令和5年度の雇用保険の料率
目次
年度替わりの時期になりました。令和4年度の雇用保険料率は年度の途中で保険料率が変わりましたが、令和5年度については、従来通り令和5年4月1日~令和6年3月31日まで年の途中で保険料が変わることはありません。しかし、保険料率は令和4年度に比べ、引き上げられます。
今回は令和5年度の雇用保険料率について見ていきましょう。
令和5年度の雇用保険料率について
令和5年4月1日~令和6年3月31日の失業等給付の雇用保険料率は、労働者・事業主負担ともにそれぞれ「1/1,000」引き上げられます。
一般の事業の場合、令和5年4月1日から令和6年3月31日の雇用保険料率は「15.5/1,000」になります。それぞれの業種別にまとめると保険料率は以下のようになります。
労働者負担率 | 事業主負担率 | 雇用保険料率 | |
一般の事業 | 6/1000 | 9.5/1000 | 15.5/1000 |
農林水産・清酒製造の事業 | 7/1000 | 10.5/1000 | 17.5/1000 |
建設の事業 | 7/1000 | 11.5/1000 | 18.5/1000 |
雇用保険料控除の変更時期について
雇用保険の計算は、実際に支給される給与金額に雇用保険料率を乗じて雇用保険料を決定するため、社会保険の徴収事務に比べてミスの発生率は高くありません。しかし、雇用保険料率の変更時に関しては、注意が必要になります。
雇用保険料率が改定されるといつの分の給与から雇用保険料を改定しなければならないのでしょうか?意外に知識が曖昧な方が多く、給与計算を間違えてしまっているケースがあるようです。
よくある間違いは、翌月払いの会社で、4月に保険料が改定されたから4月に支払われる給与から保険料率を変更してしまうケースです。正しい徴収方法は、賃金締日を基準にして判断することが原則となります。
いくつかの例を使って、説明をしていきたいと思います。
例1)当月締 当月払いの場合
締日:4月20日 支払日:4月30日
→ 4月30日支給の給与から新しい雇用保険料率で計算
例2)当月締 翌月払いの場合
締日:3月31日 支払日:4月25日
→ 4月25日支給の給与は従前の料率、
5月25日支給の給与から新しい雇用保険料率で計算
このように、賃金締日を基準にして計算するのが正しい方法です。繰り返しになりますが、よくある誤りは賃金支払日を基準にして雇用保険料を変更してしまうケースです。
賃金支払日基準で判断すると、例2の場合では4月25日支給の給与から新しい雇用保険料率で計算することになりますが、これは誤りです。
雇用保険料の徴収(料率の変更)のタイミングを誤ってしまうと、労働保険料の申告にも影響が出ることもあるので、注意しましょう。
雇用保険料の端数処理について
給与計算ソフトを使用して給与計算をしている場合は、雇用保険料に端数が生じた場合でも設定に応じて自動計算されます。一方で、ソフトを使用していない場合は1円未満の端数が生じてしまう場合に処理を行う必要があります。
雇用保険料の端数処理の方法は、被保険者が現金で会社に支払う場合と、給与から雇用保険料を徴収する場合でそれぞれ処理方法が決められています。
それぞれの方法を見てみましょう。
1)被保険者負担分を被保険者が事業主へ現金で支払う場合
雇用保険料を被保険者が現金で支払うケースは少ないと思います。ルールでは、被保険者負担分を被保険者が事業主へ現金で支払う場合は、被保険者負担分の端数が50銭未満の場合は切り捨て、50銭以上の場合は切り上げることになっています。
2)賃金から被保険者負担分を控除する場合
通常は、賃金から雇用保険料を控除しているケースが大多数だと思います。原則のルールは、被保険者負担分を賃金から徴収する場合は、被保険者負担分の端数が、50銭以下の場合は切り捨て、50銭1厘以上の場合は切り上げになります。
3)会社に慣習的な取り扱い等の特約がある場合
原則は上記の通りですが、端数処理について、会社独自の方法が決まっている場合は、その方法で端数処理を行えば良いことになっています。例えば、1円未満の端数はすべて切り捨てるといった対応が慣例となっているのであれば、法違反にはなることはありません。
今回は、雇用保険料率の変更と端数処理の方法について説明しました。雇用保険料の計算はシンプルですが、今回のような料率の変更時には誤りが発生しやすいので、慎重に対応しましょう。
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