日本の人事部掲載コラム バックナンバー
第69回  投稿:2023.12.06 / 最終更新:2023.12.12

短時間労働者の社会保険の適用拡大

 

 

パートタイマーやアルバイトで働く非正規社員の厚生年金保険(健康保険)への加入を拡大させる案が検討されています。まだ最終的なものでないので、どこまで拡大するのかは判りませんが、2022年と2024年に段階的に拡大する方向です。

拡大の対象者等については法案が固まってから再度説明したいと思いますが、今回は、現在の制度におけるパートやアルバイトで働く非正規社員の社会保険加入の基準を見ておきましょう。

 

社会保険加入の基準

原則として、パートタイマー・アルバイトでも、会社に常用的に使用されているのであれば被保険者となります。しかし、時間や日数が少ない(受け取る給与額が少ない)方を被保険者とするのは、扶養家族の概念をなくすことにもつながります。

そのため、一定の基準以下で働く方については、社会保険に加入することができません。

具体的な基準は、「1週間の所定労働時間」および「1か月の所定労働日数」が、同じ事業所で同様の業務に従事している一般社員の4分の3以上であれば被保険者になります。

つまり、正社員と比べて労働日数と労働時間の両方が4分の3以上の非正規社員は被保険者として社会保険に加入し、それ未満の場合は加入しないことになります。

 

ここでのポイントは所定労働時間「および」所定労働日数となっていることです。たとえば、正社員が週5日、1日8時間勤務の会社では、次のような働き方は、被保険者となる要件を満たしません。

1)正社員と同じ週5日勤務するが、週の所定労働時間が30時間に達しない(1日5.5時間のパートタイマーなど)場合

2)1日8時間で勤務しているが、働く日は月水金の3日(週5日の4分の3未満)の場合

 

大企業の非正規社員の社会保険加入

原則は前述の通りなのですが、厚生年金保険への加入拡大を目的として、2016年10 月から大企業のパートタイマー・アルバイトの加入要件が緩和されました。

対象となっているのは、厚生年金保険の被保険者数が「常時501 人以上」の法人等の適用事業所です。被保険者数が501人以上の大企業では、次の4つの要件を満たした非正規社員は「短時間労働者」として健康保険と厚生年金保険の被保険者になります。

1)週の所定労働時間が20時間以上あること

2)雇用期間が1年以上見込まれること

3)賃金の月額が88千円以上であること

4)学生でないこと

 

被保険者数が常時500人を超えているかは、同一の法人番号を有するすべての適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者数で判断します。つまり、事業所単位ではなく、「企業全体」の被保険者数で判断すると捉えてください。

企業全体で、12か月のうち、6か月以上500人を超えることが見込まれる場合は、短時間労働者を社会保険に加入させる必要があります。

 

中小企業の非正規社員の社会保険加入

大企業の短時間労働者のルールだけを運用すると、同じ労働時間のパートタイマーやアルバイトであっても、企業の人数規模によって加入できる人と加入できない人が発生してしまいます。

そこで、2017年4月から労使で合意(働いている方々の2分の1以上と事業主が社会保険に加入することについて合意すること)すれば、被保険者数が500人以下の企業であっても、大企業同様に短時間労働者を社会保険に加入させることができます。

加入する短時間労働者の要件は大企業の場合と同じ次の4つです。なお、労使合意により短時間労働者を加入させる「任意特定適用事業所」になると、その適用を取り消さない限り、対象者「全員」を加入させなければなりません。労使合意に賛成しなかった人など、非正規社員の希望で一部の人を加入しない取扱いはできないのでご注意ください。

1)週の所定労働時間が20時間以上あること

2)雇用期間が1年以上見込まれること

3)賃金の月額が88千円以上であること

4)学生でないこと

 

現在の予定では、企業規模を501人以上から段階的に拡大(人数を引き下げる)方向で議論されています。現段階では、2022年10月に「101人以上」、2024年10月に「51人以上」とする案が有力と報道されています。仮に「51人以上」とした場合、厚生年金保険の加入者は65万人増加するとのことです。議論の結果によっては、対象となる企業規模が変わる可能性も十分に考えられます。

社会保険の適用の拡大は、会社の費用負担の増加につながります。担当者は議論の行方を注視しておくことが重要です。

 

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