日本の人事部掲載コラム バックナンバー
第131回  投稿:2025.12.09 / 最終更新:2025.11.20

フリーランス新法~その3

人事・総務部門が抱える課題を解決
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2024年11月1日に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)」が施行されました。

今回も、引き続きフリーランス新法についてみていきたいと思います。

取引における義務と禁止行為について

フリーランス新法では、履行すべき義務と禁止事項は、「取引の適正化」と「就業環境の整備」の2つのパートで構成されています。

フリーランス新法では、履行すべき義務と禁止事項は、「取引の適正化」と「就業環境の整備」の2つのパートで構成されています。

それぞれ、1)業務委託事業者、2)特定業務委託事業者、3)特定業務委託事業者が一定期間以上の期間業務委託する場合で、履行すべき義務と禁止事項は変わってきます。

以下にまとめましたので確認ください。

1)業務委託事業者が業務を委託する場合

1.取引条件の明示義務

2)特定業務委託事業者が業務を委託する場合

1.取引条件の明示義務

2.期日における報酬支払義務

3.募集情報の的確表示義務

4.ハラスメント対策に係る体制整備義務

3)特定業務委託事業者が一定期間以上の期間行う業務を委託する場合

1.取引条件の明示義務

2.期日における報酬支払義務

3.発注事業者の禁止行為

4.募集情報の的確表示義務

5.育児介護等と業務の両立に対する配慮義務

6.ハラスメント対策に係る体制整備義務

7.中途解除等の事前予告・理由開示義務

ここでいう一定期間とは、取引の適正化については1か月、就業環境の整備については6か月とされています。

前回は、この中の「1.取引条件の明示義務」について説明しました。

今回は、「2.期日における報酬支払義務」と「3.発注事業者の禁止行為」の一部についてみていきます。

前回のコラム「フリーランス新法における取引条件の明示」誘導バナー

期日における報酬支払義務

発注事業者は、発注した給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で、支払期日を定めて、その日までに報酬を支払わなければなりません。

支払い期日を定める際の起算日は、受領する給付の種類(成果物等)によって決められています。

物品の製造・加工委託

・検査の有無は関係なく、発注事業者が、物品を受け取り、自己の占有下に置いた日

情報成果物の作成委託

・情報成果物を記録した電磁的記録媒体(USBメモリ、CD-R等)を受け取り、自己の占有下に置いた日

・電気通信回線を通じて発注事業者の用いる電子計算機内に記録されたとき

役務の提供委託

・個々の役務の提供を受けた日

・役務の提供に日数を要する場合には、一連の役務の提供が終了した日(具体例としては、運送業などで、東京から大阪に物品の運送に2日間かかった場合などがあげられます。)

支払期日は、給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内で定め、定めた支払期日は必ず守る必要があります。仮に、支払期日を定めなかった場合などの支払期日は、物品等を実際に受領した日になります。

また、給付を受領した日から起算して60日を超えて支払期日を定めたとしても、受領した日から起算して60日を経過する日が支払期日となります。

支払い期日の定め方

次に、支払期日をどのように定めていくかをみていきます。

支払期日は、具体的な日を特定できるよう定める必要があります。そのため、「○日まで」や「○日以内」という記載は、いつが支払期日なのか具体的な日を特定できないため、認められません。
具体的には、「○月○日支払」や「毎月○日締切、翌月○日支払」などと記載をする必要があります。

「毎月○日締切、翌月○日支払」といった月単位の締切制度を採用する場合でも、給付を受領した日から60日以内に支払を行わなければなりません。
そのため、月の初めに受領した分の支払が60日以内に行われるよう、毎月末日締切にする場合には、翌月末日までに支払期日を設定する必要があります。

支払期日が金融機関の休業日に当たるケースについては、以下の両方を満たす場合に限って例外が認められています。


1.支払を順延する期間が2日以内である
2.支払日を金融機関の翌営業日に順延することをあらかじめ書面または電磁的方法で合意しているとき

フリーランスに業務を委託している企業は、支払期日が適法になっているか一度チェックをした方がよいでしょう。

発注事業者の禁止行為

フリーランスに1か月以上の業務委託をしている発注事業者には、禁止行為が定められています。

たとえフリーランスの了解を得たり、合意していたとしても、また、発注事業者に違法性の意識がなくても、これらの行為をすることは違法になります。

禁止行為は、次の7つです。


1.受領拒否
2.報酬の減額
3.返品
4.買いたたき
5.購入・利用強制
6.不当な経済上の利益の提供要請
7.不当な給付内容の変更・やり直し


1.受領拒否

フリーランスに責任がないのに、委託した物品や情報成果物の受け取りを拒むことです。

発注事業者の一方的な都合による発注取消しや、納期を延期することで、あらかじめ定めた納期に受け取らないことも受領拒否に当たります。

2.報酬の減額

フリーランスに責任がないのに、業務委託時に定めた報酬の額を、後から減らして支払うことです。

協賛金の徴収、原材料価格の下落など、名目や方法、金額にかかわらず、あらゆる減額行為は禁止されています。

今回は、フリーランス新法における「報酬支払義務」と「禁止行為」のうちの一部についてみてきました。

「フリーランスは労働者ではないから、ファジーな対応をしても問題ない」などと考えていると、知らず知らずのうちに法違反になっている可能性があります。内容を再度確認してみてください。

次回は、禁止行為の残りの部分をみていきたいと思います。

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