見直しがとりざたされている裁量労働制
目次
2026年2月20日の施政方針演説で、高市首相が裁量労働制の見直しについて言及しました。今後、手続きの緩和や対象業務の拡大が行われる可能性があります。
裁量労働制は、「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」の2種類があります。法改正などの内容やスケジュールは何も決まっていませんが、今回は2種類の裁量労働制の基礎部分についてみていきます。

専門業務型裁量労働制とは
専門業務型裁量労働制とは、労使協定であらかじめ定めた時間を労働したものとみなす制度です。業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を労働者の裁量にゆだねることが可能な業務であれば残業代の削減の効果も期待できます。
ただし、すべての業務で適用できるわけではなく、法令等により定められた業務に限定されているという点です。
専門業務型裁量労働制を導入するためには、労使協定を締結し、事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長に届け出ることが必要になります。
専門業務型裁量労働制を導入することができる業務は、次のとおりです。
1.新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務 2.情報処理システムの分析又は設計の業務 3.新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送番組の制作のための取材若しくは編集の業務 4.衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務 5.放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務 6.コピーライターの業務 7.システムコンサルタントの業務 8.インテリアコーディネーターの業務 9.ゲーム用ソフトウェアの創作の業務 10.証券アナリストの業務 11.金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務 12.学校教育法に規定する大学における教授研究の業務 13.銀行又は証券会社における顧客の合併及び買収に関する調査又は分析及びこれに基づ く合併及び買収に関する考案及び助言の業務(いわゆるM&Aアドバイザーの業務) 14.公認会計士の業務 15.弁護士の業務 16.建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)の業務 17.不動産鑑定士の業務 18.弁理士の業務 19.税理士の業務 20.中小企業診断士の業務 |
これらは、仕事の名称ではなく、あくまでも実態がこの業務に従事しているか否かで判断されます。
企画業務型裁量労働制とは
経済社会の構造変化や労働者の就業意識の変化等が進む中、自らの知識、技術や創造的な能力をいかし、仕事の進め方や時間配分に関し主体性をもって働きたいという労働者が存在する状況を踏まえて2000年(平成12年)に施行されました。
対象となる労働者は、事業運営上の重要な決定が行われる企業の本社などにおいて「企画、立案、調査及び分析」を行っている方になります。
この制度を導入すると、対象者は業務の遂行手段や時間配分を自分自身の裁量で決定し、使用者(会社)から具体的な指示を受けずに仕事をすることが可能になります。
企画業務型裁量労働制を導入するためには、労使委員会を設置し、そこでの決議と、事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長に届け出ることが必要になります。また、労働者本人の同意も得なければなりません。
企画業務型裁量労働制の対象となる業務とは
企画業務型裁量労働制は、「対象業務」が存在する会社の一定の事業場でのみ導入することができます。導入できる事業場は、以下の2つのいずれかに該当する事業場になります。
1.当該事業場の属する企業等に係る事業の運営に大きな影響を及ぼす決定が行なわれる事業場 2.本社・本店である事業場の具体的な指示を受けることなく独自に、当該事業場に係る事業の運営に大きな影響を及ぼす事業計画や営業計画の決定を行っている支社・支店等である事業場 |
これらの事業場の中で、企画業務型裁量労働制の対象となる業務は、次の4つの要件すべてを満たしていて、労使委員会で決議した範囲に限られます
1.業務が所属する事業場の事業の運営に関するものであること
2.企画、立案、調査及び分析の業務であること
3.業務遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があると、業務の性質に照らして客観的に判断される業務であること
4.業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し、使用者が具体的な指示をしないこととする業務であること
その他の注意点
専門業務型裁量労働制や企画業務型裁量労働制を導入したとしても、深夜業や、休日に関する規定は排除されません。したがって、法定休日に労働した場合や深夜に労働した場合はそれぞれ割増賃金の支払う必要があります。
また、裁量労働制の場合、労働実態が把握しづらくなり、長時間労働につながってしまうという懸念もあります。裁量労働制を導入していたとしても対象者の健康管理をしっかり行う義務が使用者にはあるということを認識している必要があります。
長時間労働と過労死との関連性と評価基準
参考までに、長時間労働と過労死との関連性について評価基準をみていきたいと思います。
長期間の過重業務については、発症前おおむね6ヶ月間の状況を判断することになります。
評価の方法については、原則的には短期間の過重業務と同様の方法となります。労働時間の評価の目安としては、次の4つを使用して評価します。
1.発症前1~6ヶ月間平均で月45時間以内の時間外労働は発症との関連性は低い
2.月45時間を超えて長くなるほど関連性は強まる
3.発症前1ヶ月間に100時間の時間外労働があると発症の関連性は強い
4.発症前2ヶ月間~6ヶ月間平均で月80時間を超える時間外労働は、発症の関連性は強い
裁量労働制については、今後議論が行われて法改正などが行われる可能性があります。今後の動向を注視しておく必要があるでしょう。
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