年間の給与計算の流れ
目次
給与計算関連事務には、毎月の給与計算事務や所得税等の納付手続きのほか、毎年決まった時期に行わなければならない事務があります。確実に給与計算事務を行っていくには、1年間のスケジュールを把握しておく必要があります。
今回は、給与計算の年間スケジュールの流れについてみていきます。
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年間で特定の時期に行わなければならない給与計算関連事務や社会保険関連手続きには、次のようなものがあります。
1月に行う税務関係事務
前年分の「給与所得の源泉徴収票」を3枚作成し、1枚を本人へ、残りの2枚は1月1日現在で社員(給与所得者)が住んでいる市区町村へ「給与支払報告書(総括表)」とともに提出します。これは、新年度の住民税を決定する基礎データになります。
給与収入が一定額以上(年末調整をした一般の社員であれば年間500万円を超える場合)の方については、さらに源泉徴収票をもう1枚作成し、「法定調書合計表」に添付して税務署へ提出します。
また、1月の給与計算に間に合うように、その年の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらいます。この申告書に基づいて、1月以降の所得税の源泉徴収額を計算します。これは前年の年末調整時に提出してもらう会社が多いようですが、年が変わることにより扶養親族数に変更がある方がいますので、忘れずに給与マスタを変更します。
6月は住民税の特別徴収額改定
住民税の特別徴収額の改定を行います。住民税の特別徴収は6月から翌年5月まで均等額が徴収されますが、6月は端数調整で他の月と金額が異なることがあります。その場合、7月に改めて特別徴収額を変更しなければなりませんので、月ごとの住民税額をしっかり確認しましょう。
6月1日~7月10日は労働保険の年度更新
6月には、労働保険の年度更新事務も行わなければなりません。労働保険の保険料の申告と納付は7月10日までに行います。(曜日の関係で若干変動する年があります。)
7月は標準報酬月額の定時決定
健康保険、厚生年金保険の算定の基礎となる「標準報酬月額」の定時決定を行います。
「報酬月額算定基礎届」を年金事務所や健康保険組合に、7月1日から7月10日までの間に提出します。その際、4月から昇給があった方の「標準報酬月額変更届」もあわせて提出します。
また、6月ないし7月は夏季賞与が支給されることが多い月です。賞与計算を行い、賞与から控除した健康保険料と厚生年金保険料を「健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払届」で年金事務所や健康保険組合に届け出ます。
12月は年末調整
12月は所得税の年末調整を行います。1年間の所得税額を計算し、月々源泉徴収した所得税額の合計額との差額を清算します。一般的には、12月分の給与で超過額を還付もしくは不足額を徴収します。
また、11月ないし12月は冬季賞与が支給されることが多い月です。先ほど同様、賞与から控除した健康保険料と厚生年金保険料を「健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払届」で年金事務所や健康保険組合に届け出ます。
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一般的な企業を例にして、給与計算とそれに付随する事務のスケジュールを紹介します。
昇給や昇格、賞与の支給月、あるいは社会保険料等の徴収のタイミングは会社によって異なるので、各社の実態に読み替えて見ていただければと思います。
1月
- 扶養控除等(異動)申告書の受理
- 前年から扶養親族数が変更になる方のマスタ修正
- 法定調書合計表の提出(1月31日までに、税務署へ提出)
- 給与支払報告書の提出(1月31日までに、各市町村へ提出)
4月
- 新入社員の給与計算開始
- 給与改定、異動、昇進による給与の固定項目(住宅手当や役職手当)の改定
- 新入社員の扶養控除等(異動)申告書の受理
- 新入社員の被保険者資格取得届の提出(健康保険・厚生年金保険は入社から5日以内、雇用保険は翌月10日まで)
- 健康保険、介護保険、雇用保険の料率の変更
- 高年齢労働者(4月1日現在で64歳以上)にかかる雇用保険料の免除開始
6月
- 住民税特別徴収税額の改定
- 労働保険料の概算・確定保険料申告書の提出(6月1日~7月10日)
7月
- 夏季賞与の支給
- 賞与支払届の提出(支給から5日以内)
- 社会保険の月額変更届の提出(4月に固定的賃金の変動があった場合)
- 社会保険の算定基礎届の提出
8月
- 7月月額変更による社会保険料改定(8月給与)
10月
- 厚生年金保険の料率の改定
- 算定による社会保険料改定(10月給与)
11月
- 年末調整書類を社員に配布
12月
- 冬季賞与の支給
- 賞与支払届の提出(支給日から5日以内)
- 年末調整、源泉徴収票の作成
雇用保険、健康保険、介護保険の料率は、毎年変更されるものではなく、また時期も多少ずれる場合があります。給与計算の担当者は、給与計算だけでなく、その周辺知識も持っていなければなりません。
給与計算を間違ってしてしまった際に「知らなかったから」と言い訳をすることはできません。従業員との信頼関係を崩さないように、給与計算の担当者は法改正等の情報を常に意識して収集していく必要があります。
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第98回社会保険の定時決定~その1
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第97回雇用保険の料率変更
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第96回定年延長と退職金
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第95回夜勤シフトの割増賃金
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第94回休業補償と休業手当
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第93回社会保険の適用拡大について
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第92回令和3年の年末調整
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第91回兼業している65歳以上の方の雇用保険
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第90回個人型確定拠出年金(iDeCo)
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第89回社宅家賃や社員旅行の積立金
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第88回感染対策費用の課税・非課税
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第87回兼業、副業の時間外手当
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第86回2以上事業所勤務者の社会保険料
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第85回有給休暇と残業手当
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第84回在宅勤務手当の非課税計算
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第83回延長された社会保険の特例改定
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第82回育児・介護休業法の改正
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第81回年末調整のイレギュラー対応
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第80回年末調整の変更点~その2
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第79回年末調整の変更点~その1
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第78回厚生年金保険保険料の上限引き上げ
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第77回新型コロナウイルスによる社会保険標準報酬月額の特例改定
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第76回寡婦控除の見直し
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第75回住民税の特別徴収
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第74回在宅勤務時の労働時間と割増賃金
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第73回高年齢労働者の雇用保険料免除の廃止
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第72回休業手当の計算方法
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第71回源泉所得税の仕組み
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第70回時間単位の有給休暇付与
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第69回短時間労働者の社会保険の適用拡大
