。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000642296.pdf

2.基本手当の給付制限期間の短縮について

自己都合で退職した場合、雇用保険の基本手当の受給手続日から原則として7日経過した日の翌日から3か月間は基本手当を受給できません。これを「給付制限期間」といいますが、本年10月1日以降に退職した人は、自己都合により退職した場合であっても、5年間のうち2回までは、給付制限期間が2か月に短縮されます。5年以内に3回の離職がある場合、3回目の離職に係る給付制限期間は3か月となります。
ただし、自己の責めに帰すべき重大な理由で退職した人の給付制限期間はこれまでどおり3か月です。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000655465.pdf

今般の給付制限期間短縮措置は、法改正ではなく、ハローワークの「業務取扱要領」(いわゆるマニュアル)の改正事項として取り扱われます。法律上は、給付制限期間は「1か月以上3か月以内」と規定されているため、法改正の必要はないわけです。
厚生労働省は、「その効果等を施行後2年を目途として検証するべきである」としています。

実務上は、直接会社に影響があるものではありませんが、自己都合による退職者にとっては転職活動や生活を営む上で重要となりますので、退職前に通知しておくとよいでしょう。

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