年末調整の留意点~その1
目次
一年が過ぎるのは早いもので、そろそろ平成29年の年末調整を行う時期が近づいてきました。
今回は、平成29年分の年末調整業務において留意しておくべき点について、みていきたいと思います。
1.所得控除額の改正
平成29年の所得税の計算は、給与収入が1,000万円を超える場合の所得控除額は220万円が上限になりました。つまり、給与収入が1,000万円以上の場合はその金額がいくらであろうとも、所得控除額は一律220万円になります。
この改正によって、「給与所得の源泉徴収税額表(月額表、日額表)」、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」、「年末調整のための給与所得控除後の給与等の金額の表」が変更されています。
平成29年分の年末調整の際には、「平成29年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を使用するように注意してください。
また、給与ソフト等で給与計算を行っている会社は、かならずアップデート等を行ってから平成29年の年末調整業務を行うようにしましょう。
2.復興特別所得税の計算
所得税の源泉徴収義務者(会社)は、平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際に、「復興特別所得税」をあわせて徴収することになっています。
その年の最終的な年税額を確定する年末調整においても、復興特別所得税を含めて年税額を算出しなければなりません。
復興特別所得税の計算自体は昨年と変更ありませんが、今年から年末調整を自社で行う場合など、念のため復興特別所得税が計算されているかを確認しましょう。
3. 給与支払事務所等の移転届出書に関する改正
年末調整とは直接関係ありませんが、平成29年4月1日以後の給与支払事務所等の移転の際に所轄税務署へ提出する「給与支払事務所等の移転届出書」は、移転後の所在地の所轄税務署長への提出が不要になっています。
従来は、移転前と移転後の所在地を管轄する税務署の両方に移転届出書を提出する必要がありました。今回の改正により、移転届出書は「移転前」の給与支払事務所等の所在地の所轄税務署長へのみ提出すればよいことになります。
4.扶養控除等(異動)申告書等に記載するマイナンバーに関する改正
平成29年1月1日以降に支払いを受けた給与等について、事前に提出者本人、控除対象配偶者、扶養親族等のマイナンバー(個人番号)やその他の事項を記載した帳簿を会社が備えている場合は、以下の書類を提出する際にマイナンバーの記載を省略することができます。
1)給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
2)従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書
3)退職所得の受給に関する申告書
4)公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
マイナンバーが記載されている書類は、保管や破棄の方法について、厳格な制約があります。そのため、マイナンバーが記載されている書類は少ないに越したことはありません。
せっかく会社の負担を軽減する改正が行われたのですから、改正を生かせるように会社の作業手順等を見直すことをおすすめします。
今回紹介した事項以外でも、平成30年から配偶者控除や配偶者特別控除に関する改正も行われています。
これらの事項は平成30年1月以降に支払われる給与等から影響してきますので、次回は、その部分を中心に紹介していきたいと思います。
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第100回産後パパ休暇と給与計算
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第99回社会保険の定時決定~その2
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第98回社会保険の定時決定~その1
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第97回雇用保険の料率変更
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第96回定年延長と退職金
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第95回夜勤シフトの割増賃金
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第94回休業補償と休業手当
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第93回社会保険の適用拡大について
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第92回令和3年の年末調整
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第91回兼業している65歳以上の方の雇用保険
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第90回個人型確定拠出年金(iDeCo)
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第89回社宅家賃や社員旅行の積立金
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第88回感染対策費用の課税・非課税
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第87回兼業、副業の時間外手当
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第86回2以上事業所勤務者の社会保険料
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第85回有給休暇と残業手当
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第84回在宅勤務手当の非課税計算
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第83回延長された社会保険の特例改定
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第82回育児・介護休業法の改正
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第81回年末調整のイレギュラー対応
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第80回年末調整の変更点~その2
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第79回年末調整の変更点~その1
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第78回厚生年金保険保険料の上限引き上げ
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第77回新型コロナウイルスによる社会保険標準報酬月額の特例改定
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第76回寡婦控除の見直し
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第75回住民税の特別徴収
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第74回在宅勤務時の労働時間と割増賃金
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第73回高年齢労働者の雇用保険料免除の廃止
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第72回休業手当の計算方法
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第71回源泉所得税の仕組み
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第70回時間単位の有給休暇付与
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第69回短時間労働者の社会保険の適用拡大
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第68回60時間超の残業の割増率の猶予措置廃止
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第67回フレックスタイム制の改正と残業代
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第66回健康保険の加入資格と保険料
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第65回厚生年金保険の加入資格と保険料
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第64回介護保険料を徴収するタイミング
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第63回社会保険における賃金とは
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第62回労働保険における賃金とは
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第61回労働基準法における賃金とは
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第60回出来高払い制の残業代
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第59回休業手当の計算方法
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第58回賞与における所得税の計算
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第57回年末調整(住宅ローン控除)の実務
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第56回年末調整の変更点
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第55回社宅制度と労働保険料
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第54回社宅制度と社会保険料
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第53回住宅手当と社宅貸与の違い
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第52回退職金の税務計算
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第51回賃金支払いの5原則~その4(最終回)
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第50回賃金支払いの5原則~その3
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第49回賃金支払いの5原則~その2
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第48回賃金支払いの5原則~その1
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第47回時給者の有給休暇の賃金の計算方法
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第46回割増賃金の基礎となる賃金
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第45回年末調整の留意点~その2
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第44回年末調整の留意点~その1
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第43回退職者の住民税
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第42回労働時間の端数処理
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第41回入社した従業員がすぐに退職したとき
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第40回賃金から控除できる項目と労使協定
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第39回1か月60時間超の残業の割増率と代替休暇
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第38回退職者の社会保険料徴収とタイミング
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第37回雇用保険料率の改定と変更のタイミング
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第36回最低賃金の仕組み
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第35回毎月の給与からの源泉所得税の徴収
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第34回65歳以上の従業員に対する雇用保険の法改正
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第33回今年の年末調整の留意点
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第32回年末調整における海外居住の扶養家族
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第31回年末調整におけるマイナンバーの取扱
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第30回従業員が死亡したとき
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第29回雇用保険料と介護保険料の免除
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第28回企画業務型裁量労働制と割増賃金の考え方
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第27回事業場外労働に関するみなし労働時間制度の考え方
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第26回専門業務型裁量労働制と割増賃金の考え方
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第25回1週間単位の変形労時間制度
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第24回フレックスタイム制の労働時間制度
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第23回1年単位の変形労時間制度
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第22回1か月単位の変形労時間制と残業代の関係
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第21回管理職への残業代の支払い
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第20回今年の年末調整で昨年から変更になった点
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第19回社会保険料の仕組みと変更時期
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第18回通勤費の決め方と非課税限度額
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第17回報奨金の現金支給や現物給与
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第16回徹夜勤務や遅刻をした日の残業代の支払い
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第15回有給休暇の付与と消滅
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第14回給与の支給日の決め方やその変更
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第13回給与計算の誤入力を修正するときの注意点
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第12回標準報酬月額の随時改定
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第11回年間の給与計算の流れ
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第10回年末調整の後の諸手続き
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第09回離婚時の年金の分割制度
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第08回年末調整その1~年末調整の意味と対象者~
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第07回遅刻をした日に残業をしたときの計算方法
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第06回就業規則と給与計算の関係
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第05回給与から引かれるものは?
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第04回残業代を正しく計算するための基礎知識
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第03回賞与の支給と給与計算
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第02回産前産後休業や育児休業の仕組みと社会保険料
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第01回消費税増税で変わる通勤手当と社会保険料