日本の人事部掲載コラム バックナンバー
第147回  投稿:2026.08.06 / 最終更新:2026.08.25

在職老齢年金制度の改定

2026年4月から在職老齢年金制度が改正されました。年金が支給停止になる基準額は、2026年3月までは月額51万円でしたが、2026年4月からは月額65万円に変更されました。

最近では、年金を受給しながら働いている方は多くいらっしゃいます。「年金を満額受け取りながら働きたい」といった希望がある場合もあり、給与金額の設定に頭を悩ますこともあるようです。

今回は、在職老齢年金の改正と「総報酬月額」の考え方についてみていきます。

年金を想起させる画像

在職老齢年金制度について

在職老齢年金制度は、年金を受給しながら働く高齢者について、一定額以上の報酬がある場合は、年金の支給額を調整する仕組みです。

現在の制度では、受給している老齢厚生年金の「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計が月65万円を超えると、超えた分の半額が支給停止となります。

老齢厚生年金の基本月額や総報酬月額相当額といった聞き慣れない言葉が出てきますが、仕組み自体はシンプルです。

それぞれの定義と計算方法についてみていきます。

1)老齢厚生年金の基本月額とは

日本の公的年金は、20歳以上60歳未満のすべての人が加入する「国民年金」と、会社などに勤務している人が加入する「厚生年金」の2階建てになっています。 

厚生年金に加入していた会社員は、一般的には65歳になると、1階部分の老齢基礎年金(定額部分)と2階部分の老齢厚生年金(報酬比例部分)が支給されることになります。

支給停止の計算に考慮するのは、2階部分の老齢厚生年金(報酬比例部分)のみであり、老齢基礎年金は減額されることはありません。

したがって、基本月額は老齢厚生年金の月額そのものになります。

2)総報酬月額相当額とは

総報酬月額相当額は、下の計算式で算出します。


標準報酬月額+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12か月

標準報酬月額の対象となる報酬は、次のいずれかを満たすものとなります。

1.被保険者が自己の労働の対償として受けるものであること

2.事業所から経常的かつ実質的に受けるもので、被保険者の通常の生計にあてられるもの

文章だけでは判断しにくいと思いますので、報酬の対象となるものとならないものの具体例を見ていきます。

報酬の対象となるもの

基本給、能率給、奨励給、役付手当、職階手当、特別勤務手当、勤務地手当、物価手当、日直手当、宿直手当、家族手当、休職手当、通勤手当、住宅手当、別居手当、早出残業手当、継続支給する見舞金など

なお、年4回以上支給される賞与についても標準報酬月額の対象となる報酬に含まれるという点には注意が必要です。

報酬の対象とならないもの

退職手当、恩恵的に支給する見舞金、株主配当金、出張旅費、出張手当

年3回以下しか支給されない賞与については、報酬には含まれませんが、標準賞与額の対象となります。

過去1年間の標準賞与額の合計額を12か月で割った金額を標準報酬月額に加えて、総報酬月額相当額を算出します。そのため、毎月標準賞与額を計算する対象期間がずれていきます。

支給停止額の計算について

それでは、実際の支給停止額を計算してみましょう。条件は次の通りとします。

・老齢厚生年金の金額:月額20万円
・総報酬月額相当額 :48万円


支給停止額=(20万円+48万円-65万円)×1/2=1.5万円

このケースの場合、1.5万円が支給停止されることとなります。

支給停止額の変更時期については、原則として総報酬月額相当額が変わった月または退職日の翌月ということになります。

また、70歳以上の方については、厚生年金保険の被保険者ではありませんので保険料負担はありませんが、厚生年金の加入条件と同様の働き方をする場合は、70歳以降も支給停止の対象となります。

今回は、在職老齢年金制度の改正を見てきました。今回は制度の変更のため大幅に基準額は変更になりましたが、基準額は毎年度賃金の変動度合いに応じて若干改定されます。

年金を受給しながら働く従業員に、在職老齢年金の相談をされた場合に対応できるように、基準額の情報は把握しておく必要があります。

鈴与シンワートのサービス紹介|S-PAYCIAL|人事・給与・勤怠/財務・会計ソリューション 管理部門の業務をよりスマートに

鈴与シンワートでは、大規模企業向けの統合HCMソリューション、自社オリジナルの「人事・給与業務アウトソーシングサービス」、クラウドサービスの「電子給与明細」「電子年末調整」などを提供しています。

個社特有の課題やご要望にお応えいたしますので、是非お気軽にお問い合わせください。

お問合せバナー
著者のコラム一覧
あさレポ
ここレポ
S-port
物流コンサルティング
あさレポ
ここレポ
S-port
物流コンサルティング
800社以上の導入実績

3,700社以上の導入実績

弊社コンサルタントによる説明・お見積り依頼など、お気軽にご連絡ください。

PDF資料ダウンロード

詳しい資料のダウンロードはこちらから

3,700社以上の導入実績

3,700社以上の導入実績

弊社コンサルタントによる説明・お見積り依頼などお気軽にご連絡ください。

PDF資料ダウンロード

詳しい資料のダウンロードはこちらから