出来高払制の保障給と最低賃金
目次
2025年も最低賃金が大幅に引き上げられることになりました。出来高払制や請負制で労働者を雇用している会社は、最低賃金の引き上げに伴って最低保障額も引き上がっているため、確認が必要です。
今回は、出来高払制の保障給と最低賃金についてみていきます。
出来高払制の保障給とは
労働基準法27条で「出来高払制その他請負制で使用する労働者については、使用者は労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない」とされています。
このルールは、出来高払制その他の請負制で使用される労働者の賃金については、労働者が就業した以上は、出来高が少なかったとしても、労働時間に応じて一定額の保障をするということを使用者に義務付けています。
このルールができた背景は、労働者が行った仕事の量に対して賃金を決定するような仕組みだと、仕事の単価を不当に低く設定したり、作成物の一部が不良品だった場合に、未完成として賃金を支払わないといった事例があったことが理由です。
保障する金額について
保障する金額については、明確に規定されているわけではありません。この条文の趣旨から考えると、出来高払制で賃金を得ている労働者の生活を最低限保障することにあります。
そのため、休業手当の算定方法と同様に、平均賃金の60%以上の支払がひとつの目安になります。
保障給は、労働時間に対して一定額を保障するということなので時間給で設定することが原則となります。労働時間とは関係なく一定額を保障するものは、労働基準法が想定する保障給とはなりません。
また、出来高払制の賃金であったとしても都道府県別の最低賃金を下回ることができません。保障給といえども、先ほどの平均賃金の60%以上とともに、最低賃金を下回っていないかはかならず確認が必要です。
保障給の額については、雇用契約書や労働条件通知書に金額を定めておいた方がよいでしょう。
最低賃金の概要と種類について

最低賃金とは、最低賃金法に基づき国が定めた、労働者に対して支払う賃金の最低限度の金額のことをいいます。最低賃金には、地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金の2種類があります。
地域別最低賃金は、産業や職種に関係なく都道府県内で働くすべての労働者に対して適用される最低賃金です。一方で、特定(産業別)最低賃金は、「特定地域内」の「特定の産業」の基幹的社員に対して適用されます。
なお、地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金の両方が同時に適用される場合には、高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。また、最低賃金が異なる地域をまたいで派遣される派遣社員の場合は、派遣先の事業所所在地の最低賃金が適用されます。
令和7年度の中央最低賃金審議会の答申のポイントについて
令和7年度の中央最低賃金審議会答申のポイントは、次の3点になります。
1) 各都道府県の引上げ額の目安
「各都道府県の引上げ額の目安については、Aランク63円、Bランク63円、Cランク64円。 注.都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCの3ランクに分けて、引上げ額の目安を提示している。現在、Aランクで6都府県、Bランクで28道府県、Cランクで13県となっている。 」 |
引用:厚生労働省 『令和7年度地域別最低賃金額改定の目安について』
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_60788.html
| Aランクの都道府県 | 埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪 |
| Bランクの都道府県 | 北海道、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、福岡 |
| Cランクの都道府県 | 青森、岩手、秋田、山形、鳥取、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄 |
2) 改定額の全国加重平均額は1,118円
3) 全国加重平均額63円の引き上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額
最低賃金は、上の中央最低賃金審議会で決まるのではなく、この後、各都道府県の地方最低賃金審議会の答申を経て、各都道府県労働局が金額と発効日を最終決定します。
この原稿を書いている段階では、まだすべての都道府県で確定したわけではありませんが、中央最低賃金審議会の答申を超える金額で決定されている都道府県が多くあります。
また、大幅に引き上げるために、例年10月に発効されることが多かった発効日を繰り下げる都道府県もあるようです。それぞれの事業所所在地の最終決定を必ず確認するようにしてください。
参考:厚生労働省 『令和7年度地域別最低賃金額改定の目安について』
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_60788.html
今回は、出来高払い制の保障給と最低賃金の関係についてみてきました。出来高払い制の保障給の計算も最低賃金を意識する必要がありますので、最低賃金引き上げの発効日のタイミング前に一度チェックするようにしましょう。
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