川島孝一
第154回  投稿:2026.04.07 / 最終更新:2026.04.06

法定休日の特定義務

現在、労働基準法の改正に向けて議論が行われています。議論されている項目の中に、「法定休日の特定義務」が含まれています。

今回は、法定休日の基本的な考え方や、法定休日以外の所定休日に労働した場合の割増賃金の考え方などをみていきます。

労働時間の原則について

労働基準法では1日(8時間)および 1週の労働時間(40時間)ならびに休日日数(毎週少なくとも1回)を定めています。原則は、この時間数や日数を超えて従業員を労働させてはなりません。

しかし、現実的に繁忙期等で労働時間が伸びてしまうこともあるということで、時間外労働・休日労働協定(いわゆる「36協定」)を締結して、労働基準監督署長に届け出れば、法定労働時間を超える時間外労働や法定休日における休日労働が認められます。

36協定は、労働基準監督署に届け出ないと効力が発生しません。届出終了後は、就業規則やその他各種の労使協定と同様に、常時各作業場の見やすい場所へ備え付けるか、書面を交付する等の方法により、労働者に周知する必要があります。

労働時間を想起させる画像

割増賃金率について

法定時間外労働に対して、事業主は割増賃金を支払う必要があります。割増賃金率については以下のように定められています。


・時間外労働・・・2割5分以上(1か月について60時間を超える場合は5割以上)
・休日労働・・・・3割5分以上
・法定労働時間内の深夜労働・・・2割5分以上
・時間外労働が深夜に及んだ場合・・・5割以上

 (1か月について60時間を超える場合は7割5分以上)
・休日労働が深夜に及んだ場合・・・(6割以上)


ここでいう「時間外労働」や「休日労働」は、法律上の時間外労働と休日労働を指します。

したがって、1日8時間または1週40時間を超えた時間が「時間外労働」、毎週少なくとも1回の休日に労働させた場合が「休日労働」ということになります。

法定休日の基本的な考え方

週休2日の会社も多くありますが、法律上の休日は、原則として、毎週1回以上付与すると定められています。これを週休制といいます。

週休制をとることが難しい場合は、変形休日制をとることも可能です。変形休日制とは、4週間に4日以上の休日を取得する制度のことです。変形休日制にする場合は、就業規則等に変形期間の起算日を定めておくことが必要になります。

週休2日制をとっている会社が多い理由は、1日8時間、週40時間を考えるとわかります。週40時間を1日8時間で割ると5日間となります。1週間は7日なので、5日間働くと残りの2日間が休みになります。このため、一般的には週休2日が定着しています。

仮に1日7時間労働の会社の場合でも、6日間勤務すると週42時間となり、週の法定労働時間を超えてしまうので、こちらも週休2日が必要です。

反対に、1日6時間労働の会社であれば、6日間勤務しても週39時間なので、こちらは週休1日でも理論上は時間外労働も休日労働も発生しないことになります。

週休2日を想起させる画像

所定休日に勤務した場合

次に、「所定時間外労働」と「法定時間外労働」についてみていきます。

所定時間外労働とは、簡単にいってしまうと、会社が定めた所定労働時間を超えた労働時間です。

したがって、所定労働時間が7時間30分の会社では、7時間30分を超えた時間から法定の8時間までの30分が所定時間外労働、8時間を超えた時間は法定時間外労働ということになります。

所定時間外労働は、法律上では時間外労働ではないので、2割5分以上の割増賃金は発生しません。ただし、割増をしない通常の賃金を別途、支払う必要があります。

それでは、所定休日に労働した場合はどうなるでしょうか。

先ほど記した通り、1週間で1日、もしくは、4週間で4日間の休日は法定休日になります。それ以外の休日については所定休日となります。法律上、休日労働となるのは法定休日だけなので、3割5分以上の割増賃金の支払い義務が発生するのも法定休日に労働した場合に限られます。

それでは、所定休日に労働した場合は、割増をしない通常の賃金だけを支払えば済むかというと、必ずしもそんなことはありません。所定休日に労働したことにより、週40時間を超えるのであれば、時間外労働として2割5分以上の割増賃金を支払う必要があります。

たとえば1日7時間、土日休みの会社で、土曜日に7時間の休日出勤をしたケースを考えてみましょう。

このケースでは、日曜日を休んでいるので、1週間で1日の法定休日は取得していることになります。月曜~金曜まででこの週はすでに35時間労働しています。土曜日に休日出勤をした結果、この週は42時間労働をしたことになり、法定の週40時間を2時間超過しています。

したがって、土曜日の7時間のうち、最初の5時間は割増をしない通常の賃金、後ろの2時間は時間外労働として2割5分以上の割増賃金を別途、支払う必要があることになります。

鈴与シンワート|関連コラム紹介|労働基準法大改正の検討内容と今後の動向

法定休日の特定義務について

現在のルールでは、原則として、毎週1回以上休日を付与するしなければなりませんが、曜日を特定することまでは義務となっていません。

現在は、週休2日の企業が多くあるため、所定休日と法定休日が混在してしまって分かりにくい状況となっています。

そのような状況を改善するために、「法定休日をあらかじめ就業規則等で特定することを義務化すべき」と労働基準関係法制研究会が提言しています。

この法改正が実現することによって、所定休日と法定休日がはっきりと区別することができるようになります。

鈴与シンワートのサービス紹介| 人事・給与・就業システムの導入×給与業務アウトソーシングサービス

今回は、法定休日の基本的な考え方や、所定時間外労働と法定時間外労働の違いについてみてきました。

法定休日の特定義務がいつからスタートするかどうかは、現時点では何も決まっておりませんが、近い将来改正される可能性が高いと考えられます。すでに就業規則等で法定休日を特定している会社は関係ありませんが、特定していない会社は今後の動向を注視しておく必要があります。

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