川島孝一
第152回  投稿:2026.02.10 / 最終更新:2026.02.05

派遣労働者同一労働同一賃金協定の過半数代表者

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現在、労働者派遣事業を行っている企業は、派遣労働者の同一労働同一賃金を確保するために、①派遣先均等・均衡方式②労使協定方式のいずれかの方法をとることが義務化されています。

労使協定方式を適用していたとしても、適切な手続きを経て選出された過半数代表者と締結された労使協定でなければ、「労使協定方式」は無効となり、「派遣先均等・均衡方式」が適用されることになります。

今回は、過半数代表者の適切な選出手続きについてみていきます。

同一労働同一賃金とは

「同一労働同一賃金」は、パート社員、契約社員、派遣労働者などについて、正社員と比較して不合理な待遇差を設けることを禁止するというルールを指します。

近年、同一労働同一賃金に対する意識が高まっています。その影響で、契約社員として雇用されている従業員が、会社に対して正社員と同一の権利を有する地位にあることの確認と、正社員が通常受けることができる賃金と現在受けている賃金の差額の支払いを求めた訴訟なども起こされています。

労働者派遣法について

「派遣労働者の同一労働同一賃金」は、派遣先に雇用される通常の労働者(無期雇用フルタイム労働者)と派遣労働者との間の不合理な待遇差を解消することが目的です。派遣労働者は、派遣元と雇用契約を締結しますが、就業する場所は派遣先になります。

待遇に関する派遣労働者の納得感を考慮するため、派遣先の労働者との均等(=差別的な取扱いをしないこと)、均衡(=不合理な待遇差を禁止すること)は重要です。ここで問題になるのが、派遣先の待遇に合わせてしまうと、派遣先が変わるごとに賃金水準等が変わり、派遣労働者の所得が不安定になってしまうという点です。

また、一般的には賃金水準は大企業であるほど高く、小規模の企業であるほど低い傾向にあります。しかし、派遣労働者が従事する職務については、大企業であれば難易度が高く、小規模では難易度が低いとは限りません。

画一的に、派遣先労働者と同様の待遇にしなければならないと法律を定めてしまうと、派遣労働者個人の段階的・体系的なキャリアアップ支援と不整合な事態を招くことも考えられます。

このような状況から、派遣労働者の待遇について、派遣元事業主には、下のいずれかにより、同一労働同一賃金を確保することが義務化されています。


①派遣先均等・均衡方式・・・・派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇
②労使協定方式・・・・・・・・一定の要件を満たす労使協定による待遇


労働者代表の選任について

過半数代表者の適切な選出手続きについて5つのポイントをみていきたいと思います。

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① 労働基準法第41条第2号に規定する管理監督者でないこと

管理監督者とは、一般的には部長、工場長など、労働条件の決定その他の労務管理について経営者と一体的な立場にある人を指します。ただし、名称によって管理監督者か否かが決定されるのではなく、実態によって判断されます。そのため、過半数代表者の選出に際しては、管理監督者に該当する可能性のある人は避けた方がよいでしょう。

② 派遣労働者の同一労働同一賃金の労使協定を締結するために過半数代表者を選出することを明らかにした上で、投票・挙手などにより選出すること

選出手続きは、投票や挙手の他に、労働者の話し合いや持ち回り決議などでも問題ありませんが、労働者の過半数がその人の選任を支持していることが明確になる民主的な手続きが必要になります。

また、選出にあたっては、派遣労働者などを含めたすべての労働者が手続きに参加できるようにする必要があります。会社の代表者が特定の労働者を指名するなど、使用者の意向によって過半数代表者が選出された場合、その協定は無効となりますので注意が必要です。

③ 返信がなかった人を「信任」したものとみなすことについて

派遣労働者を含むすべての労働者に対してメールで通知を行い、そのメールに対する返信のない人を信任(賛成)したものとみなす方法は、一般的には、労働者の過半数が選任を支持していることが必ずしも明確にならないものと考えられています。そのため、手間にはなってしまいますが、返信が無い労働者に対しては、直接労働者の意見を確認したほうがよいでしょう。

④ 派遣労働者の意思の反映をすることが望ましい

派遣労働者は、自らの待遇について、派遣元事業主と意見交換する機会が少ない場合があります。そのため、過半数代表者を選任するための投票などとあわせて意見や希望などを提出してもらい、これを過半数代表者が派遣元事業主に伝えるなどにより、派遣労働者の意思を反映することが望ましいでしょう。

⑤ 過半数代表者が事務を円滑に遂行できるよう配慮することが必要

 派遣元事業主は、たとえば、過半数代表者が労働者の意見集約などを行う際に必要となる事務機器(イントラネットや社内メールを含む)や事務スペースの提供を行うことなどの配慮が必要です。

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今回は、労使協定方式を適用する際の労働者代表選任のポイントについてみてきました。

正しい方法で労働者代表を選任しないと、労使協定方式を適用することができません。

後で無効と判断された場合には、「派遣先均等・均衡方式」が遡って適用されていたと判断されます。この場合、派遣労働者の給与額が不足している可能性が出てきてしまいますので、そのような事態が起こらないように、正しい方法で労働者代表を選出をするようにしましょう。

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