川島孝一
第149回  投稿:2025.11.06 / 最終更新:2025.11.05

フレックスタイム制の休憩時間

フレックスタイム制を導入している会社において、休憩時間をどのように設定するのか相談を受けることがあります。

休憩は、原則として一斉に与えなければならないというルールになっています。休憩時間を本人に任せている場合や部署ごとに休憩時間が違う場合などは、一斉休憩の適用除外に関する労使協定書を締結する必要があります。

今回は、フレックスタイム制における休憩について説明していきたいと思います。

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フレックスタイム制とは

フレックスタイム制とは、3か月以内の一定期間(清算期間)における総労働時間をあらかじめ定めておき、労働者はその枠内で始業時間や終業時間を自分自身で決定しながら働くことができる制度です。

1日単位で残業時間の計算を行うことはなく、原則は清算期間のトータルの時間によって時間外手当の支払いをするか否かを判断することになります。そのため、労働時間の長さが直接成果に結びつかない研究・開発職等がいる会社で採用されていることが多いようです。

フレックスタイム制イメージ画像

フレックスタイム制を導入するメリットは、通勤ラッシュを避けることができる、従業員自身が労働時間の決定をするので無駄な残業時間を軽減することができるなどといった効果を見込むことができます。

フレックスタイム制を採用した場合に時間外労働となるのは、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間です。ただし、1か月を超える清算期間を設定している場合は、1か月ごとに一定時間を超過した場合も時間外労働となります。

合わせて読みたい解説「フレックスタイム制の時間外労働」に関するコラム

休憩時間とは

休憩については、労働基準法第34条で定められています。条文は、次の3つで構成されています。


① 使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

② 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

③ 使用者は、第1項の休憩時間を自由に利用させなければならない。

この条文をまとめると、休憩時間は、原則として①労働時間の途中で②一斉に与え③自由に利用させなければならないということになります。

休憩とは労働者が労働から離れることを保障されている時間をいい、単に作業に従事しない手待時間は休憩時間にはあたりません。

休憩時間の長さについて

使用者が従業員に付与する休憩時間は、労働時間の長さによって変わってきます。法律上は、以下の3パターンに分けることができます。


① 労働時間が6時間までのとき

:付与しなくてもよい
② 労働時間が6時間を超え8時間までのとき:少なくとも45分
③ 労働時間が8時間を超えるとき

:少なくとも1時間

法律上では、1日の所定労働時間が8時間の会社で、休憩時間を45分に設定するのは問題ありません。しかし、所定労働時間が1日8時間の会社で、1時間残業した場合は労働時間の合計が9時間になります。そのため、残業した日は休憩時間を1時間取らせないと法違反になります。休憩時間を45分に設定している会社は、残業に取り掛かる前に15分の休憩を入れるなど、残業した日の休憩時間が1時間になるように注意しましょう。

休憩時間をそもそも1時間に設定している会社の場合は、何時間残業をさせたとしても法違反に問われることはありません。しかし、長時間の労働になると、集中力の低下などの理由で労働災害が発生しやすくなることもあるかもしれません。やはり、長時間の残業する場合は、残業に取り掛かる前や残業時間が一定時間を超えた際に追加の休憩を取るといったルールを就業規則に定めておいた方が良いでしょう。

休憩時間のイメージ画像

なお、休憩時間は分割して付与することができます。理論上は、1日の休憩時間を15分×4回取得させて1時間とすることも可能です。

ただし、分割された休憩時間が短い場合、休憩時間の自由利用が事実上制限されるため、労働者が労働から完全に解放されているとは評価されない可能性があります。休憩時間を分割する場合には、昼の休憩時間は長くするなど、適切に設定するようにしましょう。

休憩の一斉付与について

休憩は、全労働者に一斉に付与することが原則です。ただし、仕事の内容によっては一斉に付与することができない場合があると思います。そのような場合は、労使協定を締結することにより、一斉付与は適用除外となります。

また、以下の業種はそもそも一斉に休憩することが難しいので、労使協定を締結しなくても一斉付与の原則は適用されません。

運輸交通業、商業、金融 広告業、映画・演劇業、通信業、保健衛生業、接客娯楽業、官公署

フレックスタイム制における休憩

フレックスタイム制における休憩の考え方は、特に法律上の定めがないため、上述の原則通り、①労働時間の途中で、②一斉に与え、③自由に利用させなければなりません。

そのため、フレックスタイム制であっても適用を除外される業種でない限り、休憩は一斉に与えなければなりません。しかし、あらかじめ12時~13時などと決めておいても、コアタイム(全員必ず勤務しなければならない時間)を設定していない会社では、この時間が勤務時間の途中にならない日も出てきます。

休憩の一斉付与の原則の適用除外になっていない業種の場合で、コアタイムの途中で休憩時間を設定できない場合は、「一斉付与の適用除外の協定」により、休憩の開始時刻と終了時刻を労働者にゆだねる旨の定めを締結する必要があります。

今回は、フレックスタイム制と休憩のルールについてみてきました。フレックスタイム制は、始業時間、終業時間を労働者の決定にゆだねることになっていますが、休憩については特別な措置はなく、法律通りの適用になることに注意しましょう。

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