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第68回60時間超の残業の割増率の猶予措置廃止
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第67回フレックスタイム制の改正と残業代
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第66回健康保険の加入資格と保険料
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第65回厚生年金保険の加入資格と保険料
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第64回介護保険料を徴収するタイミング
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第63回社会保険における賃金とは
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第62回労働保険における賃金とは
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第61回労働基準法における賃金とは
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第60回出来高払い制の残業代
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第59回休業手当の計算方法
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第58回賞与における所得税の計算
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第57回年末調整(住宅ローン控除)の実務
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第56回年末調整の変更点
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第55回社宅制度と労働保険料
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第54回社宅制度と社会保険料
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第53回住宅手当と社宅貸与の違い
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第52回退職金の税務計算
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第51回賃金支払いの5原則~その4(最終回)
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第50回賃金支払いの5原則~その3
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第49回賃金支払いの5原則~その2
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第48回賃金支払いの5原則~その1
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第47回時給者の有給休暇の賃金の計算方法
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第46回割増賃金の基礎となる賃金
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第45回年末調整の留意点~その2
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第44回年末調整の留意点~その1
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第43回退職者の住民税
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第42回労働時間の端数処理
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第41回入社した従業員がすぐに退職したとき
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第40回賃金から控除できる項目と労使協定
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第39回1か月60時間超の残業の割増率と代替休暇
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第38回退職者の社会保険料徴収とタイミング
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第37回雇用保険料率の改定と変更のタイミング
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第36回最低賃金の仕組み
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第35回毎月の給与からの源泉所得税の徴収
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第34回65歳以上の従業員に対する雇用保険の法改正
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第32回年末調整における海外居住の扶養家族
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第31回年末調整におけるマイナンバーの取扱
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第29回雇用保険料と介護保険料の免除
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第28回企画業務型裁量労働制と割増賃金の考え方
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第27回事業場外労働に関するみなし労働時間制度の考え方
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第26回専門業務型裁量労働制と割増賃金の考え方
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第25回1週間単位の変形労時間制度
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第24回フレックスタイム制の労働時間制度
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第23回1年単位の変形労時間制度
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第22回1か月単位の変形労時間制と残業代の関係
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第17回報奨金の現金支給や現物給与
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第16回徹夜勤務や遅刻をした日の残業代の支払い
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第15回有給休暇の付与と消滅
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第13回給与計算の誤入力を修正するときの注意点
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第12回標準報酬月額の随時改定
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第11回年間の給与計算の流れ
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第10回年末調整の後の諸手続き
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第09回離婚時の年金の分割制度
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第08回年末調整その1~年末調整の意味と対象者~
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第07回遅刻をした日に残業をしたときの計算方法
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第06回就業規則と給与計算の関係
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第05回給与から引かれるものは?
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第04回残業代を正しく計算するための基礎知識
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第03回賞与の支給と給与計算
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第02回産前産後休業や育児休業の仕組みと社会保険料
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第01回消費税増税で変わる通勤手当と社会保険料