日本の人事部掲載コラム バックナンバー
第128回  投稿:2025.11.18 / 最終更新:2025.10.27

ストレスチェック制度と定期健康診断

現在は労働者数が50名以上の事業所が対象となっているストレスチェック制度ですが、2024年10月10日に、「厚生労働省がストレスチェック制度を全事業所に義務付ける方針を決めた」との報道がありました。

たまに会社の方から、健康診断やストレスチェックを実施する際の給与の支給の有無について質問を受けることがあります。今回は、ストレスチェック制度や定期健康診断の概要と、検査・受診中の給与支払いの考え方についてみていきます。

ストレスチェック制度の概要

ストレスチェック制度は、定期的に労働者のストレスの状況について検査を行う制度です。検査結果を本人に通知して自らのストレスの状況について気付きを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させることが第一の目的です。

ストレスチェックを行うことのメリットは、定期的に検査することで、メンタルヘルス不調のリスクの高い者を早期に見つけ、医師による面接指導につなげることで労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することにあります。
また、職場で行った検査結果を集団ごとに集計・分析し、職場におけるストレス要因を評価して職場環境の改善につなげ、ストレスの要因そのものも低減させるといった効果も期待できます。

ストレスチェックのイメージ画像
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現在のところは、ストレスチェック制度の対象になっているのは、常時使用する労働者が50人以上の事業所です。

ストレスチェック制度では、企業単位で労働者をカウントするのではなく、事業所単位で労働者数をカウントします。常時50人以上のカウントをする際にはストレスチェックを実際に行う必要がないアルバイト等も含めて判断します。

したがって、同じ企業の中でも、実施が義務付けられる事業所と、そうではない事業所が混在することもあります。

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さらに詳しく解説「対象者の拡大が見込まれるストレスチェック制度」

定期健康診断の概要

事業者は、常時使用する労働者に対して、1年以内ごとに1回定期的に医師による健康診断を行う義務があります。健康診断はストレスチェック制度とは異なり、会社や事業所の規模の要件はありません。

定期健康診断の検査項目は以下の通りですが、医師が必要でないと認めた検査は省略することができます。


1)既往歴及び業務歴の調査
2)自覚症状及び他覚症状の有無の検査
3)身長、体重、腹囲、視力、聴力の検査
4)胸部エックス線検査及び喀痰検査
5)血圧の測定
6)貧血検査(血色素量及び赤血球数)
7)肝機能検査(GOT、GPT、γ‐GTP)
8)血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
9)血糖検査
10)尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
11)心電図検査

ストレスチェックと定期健康診断の対象者

ストレスチェックと定期健康診断の対象者は、次の2つの要件をいずれも満たす労働者です。正社員に限られるわけではありませんので、注意しましょう。


1)1年以上の長さで雇用契約をしているか、または雇用期間をまったく定めていないか、あるいは既に1年以上引き続いて雇用した実績があること
2)1週間あたりの労働時間数が通常の労働者の4分の3以上であること

ただし、1週間あたりの労働時間数が通常の労働者の4分の3未満であっても、上の1)に該当し、同種の業務に従事する労働者の1週間の所定労働時間の概ね2分の1以上の労働時間数がある場合は、健康診断を実施することが望ましいとされています。

給与の支払について

定期健康診断やストレスチェックをしている時間の給与の支払いについては、昭和47年9月18日に通達が出されています。

「一般健康診断の受診に要した時間についての賃金の支払いについては、一般健康診断は一般的な健康の確保を図ることを目的として事業者にその実施義務を課したものであり業務遂行との関連において行われるべきものではないので、その受診のために要した時間については、当然には事業者の負担すべきものではなく労使協議して定めるべきものであるが、労働者の健康の確保は、事業の円滑な運営に必要不可欠な条件であることを考えると、その受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましい」

この通達によると、健康診断を受診している時間については、賃金の支払いが必須というわけではありません。就業時間中に健康診断を受診した場合に給与をカットする会社はあまり聞いたことがありませんが、悩ましいのは、個別に健康診断を実施している会社で休日に受診する労働者がいる場合や、二次検査になった労働者がいる場合です。不公平感が出ないように、会社でルールを明確にしておくことが大切です。

給与計算のイメージ画像

なお、ここで記した通達は一般健康診断の通達ですが、ストレスチェックについても同様の扱いとすることになっています。

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今回は、健康診断とストレスチェック実施時の給与支払いについてみてきました。通達にもあるように、労働者の健康確保は会社運営にとって重要な事項です。深夜業を含む業務に従事する労働者などは、特定業務労働者として半年ごとの健康診断が必要です。

健康診断や年1回のストレスチェックにもれのないように、しっかりと計画的に実施をしていく必要があります。

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